作品情報
Ank: a mirroring apeは、受賞歴と書誌情報を確認して記録した作品。
京都で発生した不可解な大規模暴動の謎を、霊長類研究と人類進化の想像力から描くSFサスペンス。チンパンジー「アンク」を起点に、人間の模倣、暴力、知性の境界が問われる。
レビュー要約
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科学的な設定とパニック小説の推進力を組み合わせた点が読みどころ。研究施設、類人猿、都市暴動をつなぐ構図に緊張感がある。
書籍情報
- 出版社
- 講談社
- 発売日
- 2017-08-23
- ページ数
- 475ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784062207133
- ISBN-10
- 4062207133
- 価格
- 499 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論
2026年、多数の死者を出した京都暴動(キョート・ライオット)。ウィルス、病原菌、化学物質、テロ攻撃の可能性もない。人類が初めてまみえる災厄はなぜ起こったのか。発端はたった一頭の類人猿、東アフリカからきた「アンク(鏡)」という名のチンパンジーだった。一人の霊長類研究者が壮大すぎる謎に立ち向かう。乱歩賞『QJKJQ』で衝撃の”デビュー”を果たした著者による、世界レベルの超絶エンターテインメント! 2026年、多数の死者を出した京都暴動(キョート・ライオット)。 ウィルス、病原菌、化学物質が原因ではない。そしてテロ攻撃の可能性もない。 人類が初めてまみえる災厄は、なぜ起こったのか。 発端はたった一頭の類人猿(エイプ)、東アフリカからきた「アンク(鏡)」という名のチンパンジーだった。 AI研究から転身した世界的天才ダニエル・キュイが創設した霊長類研究施設「京都ムーンウォッチャーズ・プロジェクト」、通称KMWP。 センター長を務める鈴木望にとって、霊長類研究とは、なぜ唯一人間だけが言語や意識を獲得できたのか、ひいては、どうやって我々が生まれたのかを知るためのものだった。 災厄を引き起こした「アンク」にその鍵をみた望は、最悪の状況下、たった一人渦中に身を投じる――。 江戸川乱歩賞『QJKJQ』で衝撃の”デビュー”を果たした著者による、戦慄の受賞第一作! 我々はどこから来て、どこへ行くのか――。人類史の驚異の旅(オデッセイ)へと誘う、世界レベルの超絶エンターテインメント!!
1977年福岡県生まれ。2004年、佐藤憲胤名義で書いた『サージウスの死神』が第47回群像新人文学賞優秀作となり、デビュー。2016年『QJKJQ』で第62回江戸川乱歩賞を受賞。
レビュー
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歴史の鏡から目を背けるな
佐藤究『ank』読了。 まず冒頭に、本書内で事実と異なる可能性のある記述について、指摘しておきたい。 • ゾウの祖先がデイノテリウムであるという記述が見られるが、正確にはデイノテリウムはゾウの祖先ではない。 ゾウに似た姿を持つ近縁グループであり、これは収斂進化の一例にすぎない。 • また、「太陽の光が地球に届くまで8分20秒」とあるが、(※ある人物が8分19秒に修正したことが、ある意味で象徴的な場面となるが、ここではネタバレを避けておく)この数値も厳密には一定ではない。 地球は楕円軌道を公転しており、太陽との距離は日々変動している。 最も近い近日点:約1億4700万km → 約8分10秒前の光 最も遠い遠日点:約1億5200万km → 約8分30秒前の光 → 年間で約10秒の誤差が生じている。 …と、こうした蛇足めいた科学的注釈はさておき、本書の主題はそこではない。 本作の核心は、“鏡”という象徴を軸に展開される深遠な物語である。 思い返せば『テスカトリポカ』でも、“水”や“鏡”は象徴的に扱われていた。 おそらく、これらは佐藤究の中核的なテーマであり、「自己とは何か」を問うための装置=メタファーとして位置づけられているのだろう。 本作で描かれる「自己鏡像認識能力」とは、社会的・心理的には共感・同調・集団行動・高次のメタ認知へとつながる進化のステップである。 そしてそれは、人類が“他者の心”を映すために獲得してきた認知機構=ミラリングに通じていく。 作中では、特定の類人猿がこの能力を獲得するに至るまでの経緯が、本能・遺伝子・歴史・科学・進化論の視点から重層的に描かれる。 それはまるで、暗闇の中で一筋の光が真実を照らしていくかのようだ。 だが、読み進めた先にあるものは、決して純粋な希望ではない。 光に照らされるのは、人工的な不安の影であり、読後には静かに揺れる疑念が残る。 それでも、読み応えは確かにある。歯ごたえがある。 鏡が自己を映すように、人類もまた歴史の鏡に自己を映し続けている。 だが、その鏡は真実を映すだろうか? 歴史は繰り返すが、決してそのままの姿ではない。 ミラリングとは、他者を見ることで自分を知ろうとする過程だ。 けれど、最後に立ち戻るべきはやはり、自分の内側だ。 「過去に縛られるな。しかし未来を恐れすぎるな。歴史の鏡を見続けろ」——そう書き残しておきたい。
