作品情報
コインロッカーから始まった生が、都市を揺さぶる破壊と解放の物語へ膨れ上がる。
1972年夏、コインロッカーに捨てられたキクとハシは、それぞれに母を求め、世界との折り合いを失いながら成長する。東京でキクが出会うアネモネ、深海に眠るダチュラ、ステージへ向かうハシの声が、現実と悪夢の境界を押し広げていく。村上龍の初期を代表する作品で、疾走する文体と破壊的な想像力によって、現代文学の読者に強い衝撃を与え続けている。
レビュー要約
-
強烈な文体とイメージの奔流に衝撃を受けたという声が多い。暴力性や過剰さを重く感じる読者もいるが、都市と若者の破壊衝動を描く力に長く残る印象を見いだす反応が目立つ。
書籍情報
- 出版社
- 講談社
- 発売日
- 2009-07-15
- ページ数
- 576ページ
- 言語
- 日本語
- サイズ
- 10.8 x 2.2 x 14.8 cm
- ISBN-13
- 9784062764162
- ISBN-10
- 4062764164
- 価格
- 1100 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論/文芸作品
1972年夏、キクとハシはコインロッカーで生まれた。母親を探して九州の孤島から消えたハシを追い、東京へとやって来たキクは、鰐のガリバーと暮らすアネモネに出会う。キクは小笠原の深海に眠るダチュラの力で街を破壊し、絶対の解放を希求する。毒薬のようで清々(すがすが)しい衝撃の現代文学の傑作が新装版に!
1952年、長崎県に生まれる。武蔵野美術大学中退。'76年に『限りなく透明に近いブルー』で群像新人文学賞、芥川賞を、'81年に本作『コインロッカー・ベイビーズ』で野間文芸新人賞、’96年に『村上龍映画小説集』で平林たい子文学賞、'98年に『イン ザ・ミソスープ』で読売文学賞、2000年に『共生虫』で谷崎潤一郎賞を受賞、'05年に『半島を出よ』で野間文芸賞、毎日出版文化賞を受賞。小説、エッセイにとどまらず「TOPAZ〈トパーズ〉」などの映画製作や、サッカー、国際政治、経済に関する著作など、あらゆるジャンルで旺盛な活動を展開している。
レビュー
-
表紙もかっこいいです
初めて読んだ時から今まで、人生で最も印象的な小説です。 とにかく頭をぶん殴られるような感じです。
-
ちょっとしたエログロ・パンク小説。
村上龍、村上春樹のW村上は、日本で一番手に取られやすい 作家の本だと思う。大体10代後半くらいから手に取る人が 多いんではないか。斯く言う私も、そのくらいの歳に村上龍の 「限りなく透明に近いブルー」を手に取っていた。が、タイトルの 美しさだけに気をとられて、殆ど読んでいなかった。 それから10数年経ち、20代後半(30くらいだったか)にとある ロックバンドが(ファンでもなんでもない)このタイトルをアマチュア の時にバンド名として付けていたと知った。そのVoは当時、それくらい この「コインロッカーベイビーズ」に衝撃を受けたらしい。(分かる気がする) 私は、村上龍の作品の中でこの本だけ拒絶していた。こういうタイトルの 事件が昔あった事実は既に知っていたし、内容が酷くダークだろうなぁと 勝手に猜疑していた。不気味で気持ちが悪そうで手に取らなかった。 そういう人結構多いのでは…。 この本は、恥ずかしながら本格的に読んだ村上龍の作品だった。 これ以外は殆ど真剣に読んでいない。本立てや本棚のお飾りだった。 600pくらいある、いわば長編の部類に入ると思うが、私は上・下に 分かれた昔の物を買っていたが、本屋で新装版になって装丁がかなり 綺麗になり、上下巻合併の一冊として分厚く売られていて、中に目を通すと 文字が大きくなっている。(長編物には嬉しい)過去のタイプの物は文字が 滅茶苦茶小さく読み辛いので、此処(amazon)で新装版を買い直した。 私は町田康が好きで小説、エッセイ含め何冊も読んでいるが この村上の文章はかなり「断片的」な書かれ方で(情景を切り取って 継ぎ接ぎにした様な感覚)読み辛さを感じていたが、慣れればこちらの方で 爽快感すら感じた。