日本の文学賞

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ノワールをまとう女

山田風太郎賞

ノワールをまとう女

今村翔吾

炎上鎮火を請け負う裏仕事人が、企業デモと個人的な関係の狭間で動く現代ミステリ。

書籍情報

出版社
講談社
発売日
2019-09-19
ページ数
317ページ
言語
日本語
サイズ
14 x 2.5 x 19.5 cm
ISBN-13
9784065170977
ISBN-10
4065170974
価格
1760 JPY
カテゴリ
本/文学・評論

第65回江戸川乱歩賞受賞作! それは破戒の罰なのか? 大手医薬品メーカーに仕掛けられたデモを鎮圧すべく市民団体に潜入した西澤奈美。 そこでリーダーから同志として紹介されたのは、恋人の雪江だった。 新ヒロイン誕生! 西澤奈美。自宅は大久保の雑居ビル。冷蔵庫にはビールと栄養ゼリー。日課は筋力トレーニング。音楽はオールディーズ。話し相手はAIのユキエ。仕事は企業の炎上鎮火請負人。服は黒尽くめ。 <内容紹介- 日本有数の医薬品メーカー美国堂は、傘下に入れた韓国企業の社長による過去の反日発言の映像がネットに流れ、「美国堂を糺す会」が発足して糾弾される事態に。 かつて美国堂がトラブルに巻き込まれた際に事態を収束させた西澤奈美は、コーポレートコミュニケーション部次長の市川から相談を持ちかけられる。新社長の意向を受け、総会屋から転身して企業の危機管理、トラブル処理を請け負っている奈美のボスの原田哲を排除しようとしていたものの、デモの鎮静化のためにやむを得ず原田に仕事を依頼する。 早速、林田佳子という偽名で糺す会に潜り込んだ奈美は「エルチェ」というハンドルネームのリーダーに近づくと、ナミという名前の同志を紹介される。彼女は児童養護施設でともに育ち、二年前に再会して恋人となった姫野雪江だった。雪江の思いがけない登場に動揺しつつも取り繕った奈美は、ナンバー2の男の不正を暴いて、糺す会の勢いをくじく。 その後、エルチェは美国堂を攻撃する起死回生の爆弾をナミから手に入れたというが、ナミ(=雪江)は奈美と約束した日に現れず、連絡も取れなくなった。起死回生の爆弾とは何なのか?

一九六〇年九月五日生 学 歴 國學院大學卒業 筆 歴 一九九六年『裏平安霊異記』でデビュー。二〇一一年『人魚呪』で遠野物語百周年文学賞受賞。他の著書に『石燕夜行』全三巻がある。 出身地 愛知県豊橋市

レビュー

  • まあまあか

    乱歩賞受賞作としてはギリギリ合格点といったところだろうか。 リーダビリティは高く、ストーリーの転がし方もなかなか達者と見受けられるが、ミステリーとしてみた場合は、正直なところやや工夫が足りないと感じられる。 トータルでいえばまあまあとはいえるが、かなりご高齢の作家でもあり、この後の伸びしろがどの程度あるか。次の2、3作で真価を問われることになるだろう。

  • 最年長受賞者。起死回生を図った渾身の作か?

    一部ネタバレがありますので、未読の方はご注意ください。 作者の神護氏は58歳で最年長受賞記録だそうだ。現役のプロ作家であり、文章はかなり上手い。簡 潔でかつ緊張感があり、描写も巧みだ。ハードボイルドタッチの文体はスピード感もある。 商法改正で総会屋が活躍の場を失った中、「企業の闇の部分のトラブルを解決する」という職業は架 空のものだろうが、まずまずの斬新さはある。 主人公の奈美や恋人の雪江をはじめとしたキャラ立ちも悪くない。また、最新の情報や話題も盛りだ くさんだ。日韓問題、同性愛、福島の原発廃炉作業、IT等々。 ただ、「雪江はなぜ死んだのか」という謎に対する答えはちょっと首肯できない。原田が挑発したか らと言って、雪江がそんなに簡単に命がけの薬を飲むだろうか? この辺りは少しご都合主義か。 おそらく、プロとして低迷していた作者が、起死回生を図って、目一杯の要素を詰め込んだのだろう が、そのことが裏目に出ている面もある。今後、神護氏がこれ以上のものを書けるのかという懸念も少 し残る。それでも、久々に水準に達した受賞作だと思う。星の数はややオマケで4とした。