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鏡の中に敵がいる
鏡の中の自分自身に殺される同胞を見てしまった。私の目の前にも「鏡の中の自分自身」がいる。さて、どうしようか。
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不思議な小説
暴動シーンで「眼球」って単語が出てくるたびにひえーって感じだったし(まつ毛が一本入っただけでめっちゃ痛いのに)、結局なんだかよくわかんなかったとこも多々あったけれど、個人的に好きなポイントがいくつかあって、 ①パルクール使いの少年←めっちゃカッコいい ②神話(ナルキッソスとエコー)の中に残されている失われた人類の記憶ってとこ ③小道具(ガルウィングのスーパーカーとロレックスの腕時計)の使い方 そこの部分だけで、なんかもう全てが許せる気分になる不思議な小説でした。
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イッキ読み必至のエンタメ巨弾
テスカトリポカより「明るく」、サージウスの死神より「楽しい」作品。天文学的な巨額になると思われる故、映像化は未来永劫ないだろう。
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自分はあまりのめり込めなかった
とても丁寧な作品だと感じたが自分はあまりのめり込めなかった 話の仕掛を「丁寧に」「上手に」しているのは素晴らしいがスピード感が足りないように感じた ラストの仮説はかなり強引かなあ、、
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圧巻の情報量、息をつかせぬスピーディーな展開
丁寧に調べ尽くされた霊長類の進化に関する圧倒的な情報。そして時期と場所それぞれ違えた地点からの描写は読者を決して飽きさせることなく、この「異常」な事態に没入させる。あまりに痛ましい事態にも関わらず読後感に何か温かいものを感じるのは何故なのだろう。
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これは感染爆発ではない
SF映画『planet of the ape』は日本で公開された際『猿の惑星』と訳されたことから、日本人の多くはあの映画は「猿」が地球を支配したと思ってしまいがちですが、「ape」は「類人猿」ですので、あの映画で地球を支配したのは「monkey:猿」ではなく「チンパンジー」なのです。 チンパンジーと猿との間には、知能の高さに格段の差があり、人類にとてもよく似通った遺伝情報をもつチンパンジーを研究することは、人類進化の謎を解く格好の研究対象だといいます。 霊長類研究者である鈴木望の研究は、まさに人類進化の謎を解く一歩手前まできている。 そのキーワードは鏡。 そして本書のタイトルは『ANK:a mirroring ape』 古代エジプトでは、鏡は単なる日常生活品ではなく宗教的意味合いを持っていた。鏡は古代エジプト語でアンクと呼ばれ、生命との意味でもあるという。 この「人類の進化」に触れるSF作品というだけで、もう無上に期待が高まります。 京都市で発生する謎の暴動と、ヒトの遺伝子レベルの話を絡めてくるあたり、思わずお見事と言いたくなる盛り上げ方です。 突然、攻撃性をむき出しにした人が、目に付く他人を素手で攻撃するとの設定だけ聞くと、ダニーボイル監督のイギリス映画『28日後』を彷彿させますが、あちらはウイルス感染により攻撃性を増した人々がゾンビのように他者を襲うというものでしたが、本作で凶暴性をあらわにする人々からは何ら感染を疑うウイルスなどは検知されない。 しかも攻撃性が現れるのは、約8分20秒の間だけ。 その間は、完全に理性を失った人々が暴徒間で殺戮を繰り返す。自身の手の骨が折れようと関係なく、その白骨が露出した手で他者を殴りつけるという凄まじさ。 いったい何がヒトをそうさせるのか。 『a mirroring ape』とは何を意味するのか。 一気読み必至の面白さです。
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必読!
衝撃を受ける作品であることは間違いない。 想像もしないテーマ、結末であった。
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