作品情報
西鶴が生きた時代と場所を臨場感豊かにたどる、評伝的評論の代表作。
商都大坂の現実、遊びと色、銀が銀を生む時代の空気を背景に、富岡多惠子が井原西鶴の散文精神へ迫る。講談社文芸文庫版は二〇〇四年の講談社刊を底本とし、伊藤整文学賞と大佛次郎賞の受賞作として紹介されている。
レビュー要約
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西鶴を通説から解き放ち、都市と貨幣の感覚まで含めて読み込む視点が評価されている。学術的な密度を持ちながら、人物と時代が具体的に浮かび上がる点が読みどころになっている。
書籍情報
- 出版社
- 講談社
- 発売日
- 2009-03-10
- ページ数
- 257ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784062900454
- ISBN-10
- 4062900459
- 価格
- 1800 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論/古典/日本の古典/近世文学/井原西鶴
大佛次郎賞、伊藤整賞ダブル受賞の力作評論 西鶴は俳諧師から身を起し、後に浮世草子の作家になったという通説を見事に覆し、西鶴が生きた時代と場所を臨場感溢れる描写で追体験。評伝に新境地を拓く傑作!
レビュー
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醒めた不思議なトーンと視角
著者にはこの作品の前に「好色一代女」と「好色五人女」の現代語訳を取り上げた作品があります。 富岡多恵子の好色五人女 (わたしの古典16) その作品から20年後に出た作品ですが、その後の著者の成熟を反映するかのように、タイトルが示唆するように不思議なでも何とも言えない雰囲気を醸し出した作品に仕上がっています。まず最初に当時の(?)大坂の地図が出てきてのっけから驚かされるのですが(そもそも私はこの文庫版ではなく、ハードカバーで読んだのですが、ハードカバー版は表紙が碁盤の目のような江戸期の大坂の町が出ている地図なのです)、その狙いは非大坂人にはわかりにくく、中身は必ずしもこの地図を縦横無尽に駆使した作品ではありません。 作品は多角的な側面から西鶴という人物そしてその時代が政治、経済、風俗を含めて取り上げられていきます。「世界の偽かたまって美遊」の章にいたっては近松の存在と役割にまで筆はすすみ「とんでも本」への世界までも言及されるほどです。でもやはり中心となるのは、時代の象徴としてt路偉あげられる「芝居」と「遊郭」そしてそれに関わる金ということになるのでしょうか。著者は淡々とこれらの悪所の存在と構造を、大上段に現代のイデオロギーから暴き立てるというよりはあるがままに解き明かしていきます。西鶴の作品をもう一度味わった後で再読したほうがいい作品なのかもしれません。
関連する文学賞
- 伊藤整文学賞 第16回(2005年) ・受賞