作品情報
白い衝動は、受賞歴と書誌情報を確認して記録した作品。
殺人衝動を抱える少年、彼と向き合うカウンセラー、地域社会に戻った犯罪加害者をめぐり、善意と恐怖、理想と排除の葛藤を描く社会派ミステリ。
レビュー要約
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重い題材に簡単な答えを出させない構成が評価される。加害者を受け入れる理想と身近な恐れがぶつかり、読者自身の立場を問う。
書籍情報
- 出版社
- 講談社
- 発売日
- 2017-01-25
- ページ数
- 339ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784062203890
- ISBN-10
- 4062203898
- 価格
- 1056 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論
スクールカウンセラーとして働く奥貫千早のもとに現れた高1の生徒がこう語りだす。「人を殺してみたい。できるなら、殺すべき人間を殺したい」。そして千早の住む町に、連続一家監禁事件を起こした入壱要が暮らしていることがわかる。殺人衝動を抱える少年犯罪加害者……そして、夫婦。はたして人間は、どこまで「他人」を受け入れられるのか。社会が抱える悪を問う、祈りに溢れた乱歩賞作家渾身の書き下ろし長編。 小中高一貫校でスクールカウンセラーとして働く奥貫千早のもとに現れた高校1年の生徒・野津秋成は、ごく普通の悩みを打ち明けるように、こう語りだす。 「ぼくは人を殺してみたい。できるなら、殺すべき人間を殺したい」 千早の住む町に、連続一家監禁事件を起こした入壱要が暮らしていることがわかる。入壱は、複数の女子高生を強姦のうえ執拗に暴行。それでも死に至らなかったことで、懲役15年の刑となり刑期を終えていた。 「悪はある。悪としか呼びようのないものが」 殺人衝動を抱える少年、犯罪加害者、職場の仲間、地域住民、家族……そして、夫婦。 はたして人間は、どこまで「他人」を受け入れられるのか。 社会が抱える悪を問う、祈りに溢れた渾身の書き下ろし長編。
呉勝浩(ご・かつひろ) 1981年青森県生まれ。大阪芸術大学映像学科卒業。現在、大阪府大阪市在住。2015年、『道徳の時間』で、第61回江戸川乱歩賞を受賞する。他に『ロスト』『蜃気楼の犬』。
レビュー
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確かな筆力で心理を描く
「純粋な悪」はあるのか。包摂とは何か。精神分析や臨床心理の知見を踏まえて、人間の心理の襞を確かな筆力で描き切っている。
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おもしろい
登場人物や内容が複雑ではなく、わかりやすかったです♪
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人間の本質
心理学用語がかなり多くて難解で読むのに時間が結構かかった。が、気づくとのめり込んで読んでいた。近くに残虐な犯行を働いて出所してきた犯罪者がいると分かったら、確かに作中みたいにパニックも起きるし、排除したいという動きが盛り上がるんだと思う。だけどその感情のまま「あいつは悪い奴だから」と追放していいのか。そういうことを読みながらヒリヒリと思った。ヒリつくのは、自分の中にも悪者を問答無用で排除しようとするような部分があるからだし、それを小説で見せつけられたからなのだと思う。正直なところ小難しいし、読むのが辛い話ではあるんだけど、人間の本質、人間の在り方、そういうものを作者がもがきながら探し求めたような誠実なものをラストに感じた。自分はいい作品だと思う。
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力作には違いない
第20回大藪春彦賞受賞作。高校生から殺人願望を打ち明けられたスクールカウンセラーの住む町に、刑務所から出所した強姦魔が引っ越してきた。 サイコサスペンスを想像しましたが、全く違いました。 テーマは心理学や、被害者家族の心情、刑期を終えた犯罪者の社会生活の在り方など、かなり重厚で答えも難しい。専門用語も出てきて、物語に没頭できず。 終盤は江戸川乱歩賞受賞作家らしい展開もありましたが、エンタメ小説として気軽に読める感じではなかったです。
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社会派ミステリー
貴方の隣人が「なんか知らないけど人を殺してみたい。殺したくはないけど多分いつか誰かを殺す」と言ったら。かつて未成年を両親の目の前で次々強姦し、暴行した男が既に罪を償って社会に戻り、隣に住んでいると知ったら。 私たちは彼らと一緒に生きていけるだろうか。 排除しようにも殺人衝動を抱えていても犯罪は犯していないし、元凶悪犯であろうと男は罪を償ってしまっている。包摂しようにも不安はある。そんな人間社会の理想と現実がそのまま詰まっています。 他のレビュアーの、猟奇的犯罪を犯した者に「さん」を付けるとは許せんという意見はまさに作者の術中にはまった証であり、作中にもそうした立場が登場します。 冒頭は殺人衝動を抱えたAに関する研究報告で始まりますが、Aとは誰なのかが、この物語の中で重要な意味を持っています。
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人の心ってどうしてこんなに多様なの?
自分と全く違う感情を持つ人々が存在する恐ろしさ、可哀想さ本人にもどうしようもないものなのか
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難解で面白さに欠ける
かなり厳格で、重厚で、大学のテキストのような小説。心理学の学問的表現が多く、かなり難解で面白さに欠ける。もっと簡単で分かりやすく描けないものかな?と思いながら読んでいる感じ。 それでいて、肝心なことに対してあまり深く掘り下げていない。「人を殺してみたい」「人を損壊してみたい」と思う犯罪者の動機、その心理が曖昧で綴られていない。 若さの至りで、理由の明確さはない。衝動的で曖昧で不確かであるから「白い衝動」と云うことなのかな?でも、何故、そういう危険な心理を持つようになったのか?何故、実際に行動に移したのか?読者は知りたい。 これでは読者の賛同は得られないと思う。
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小説としてはちょっと
衝動、共存、隔離やら言いたいことはわかるけれども読み終えるまでにあまりにも説明と読解が多すぎる。小説としては駄作
関連する文学賞
- 大藪春彦賞 第20回(2018年) ・受賞
- 吉川英治文学新人賞 第39回(2018年) ・候補