日本の文学賞

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恋ははかない、あるいは、プールの底のステーキ

野間文芸賞

恋ははかない、あるいは、プールの底のステーキ

川上弘美

幼少期をカリフォルニアで過ごした小説家の朝見は、離婚や手術を経たアン、作詞家のカズと、半世紀ほどの時を越えて東京で再会する。三人が酒席や会話を重ねるうちに、記憶、老い、恋とも友情とも名づけきれない感情がゆるやかに交わり、人生の時間が静かに照らし返されていく。

六十代の恋愛記憶と時間幼少期のアメリカ再会と距離感老いの自由

作品情報

時間にほどかれた記憶と恋が、六十代の再会を静かに揺らしていく。

『恋ははかない、あるいは、プールの底のステーキ』は、「群像」に2020年から2023年にかけて掲載された連作をまとめた講談社の単行本で、第76回野間文芸賞を受賞した。幼少期をカリフォルニアで共有した朝見、アン、カズが東京で再び出会い、コロナ禍の時間も背景にしながら、昔の記憶と現在の暮らしを行き来する。恋愛小説でありながら、関係をはっきりした名前に閉じ込めず、老いを固定観念ではなく、軽やかな会話と揺れ続ける感情の時間として描いている。

レビュー要約

  • 高い評価。川上弘美らしい淡い会話、記憶の揺れ、出来事を大きく動かさない余韻が支持されている。一方で、物語の輪郭のつかみにくさを好みが分かれる点として受け止める読者もいる。

  • 高い評価。新聞書評をきっかけに手に取られるなど、話題性と受賞歴に支えられた読まれ方がうかがえる。静かな語り口と晩年の関係性をめぐる余韻が読者の関心を集めている。

  • 高い評価。六十代の三人が近すぎず離れすぎず関わる空気、会話の軽さ、エッセイのようにも読める私小説的な感触に好意的な反応が目立つ。

書籍情報

出版社
講談社
発売日
2023-08-24
ページ数
296ページ
言語
日本語
サイズ
13.5 x 2 x 19.3 cm
ISBN-13
9784065324387
ISBN-10
4065324386
価格
1545 JPY
カテゴリ
本/文学・評論

あ、また時間に捕まえられる、と思った。 捕まえられるままに、しておいた。 小説家のわたし、離婚と手術を経たアン、そして作詞家のカズ。 カリフォルニアのアパートメンツで子ども時代を過ごした友人たちは、 半世紀ほどの後、東京で再会した。 積み重なった時間、経験、恋の思い出。 それぞれの人生が、あらたに交わり、移ろっていく。 じわり、たゆたうように心に届く大人の愛の物語。

川上 弘美(かわかみ・ひろみ) 1958年生まれ。96年「蛇を踏む」で芥川賞、99年『神様』でドゥマゴ文学賞と紫式部文学賞、2000年『溺レる』で伊藤整文学賞と女流文学賞、01年『センセイの鞄』で谷崎潤一郎賞、07年『真鶴』で芸術選奨、15年『水声』で読売文学賞を受賞。’23年フランス芸術文化勲章オフィシエ受章。ほかの作品に『風花』『どこから行っても遠い町』『神様2011』『七夜物語』『なめらかで熱くて甘苦しくて』『大きな鳥にさらわれないよう』『某』『三度目の恋』などがある。

レビュー

  • タイトルに惹かれて購入しました

    いくつになっても恋をする。 いくつになっても悩みがある。 自分がこの先歳をとっても、自分という人間はそんなに変わらないのかもしれない。 年齢なんて、あまり気にしなくてもいいのかもしれない。 読んでいてそう思いました。 そう思うと、なんだか少し楽になって、なぜだか少し安心しました。 いくつになっても、楽しく生きていけたら良いなぁ。 読んでいて心地が良い本でした。

