作品情報
満月の娘たちは、児童文学を軸に読者を作品世界へ導く。
子どもたちの冒険と友情を、少し不思議な気配を含めて描く長編児童文学。家族への思いと成長の痛みが、満月のイメージに導かれて展開する。 書誌確認では、単行本・文庫として確認できる場合のみ紙書籍の識別子を採用し、雑誌号や掲載媒体の番号は使用していない。
レビュー要約
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題材の切り取り方と構成を評価する声があり、背景知識を持つ読者ほど細部の厚みを楽しめる。一方で、密度の高さを重く感じる読者もいる。
書籍情報
- 出版社
- 講談社
- 発売日
- 2017-12-06
- ページ数
- 258ページ
- 言語
- 日本語
- サイズ
- 13.4 x 1.8 x 19.3 cm
- ISBN-13
- 9784062207324
- ISBN-10
- 406220732X
- 価格
- 1999 JPY
- カテゴリ
- 本/絵本・児童書/読み物
まるで神話のようだ。新しい時代の母娘の。梨木香歩氏推薦!標準的見た目の中学生の私と、オカルトマニアで女子力の高い美月ちゃんは幼なじみでママ同士も友人だ。ある日、美月ちゃんとクラスの男子を誘い、幽霊屋敷へ肝だめしに行くことに。幽霊屋敷探検に発端におこる出来事を通じ母娘たちの葛藤と成長が描かれる。”母娘問題”を独特の観察眼で捉えた感動作。椋鳩十賞、小さな童話賞大賞受賞作家、安東みきえ氏、初の長編小説。 まるで神話のようだ。新しい時代の母娘の。 ──梨木香歩氏 「読者をどんどん惹きつけていく、さすがのストーリーテリングで、この子どもたち三人の冒険と友情に引き込まれ、彼女らが愛おしくて愛さずにはいられなくなります。 母という存在の呪いと祝福、慈しみと憎悪──母と娘は永遠に誰よりも生々しく近く、そして誰よりも遠い存在なのでしょう。」 足りないってことばをママはあたしによく使う。 あんたは言葉が足りない、とか素直さが足りない、あとは血が足りないってのもある。 ママの中ではあたしは足りないものだらけらしい。 とにかく、あたしの歯が足りないせいですきまがあいてしまい、矯正が必要になるかもしれないということだ。 そうしないと十年後にはかみあわせの不具合で色々とよくないことがおこるかもしれず、それをママはとても気にしていたから、今日歯医者さんに行かなかったことにも腹をたてているらしい。 でもあたしにとってはたいした問題じゃない。 歯が何本か足りないまま成長したってそれがどうだっていうのだろう。それはあたしの未来でママの未来じゃない。 ─本文より。 どこにでもいる標準的見た目の中学生の私と、オカルトマニアで女子力の高い美月ちゃんは保育園からの幼なじみでママ同士も友だちだ。 ある日、美月ちゃんの頼みでクラスで人気の男子、日比野を誘い、3人で近所の幽霊屋敷へ肝だめしに行ったのだが……。 幽霊屋敷探検を発端におこる様々な出来事を通じ母と娘たちの葛藤と成長とがリアルに描かれる。話題の母娘問題を独特の観察眼でとらえた感動作。 椋鳩十賞、小さな童話賞大賞受賞作家、「頭のうちどころが悪かった熊の話」の安東みきえ氏、初の長編小説。 (中学生漢字以上にルビ)
安東みきえ 1953年、山梨県生まれ。、『天のシーソー』で第11回椋鳩十児童文学賞、「ふゆのひだまり」で第11回小さな童話大賞(毎日新聞社主催)大賞を、「いただきます」で同選者賞今江祥智賞を受賞。その他、「夕暮れのマグノリア」「頭のうちどころが悪かった熊の話」など著書多数。 ヒグチユウコ 画家。東京都在住。多摩美術大学 油画科卒業(福沢一郎賞)。1999年より東京を中心に定期的に個展開催しつつ、ファッションブランドや画材メーカー等、様々な企業とのコラボを展開している。二作目の絵本『せかいいちのねこ』(白泉社)、作品集『ヒグチユウコ作品集』(グラフィック社)、自身初の絵本『ふたりのねこ』(祥伝社)、塗り絵本『Museum』(グラフィック社)などを出版。2015年1月からオリジナルブランド『Gustave(ギュスターヴ)』を展開中。
レビュー
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10代、親との関係に色々なことを思う人へ
