日本の文学賞

← 受賞作品一覧に戻る
石つぶて 警視庁 二課刑事の残したもの (講談社文庫 き 68-1)

大宅壮一ノンフィクション賞

石つぶて 警視庁 二課刑事の残したもの (講談社文庫 き 68-1)

清武英利

外務省機密費流用事件に挑んだ警視庁捜査二課の刑事たちを描くノンフィクション。国家のタブーに地道な裏付け捜査で迫る現場の姿を追う。

事件ノンフィクション捜査二課外務省機密費

作品情報

石つぶて 警視庁 二課刑事の残したものは、受賞歴と書誌情報を確認して記録した作品。

外務省機密費流用事件に挑んだ警視庁捜査二課の刑事たちを描くノンフィクション。国家のタブーに地道な裏付け捜査で迫る現場の姿を追う。

レビュー要約

  • 無名の刑事たちの粘りと巨大組織に挑む緊張感が強く届く。硬い事件取材でありながら人物描写に厚みがある。

書籍情報

出版社
講談社
発売日
2019-06-13
ページ数
416ページ
言語
日本語
サイズ
10.7 x 1.7 x 14.9 cm
ISBN-13
9784065163764
ISBN-10
4065163765
価格
880 JPY
カテゴリ
本/社会・政治/政治

2001年に発覚した外務省機密費流用事件、官邸・外務省を揺るがせたこの事件を掘り起こしたのは名もなき刑事だった。 容疑者は、着服したカネで次々と愛人を作り、競走馬を何頭も所有する外務省の「ノンキャリの星」。地道な裏付け捜査と職人技を駆使した取り調べ、そして容疑者と刑事の間に生まれる不思議な人間関係。 機密費という「国家のタブー」に触れてしまった二課刑事(ニカデカ)たちを待っていたのは――。 人間の息遣いが聞こえるヒューマン・ノンフィクション。

清武英利(きよたけ・ひでとし) 1950年宮崎県生まれ。立命館大学経済学部卒業後、75年に読売新聞社入社。青森支局を振り出しに、社会部記者として、警視庁、国税庁などを担当。中部本社(現中部支社)社会部長、東京本社編集委員、運動部長を経て、2004年8月より読売巨人軍球団代表兼編成本部長。11年11月、専務取締役球団代表兼GM・編成本部長・オーナー代行を解任され、係争に。現在はノンフィクション作家として活動。著書『しんがり 山一證券 最後の12人』(現在は講談社+α文庫所収)で14年度講談社ノンフィクション賞、『石つぶて 警視庁 二課刑事の残したもの』(講談社)で18年度大宅壮一ノンフィクション賞読者賞を受賞。主な著書に『奪われざるもの SONY「リストラ部屋」で見た夢』(講談社+α文庫)、『空あかり 山一證券”しんがり”百人の言葉』(講談社)、『トッカイ不良債権特別回収部 バブルの怪人を追いつめた男たち』(講談社)など。

レビュー

  • 国の闇

    外務省の闇を暴いた名事件

  • 綺麗な本

    本は、綺麗でした。 楽しく読めました。

  • 実話なので面白い!

    テレビ番組で見た事があったのですが詳しい内容が知りたくて購入しました。 実話なので読み応えがあり面白かったです。 電車での移動時読み返してます。

  • 今年有数の傑作!

    『しんがり』という作品を読んで感銘を受けてから、 清武英利氏の作品はほとんど読んでいる。 この著者の作品にどれもハズレはないが、 この作品は『しんがり』以降、最高の到達点ではないかと思う。 書名からではわかりにくいが、この作品は、 2000年代初頭に起きた、外務省のノンキャリア官僚による 横領事件を扱っている。 主役は複数の警察官、警視庁捜査二課の刑事たちだ。 警視庁の組織、組織内の争い、 キャリアとノンキャリアの立場の違いなどは 非常に詳しく描かれている。 登場人物だけではなく、どういうことが発端で 事件が発覚したのか、 事件が立件されなくなりそうになる経緯など、 物語の展開に関しても、周到すぎる取材が行われている。 この事件自体は、私も記憶していた。 当該のノンキャリア官僚は横領した金を使い、 女性を囲い、競走馬のオーナーになるなどしていた。 どこにも同情の余地などない男だと思っていたが、 著者の筆力により、いつのまにか、 この官僚のことを、理解できるなと思えるようになっていた。 警察組織、警察と中央官庁の関係、 警察官の人生など、初めて知ることが多かった。 これでもかというほどの取材をしたに違いない。 今年有数の傑作だと思うし、 大宅壮一ノンフィクション賞を獲ってもおかしくない作品だと思う。