  • ミステリー小説に目くじら立ててもしょうがない。

    ピカレスク小説・ダークヒロインもの。(全308p.)。おっそろしく肩に力が入った文章で微笑ましい。 お話は”企業に上がった火の手の始末をする”(本書ママ)仕事の奈美が主人公。本作の依頼内容は大手企業に降りかかった反韓(愛国)デモの鎮静化とスケールもでかい。 本来、小説は逐一メモ取りながら読むようなものではないと思っているんだが、この小説パスから回収までのページ数が長いから何度も引き返して確認する作業しながらじっくり読んでみた。 * * * ネタバレ含む感想↓ ★作家が読者の求めているものを読み誤っていると思う。 p.191に「爆弾」という単語が初めて現れる。これ序盤から思わせぶりに何度も何度も焦らしてるあること(p.14---「三月末にご相談したあの件」)と何か関連してるようだ。 この時点で知りたいことは大きく3つ。 ①雪江は原田と奈美の関係を知っている、いつから?どうやってどこまで?(p.161) ②原田はエルチェの本名・素地を知っていて奈美を泳がせてる、それはなぜか?(p.182) ③雪江が掴んだ爆弾とは何? と思ってた矢先、雪江が死んでしまう(p.205)。そりゃないだろう。 恋人でもある雪江が何を隠しているのか、奈美と対峙するとここそが見たいのよ。死後に残されたメッセージを解き明かしても満足感が得られない。 じゃあ、作家が相変わらず何を突ついてるのかというと、奈美が懇意にしていた定食屋のおばちゃん朝子とエルチェの心の師木部の過去。どちらも物語が始まった時点ですでに死者なので思い入れがないしその重要性が分からないというのに。 ・ ・ ・ ミステリー小説はそもそも破綻だらけだと思っているのでこの方面は強く責めないが一応、いくつか指摘しとく。 ①元総会屋が看板下ろした後に企業のダークな部分を片付ける仕事してたって”この国の経済社会が 揺らぐ"(p.249)ような大問題にはならないだろう。1企業の倫理が問われることはあっても。 ②(p.262)接触してしまうと不都合な手駒2枚(奈美と雪江)を同じ現場に放り込むなんてありえないだろう? ③(p.270)ハルというハンドルネームがあるってことは愛国運動に参加してたってことだよね?木部と深く関わってアドバイスをしていた原田(=ハル)のことをエルチェが知らないのも「はるが消えた」と関係付けられない(p.55)のもどう考えたっておかしい。 *ところで、この小説6期前の乱歩賞受賞作品なのだが、2025年1月現在レーティング投票でさえ40件とあまりにも少ないのが気になった。紹介文だとおもしろそうだし舞台設定は別に悪くないと思うんだけど。ヒロインの造形が敬遠されてるのかな?

  • 女性らしいミステリー小説でした

    わたしは、男性ですからよくわからない世界があるが、友人が殺人事件に巻き込まれ、死亡する。犯人を検挙できる証拠を上げる。推理小説らしい手順を踏まえた小説で感心しました。女性作家らしいミステリー小説でした。

  • 「普通に」面白い

    最近の乱歩賞受賞作の中では、最も抵抗感なく最後まで読み進められました。「普通に面白かった」という感想です。簡潔で短めの畳みかけるような文体によって、情景やヒロインの心情が過不足なく伝わってきます。作者はプロの作家だそうで、この辺りはさすがということでしょう。最近のミステリー作品の中では、オリジナリティーがあると言えるのではないでしょうか。 ただ、登場人物が皆ステレオタイプ、終盤の展開に意外性が乏しい、エンディングが感傷的過ぎて共感できないなどの欠点があり、星3つというところです。選考委員の意見も分かれたようで、湊かなえ委員は別の作品を強く推しています。そちらも読んでみたいところです。

  • 結末が嫌い

    物語は面白いと思う。映像化されれば見たいと思います。 ただ、 回りくどく感じたのと、最後に奈美が「ある事を発見」して再生してからが納得できないというか理解出来ない。 もっと単純にして欲しかった。

  • 面白かったです

    ここ数年はグダグダの乱歩賞だったのであまり期待せずに読みましたが、”闇に香る嘘”以来のらしい作品で面白かったです。確かに主要人物の設定や行動にややリアリティが欠け、ちょっとご都合主義的という指摘もあるとは思いますが、バタバタ人が死ぬ昨今のストーリーとは違い謎をしっかり追っていくという内容は好みでした。 雰囲気的には、”顔にかかる雨”を思い起こさせますが、小道具にSNS, AI, フェイクニュースなど盛り込んでおり、あまり古さを感じさせない出来だと思います。 シリーズ化(難しいですが)も期待です。乱歩賞ファンの皆様いかがでしょうか?

  • 沈黙

    この作品は、まったく合いませんでした。江戸川乱歩受賞作品なんですね。この肩書きは、過去の作品含めて、あてにならないですね。この作品で何を表現したかったんだろう、読者をどう楽しませようとしてたんだろう。

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