町田康より少し、いや同等くらいの エロ・グロ表現が文章に飛び交う。 (ホモ、オカマのオンパレードには多少退きましたが) 結構好きな方です。80年代初頭に書かれたとは思えないくらい 古臭さをあまり感じません。街(東京)を破壊してしまいたいと思い 行動に出るキクの描写は、良くあるSFパンクアニメにも似通ってると感じました。 折角長期に及び主人公達に絡んだ登場人物(脇役)を、さっさと何事も無かったように 消し去るのも新鮮でした。小難しい専門的な描写もあり、作者自体が取材を兼ねての 旅行をしていたのも分かります。 疑問に思う点は、ハシは「変態のオカマの浮浪者を煉瓦で叩き殺した」 とありますが、後の文では「人も殺した事がない」と出てきます。 殺した時点で警察に捕まらないのも矛盾。 またニヴァを刺す(未遂)のに、これまた警察に捕まりません、何故? ニヴァが庇っていたとしてもです。キクは受刑者だったのに…。 長編なので読むのに時間が掛かりましたが、読後感が悪いと良く 目にしますが、私は寧ろその逆。本の裏表紙に「毒薬のようで清清しい」 とありますが、それに同意します。救いようが無いのではなく、キク ・ハシ・アネモネ達、コインローカーベイビーズの集団は、東京と言う コインロッカーにダチュラ(意思表示又、存在意義)を終末的に浴びせかけたのでしょう。 反社会的だなとは思いましたが、払拭しきった感じがしました。 上下巻分かれたタイプの解説(三浦雅士)と、新装版の解説(金原ひとみ) は読まない方で無難です。作品の雰囲気が壊れます。前者は訳の分かり 辛い例えを延々と綴り(解説がダラダラと長い)、後者は中1の読書感想文のよう。 後者にはこれで作家とは驚きました。 (金原ひとみの「文章」自体初めてだったので) この本は10代、20代の中高生、大学生の人生経験の浅い人達には 不向きだと思う。特にかなり男目線で書かれた文章が目立ち(差別表現など) それらを理解するには若い女性には難しいし、経験がそこそこ要ります。 作品自体は長編の割りに、比較的入り込むと読みやすいです。 好きな部類の作品ではありました。この作品では「山根」の存在と 「ミスターD」の関西弁がツボに入ってしまって(笑、面白かった。(自分は西の人間なんで) これを機に、他の村上龍作品も真剣に読んでみます。
-
ストリート系の文学最高峰
最近アニメを見るようになって、村上龍の「コインロッカーベイビーズ」の射程の広さを実感してる。 アネモネは最高のミューズ。是非アニメ化して欲しい。 出版後40年を記念した記事を読んで、5年前に購入した。
-
若い頃、読書好きになったきっかけ
中学生の時に読んでカルチャーショックを受けた本です。 紙の書籍ももってますが、Kindle版も ものすごいスピード感で読書が好きになった印象深い小説です。 村上龍はお守りのような存在です
-
メッセージ性は良い
ストーリーはなんともいえないが、退屈ではなく、最後まで読んでしまった。村上龍さんの作品の中で本作はあまり好みではないが、パワーはとても感じました。 「自分が欲しいものがわかってないやつは欲しいものを手に入れることが絶対にできない」というメッセージはとても良い。この一文には価値があると思う。
-
こんな文体で長編を書くのは、人間業ではない
ねっとり、まとわりつくような文章が、初めから最後まで続く。 こんな文章を次から次へ繰り出し、長編小説を書き上げてしまう著者は超人だと思った 井上尚弥(ボクシング2階級4団体統一王者)の運動能力は人間業とは思えない 村上龍の文章能力も人間業とは思えない
-
イマジネーションが権力を奪う❗❗
破壊と創造、死と再生、滅亡と復活、黎明と暁闇。菩提思想。
-
何十年かぶりに読み返しました。
最初に読んだ時、タイトルをメにした時からワクワクしたのを覚えています。リズム感や世界観が自分には合っていて楽しめました。SMもの以外の村上龍さんの本は共感できるものも多く、一番好きな作家なのでレビューにお気に入りフィルターが掛かっています。
関連する文学賞
- 野間文芸新人賞 第3回(1981年) ・受賞