  • 執念

    面白い

  • 警視庁捜査2課の状況が分かって興味深かったですが、読んでの後味は良くなかったです

    この本は外務省や内閣官房の機密費の高額詐欺事件を追った警視庁捜査2課のドキュメンタリーです。一人の女性刑事を除いて実名で書かれています。 読んでいってまず、汚職や詐欺、横領、背任、選挙違反などの知能犯を追及する警視庁捜査2課の捜査員が約四百人もいることに驚きました。そしてその捜査員がテレビドラマの捜査1課のようなチームプレイでなく、個人単位で黙々と粘り強い捜査をしていきます。捜査員相互でライバル意識を持ち、かなりはみ出し人間が多い職場です。ノンキャリアの警察官の仕事への熱意、取り組みには頭が下がりました。 しかし、一方でこの本は読後感が良くありません。一人の外務官僚が11億円以上(!)もの現金を個人口座に入金して使っているのです。使途は一部公的なものもありますが、多くは個人の遊興費でした。役所から水増しした請求書でお金が出され、領収書の要らない金として使われていたのです。詐欺を行った官僚は当然悪いですが、その周りにいた上司や同僚がどうしてそれを見抜けなかったのでしょうか。いや、みんな分かっていて止めさせなかったのです。同罪に近いです。上位職者にも恩恵が巡っていたはずで、それを捜査しなかった警察も悪いです。本文中にも、捜査員の一人が捜査の方針がまずかったと悔やむシーンがありますが、同感です。 著者の記述にも救われない気分になりました。著者は、かつて警察担当の新聞記者だったからでしょうか、捜査2課の捜査は取調室で脅したり、すかしたりして、一匹狼型のはみ出し刑事が自白を取ることが良いのだ、と受け取れるような記述をしています。冤罪と裁判所で認定された鹿児島県の志布志事件のことに触れながらも、そのような自白強要が悪いことだとの記載が少ないです。このことも読後感が良くなかったことの大きな理由です。 中央官庁など大きな組織の犯罪に対して、一連の組織内の警察機構は無力なのか、「石つぶて」を投げることくらいしか出来ないのか、と暗澹たる気持ちになりました。何とかして改革していきたいものです。

  • 小説?と思うほど生々しくドラマチック

    ドラマがあまりにも面白いので原作本を買ってみた。 ドラマの脚本はよくまとめているが、この複雑怪奇な事件の本質はこれを読まないと分からない。 ドラマで登場人物は全て仮名だが、本書では外務族の鈴木宗男や河野洋平外相(当時) など、関係者が全て実名で記されている。 その事件は、外務省職員が10億円もの機密費を着服し、競走馬の購入や愛人との遊興費などに浪費するという前代未聞の事件だ。 2000年頃公になり、外務省や首相官邸の機密費を暴き、国を揺るがす大事件だったと言うが、僕の記憶にはない。 その頃は、ニュースすら見る余裕のない生活をしていたようだ。 著者は、新聞記者出身とのことだが、まるでその現場にいたかのように、会話をリアルに再現しており、小説のようだ。 しかしこれは、紛れもないノンフィクションなのである。 「サンズイ」「ナンバー」「ギョウヨコ」「ゴンベン」「セナカ」隠語が次々に出てくる。 これを読んだら、警察小説など安っぽいファンタジーにしか見えず、読めなくなる。 関係ないが、今角界は日馬富士の暴力問題に揺れている。 それは単なる暴力事件ではなく「モンゴル力士互助会」の問題が背景にあると言われる。 モンゴル互助会は、横綱を頂点とし、巨額のカネを力士たちから吸い上げ、冠婚葬祭費や見舞金などに充てているという。 これは、まるで官房機密費と同じではないか。 また、互助会は本場所2日前にゴルフコンペを開いたり、頻繁に酒宴を催すなど、協会や部屋も口を出せない伏魔殿になっている。 まるで外務省と同じだ。 歴史は繰り返す、と言うことだろうか。

  • 警察捜査の大変さが伝わる

    警察が時代の流れと共に個人技から組織地からで捜査する時代変化を感じとる事ができる名書だと思う。

関連する文学賞