  • 淡々と深い日々

    知り合いが「大学時代の同級生が「娘が小説書いているんだよ」と話していたのが川上弘美だったんだよ」と言っていたことがあり、本の中でその父親が出て来てにわかにリアルに迫ってきて、その知り合いは数年前に亡くなっているのだが、その知り合いは本に出て来ないのに、懐かしくてたまらなくなった。 この中のわたしは帰国子女で、その当時のこと、帰国して20年経って友だちと再会したりするのは多分彼女自身のことも織り込まれているのだと思う。 その幼なじみが高円寺に住んでいて、何度か一緒に飲むのだが、喫茶店なのに、焼き鳥とポテトサラダが出る店はどこにあるのだろうか、きっとありそう なんていろいろな思いにあちこち引っ張られながら読み終えた。 年をとっていくことを、ちょっとななめに、乾いているけど、目をそらしたりはしない、久しぶりに読んだ川上弘美さんはちょっと年下だけど、同じ感覚で年を重ねていると思えて嬉しかった。

  • 概ね楽しみました・ネタバレあります

    初っ端から一旦休憩 どん底も悲惨も残酷も人より耐性ある自負があるが、せめてもの心尽くしの食い物が拒否される描写には弱い。と、いうか辛い 心の準備が出来てなかった。1日寝かせる 読み進んだら↑の方向に胸痛む感じじゃなかったんでほっとした 過去のふり返りと現状の分析はやり過ぎると中毒起こすよなー… 自分の事を嫌う大人は時々じゃなくて頻繁に身近にいたな。嫌いだとはっきり悟らせてもらったモンだった と、余計な事を思い出してみた 概ね楽しく読みました

  • ひどい対応

    中古品良いとなっていましたが1ページ破れていてその破れを付箋3枚で貼り付けてありました。 内容も期待はずれだったのであまり良い気持ちではありません。

  • 安らぎさ。マイペースで生きていこう。

    とても気に入ったので、友人たちに回して読み合っています。

  • 川上弘美発見、初期の作品から読んでいきたい。

    仕事が忙しく、ビジネス関係の読むべき本も多く、65歳で会社人生を卒業して初めて川上弘美さんの小説を読みました。著者は同世代、しかも多くの文学賞を獲得し、紫綬褒章まで頂いている方とは知りませんでした。著者の名前はぼんやり視界にあったものの、読んだのは本書が初めてです。 文体は読み易く、言葉を大切にされているのはさすがだなと思います。65歳前後の世代を対象にした小説が余りないので挑戦されたとも聞き、それはある程度実体験から取材したこともあるのでしょうが、とても成功していると思います。 因循(いんじゅん)、気ぶっせい、見過ぎ世過ぎ、二合半(こなから)、韜晦(とうかい)、倉皇(そうこう)など日常使わない言葉にも出会え、「キャッと叫んでロクロ首になる」という吉行淳之介(牧野信一)の言葉にも出会えました。芥川賞を受賞されてから長い年月を経て円熟した現在の書き方になっているのだと思います。 これから川上弘美さんの初期の作品から順次読んで行きたいと思います。とても楽しみです。

  • 作家の日記を読むよう

    川上弘美さんの本は三冊しか読んだことがありませんでした。『神様』と『センセイの鞄』と、俳句集『機嫌のいい犬』です。 俳句集がいちばん好きでした。川上さんは女性として憧れの存在でもありますが、どこか謎めいていて、作品を読んでも僕などは置いていかれることも多かったのがあまり読めなかった理由かも知れません。 この作品は読売新聞の読書欄を見て、どうしても手に取りたくなったのです。 まず、読みやすかった。 「ほとびる」という言葉は初めて聞きましたが、まるで作者本人が日記を見せてくれているように感じられたから。 最後の章「栃木に飛んでいく」は、特に主人公がそこへ行くわけじゃありませんが、『センセイの鞄』にも確か栃木へ茸狩りに出かける件りがあったなぁと、思い出したりしていました。 ふだんは忘れているのに、どこかに染み付いているのでしょうね、川上さんの紡ぐ言葉は。 次も川上さんの本を読みます。俳句の季語について語った本を買ってしまいました。

  • 涙が止まらないです。

    涙が止まらないです。仕事に追われてる人は必読です。

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