作品情報
京都で出会った二人の距離が、言葉と朗読を通して少しずつ近づいていく。
第20回すばる文学賞受賞作。集英社文庫版は1999年11月刊で、京都の大学で日本文学を学ぶ留学生と盲目の女性の恋を描く。のちに英訳『Ichigensan: The Newcomer』も刊行された、国境や言葉の感触が残る恋愛小説です。
レビュー要約
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異国の視点から描かれる京都と、盲目の女性との恋愛の組み合わせが新鮮だと受け止められている。日本語で書かれた文章のやわらかさや、文化の壁を越えていく感触を評価する声が目立つ。
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異文化のずれや、言葉になりきらない感情の動きが魅力として語られている。外国人作家ならではの視点が、恋愛小説としての繊細さと京都の風景の魅力を引き立てているという受け止め方が多い。
書籍情報
- 出版社
- 集英社
- 発売日
- 1999-11-19
- ページ数
- 216ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784087471458
- ISBN-10
- 4087471454
- 価格
- 5 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論/文芸作品/日本文学
京都の大学で日本文学を専攻する留学生の「僕」。目の不自由な若い女性・京子と知り合い、次第に彼女と恋に落ちていく…。第20回すばる文学賞受賞のセンシティブな恋愛小説。(解説・沼野充義)
レビュー
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とても満足しています。
対応も本の状態も申し分ありませんでした。いろいろと有難うございました。
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京都に限りません。
これは一種のエッセイ小説のような趣の作品です。 主人公のいらだちや心の揺れはよく伝わってきて、その味わいが一番の良さです。 主人公のシャイな感じが清心さの原因でしょうか。 京子の独特な強さは比較的よく出ていますが、主人公の目を通しての描写故の限界があって、今ひとつ鮮やかではありません。 しかし、東京で何があったのが、なぜ京都に来たのか、なぜ母親は主人公との関係を黙認しているのか、 そういった事を想像させるだけの要素は含まれていて、この辺がもっと積極的に展開されていると、京子が主人公の全く別の小説になったかと思います。 それだけの魅力があります。 あと気になるのは、主人公が京子の母親に抱く微妙な感情の描写です。 京子への感情より、この方が深いような気さえします。 あっさりと出てくるだけに非常に気になります。 主人公のいらだちは、普通の人間として接してもらえず、なにか珍しい物でも見るような、好奇なまなざしで見られることから来ています。 これは京都に限らないでしょう。 むしろここで登場する無神経な人々は、京都の人というよりは外国人にやたらと劣等感を抱いていながら何か親しくしてもらいたいというような卑しい根性を持った日本人一般です。 たまたま舞台が京都のためにそんなふうに思われるかも知れませんが、京都の人の冷たさはもっと救いがないと思われます。 それにしてもここで描かれている同志社の国文科は気の毒です。 こんな大学なら誰も行きたがらないでしょう。 友人が国文への転学部試験を受けたときの先生の意地悪な話を思い出しました。
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言いたいことは・・・
おそらく書きたかったのは、京都(というか日本)の閉鎖性だったんでしょうけど、そのために設定したキャラクターにしては京子さんはよく書けてるとおもいます。ただ、少し透明感が強いかな。現実味が薄いというか・・。まあ、純愛物語としては充分読めました。
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お気に入りです
外国人が書いたとは思えない繊細な表現力に惹かれると共に感動しました。久しぶりに美しい日本語に触れたようなそんな気分です。京都の独特な雰囲気に京子と自分を重ね合わせた彼の意味する『いちげんさん』。意味するものに対する感想は人それぞれでしょぅが個人的には彼の美しくもありユーモアも感じられる豊かな表現力が素晴らしい作品だと思います。私のお気に入りの本となりました♪美しい日本語の活字に触れてもらいたく是非とも外国人の友人にも贈りたいと思いました♪
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ただの
異人さんの日本滞在紀行です。 日本というか、まぁ京都ですかな。 これといって、秀でたところが あるとは思えない内容であり 文章であり、そして全てである。
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「いちげんさん」というタイトルが秀逸
すばる文学賞受賞作であり、芥川賞の候補作となっていたのは知っていましたが、外国人作家が書いた日本語の小説という話題先行のイメージを持ってしまったため、最近まで手に取ることがなかったのが悔やまれるほど実に魅力的な小説でした。 解説の河野充義氏が書いているように、「外国人」だと決めつける視点がすでに本作の根幹テーマであるわけです。静かに「僕」の内面を描写していく手法は村上春樹的だと読みながら感じ、官能的な箇所は谷崎純一郎や安部公房的だなと感じていたら、河野氏も同様の印象を持っていました。ゾペティのバックグラウンドにそのような豊富な文学体験があったのでしょう。卒論が志賀直哉の「暗夜行路」ですから、私小説の世界への傾倒ぶりは作者の本質だと見てとりました。 京子の描写は実に美しく、まるで理想郷の中の人物のような印象を持ちました。それが小説の色合いにマッチしています。京子という目の不自由な女性を登場させたことでお膳立てはそろったわけです。 印象に残った箇所は「京都は壁の街だって。土塀、竹の柵、簾、格子、昔美しいと思っていたこれらのものは、だんだんと僕の目には、この街の人々の心の壁の象徴に見えてきた」と語らしています。京都なるものの一面を見事に浮かび上がらせたもので、京都としていますが、日本人的な見方の象徴としての京都にその壁を感じさせたわけで、この一節は文化的な考察力が感じられます。 ときおり、過剰なレトリックやステレオタイプ的な人物描写が目につきますが、「いちげんさん」というテーマを考えると当然の帰結だと思いました。京都の街の地理感覚や細かいところまでしっかりと描かれているのは作者の私生活の繁栄でしょう。秀逸な作品でした。
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ハルキスト?
京都に留学に来て日本文学を勉強し、恋をし、遊牧民のように広い世界を求めて去って行った「僕」。作者はハルキストか?
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描写が美しい、留学生と目の見えない女性の物語り。
ガイジンとして、京都に暮らす主人公が感じる、「差別」「疎外感」。それが余りにもステレオタイプ過ぎて、海外に留学するような学生なら、「差別」「疎外感」をこれ程、否定的に捉えないのではないか、と感じてしまった。海外を知っている人なら、この本の主人公とは違い、全てを含めて受け入れるような寛容さがあるのではないかと思う。 以上が、マイナスポイントだが、それ以上に、二人の恋が感覚的に美しい。気に入りました。
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- すばる文学賞 第20回(1996年) ・受賞