物語の中に入り込んで読むことができた 夜の情景が見える ヒグチユウコさんの表紙も相まってとても好きな作品
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心理の掘り返しはとっても見事
中学校1年生の志保は、親友の美月と美月の想い人日比野と3人で近所の空き家に肝試しに行ったところ警察に捕まってしまった。家主である繭に謝罪に行ったところ、幼なじみで同級生の祥吉と出くわし、彼が、ミニチュア作家である繭のファンでよく手伝っていることを知る。自由人の繭に興味を持った彼女は、それからも繭の家を訪ね親しくなっていく。あの空き家は繭の実家で、最低限の修理をして移り住むつもりだという。次第に実家へのこだわりを強めていく繭に志保たちは不安を感じていく。 母親に「何もかも足りない」と思われていると感じる志保。 娘は自分のキャリアと引き換えだったと思われている美月。 大家族で仲がいいけど、父親は失踪中の祥吉。 自分の自由を束縛されたのが嫌で吐いた暴言が、母に言った最後の言葉になり、亡母が悲しみのあまり空き家に留まっていると感じている繭。 思春期の親との葛藤を空き家を巡るエピソードを中心に描いていく。 親の愛が重い、ウザいと感じる年ごろの娘たちの言動に、母としては傷つきますが、身に覚えもあるので、文句も言えません。 この心理の掘り返しはとっても見事ですが、さりとてそう簡単に解決もしないので、この物語も空き家の崩壊で幕を閉じてしまいます。 きっとこの先にもいろんな葛藤があって大人になっていくんでしょうね。 空き家の幽霊の存在が、ちょっとこの物語をファンタジーにしていますが、かえって歯切れが悪くも感じました。 特に繭はもう大人なのに、母親の呪縛から逃れられていず、それが中学生たちの不安感を増大させる役割になったのではないかと思うからです。 児童書ですから、なんとか彼女だけでも、何となくではない親からの自立を希望として持たせてほしかったと感じます。 ウザい母親へのきつい切り替えしの言葉が載っているので、子どもには薦めたくないですね(笑)。←冗談です。
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一気に読ませる切実さ。
志保はその昭和っぽい名前がなんだかあんまり好きではない。でも、名前は自分では決まられないから受け入れているけれど、色んな事で母親とは気持ちがすれ違ってしまっています。それは、転校し、また戻ってきた親友の美月もそうで、母親の突き放し方をうまく受けとめられません。 彼女たちは、肝試しに人が住んでいない屋敷、昭和莊に潜り込むけれど、捕まってしまい、その縁で、そこの持ち主の繭さんと知り合う。ミニアチュア職人の真由さんも又亡くなった母親との間にわだかまりを抱えている様子です。 こうして母と娘の、そして親子の力関係と、愛情について物語られていきます。 親子に生じる愛情という名のすれ違いや、好意かと見まごうばかりの権力行使など、子どもの本には欠かせない命題が、主人公たちの実に巧い語り口と共に描かれています。うん。本当に会話が巧い。 ただし、その命題は母娘だけに起こることではなく、母娘独自のものとして回収されないようには要注意。
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母親の否定的な側面と折り合いをつけることに四苦八苦する姿が描き出されております
主人公は中学生の女の子で、母親の否定的な側面が徐々に見えてきて母親に対する怒りを感じたり距離を取りたいと思ったりするのだけれど、それがなかなかうまくかず四苦八苦しています。主人公だけでなく、友人も、あることを契機に知り合った大人の女性さえ、”母”という存在となんとか折り合いをつけようと悪戦苦闘している様子が描き出されます。母と折り合いをつけるという点では、こうした難しさはすべての人に共通のものだと言えますが、やはり娘と母との関係には独特の難しさがあるようで、そうした娘と母の関係のにっちもさっちもいかない難しさがうまく描かれているように思います。中高生の女の子、および、その保護者にはお勧めの作品かと思います。
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