作品情報
閉じた町のなかで、わずかな光を手探りする。
第41回すばる文学賞受賞作。2018年に集英社から単行本刊行。
書籍情報
- 出版社
- 集英社
- 発売日
- 2018-02-05
- ページ数
- 136ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784087711356
- ISBN-10
- 4087711358
- 価格
- 1430 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論/文芸作品/日本文学
第41回すばる文学賞受賞作品 漫画家松本大洋さん推薦! 素晴らしかったです! 久しぶりに本物の文字書きさんの文章を浴びたようでした。 ヒリヒリとかっこ良かった。。。。。 汚れた手で彼に触った、どうしたいのかもわからないまま。 工場しかない閉じられた町で暮らす実以子。 中学を卒業して以来、手帳に職場の弁当工場にいく時間を記すだけの日々。 自宅では母親が実以子の持ち帰るにおいに顔をしかめて、娘を追いつめる。 「結局あんたみたいなのが、人に迷惑かけても顔色変えずに生きられるのよね」(本文より) ある日実以子は「八つ山」と呼ばれる裏山で、カムトと名乗る青年と出会う。 二人は共に時間を過ごすようになり、それは行き場のない者どうしのささやかな交流であったはずが……。 母のいらだち、父の無関心、遠ざけられた現実―― 不穏な日常をふりきり、二人が求めた光点とは。 【著者略歴】 山岡 ミヤ(やまおか みや) 1985年神奈川県生まれ。法政大学社会学部卒業。2007年、「魚は水の中」で第24回織田作之助賞〈青春賞〉佳作。2017年、本作で第41回すばる文学賞を受賞。
レビュー
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不思議と胸に残る。
読んでいる最中は、別段引き込まれるような内容ではないなと思っていた。文章もどこか違和感があって読みづらい。でも、それでも読み終えた後、何日か過ぎたあたりからふとした瞬間にこの本のことを思い出した。内容なんて朧げにしか覚えていないのに、気づけば凄いものを読んだような気がしてしまう。 なにか、人間の奥底に響かせる魔力、あるいは魅力がある本だと思う。人は選ぶと思うけれど、読んで損はない一冊。
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著者の訴えたいことが何ともわかりづらい
工場のほかには何もない町で、自宅と工場とを行き来するだけの日々を送る実以子。ある日美以子は、神社のある八つ山で、カムトという青年と出会う。 家では母親から心ない言葉の暴力を毎日浴びせられ、乾ききった美以子の心は、やがて八つ山に救いを求めるようになる。 一方、カムトは、妹に対して偏執的な愛情を抱いており、それを美以子に隠そうともしない。そして、ある種の原始宗教的な自己の習慣に、美以子を引き込んでいく。 母親の踏み外し具合は相当なものであるにも拘わらず、美以子の反発や憎悪がほとんど描かれていない点が、どうにも物足りない。 カムトと美以子の「禁じられた遊び」的な儀式にしても、淡白に描きすぎていて、著者が訴えたいことが伝わってこない 。 第41回すばる文学賞受賞作。他のレビューでも高評価だが、残念ながら良さがわからなかった。
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良さがわからない
〇あまり恵まれない主人公の家庭と生い立ちと、カムトという名の友人のこれも恵まれない境遇が語られる。とても暗く救いのない小説。 〇この作品は、すばる文学賞の受賞作で評者は高く評価しているようだ。しかし私はさっぱり良さがわからなかった。 〇何ということのない日常的な動作や情景が比喩を多様して描写され、その比喩はいかにも不自然大げさでリアリティを欠いていて作者の力こぶばかりが空しく伝わってくる(話者の認識のゆがみを表現したいのであれば、このような比喩や表現は良いと思う。しかし通常の描写として使われると鼻白む)。思わせぶりなストーリー、大げさな描写、象徴的すぎる物事、ステレオタイプな設定など、こういうものが純文学なのだと言うのであれば、私にはあまり必要ないものだと思った。
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睡眠薬のつもりが一気に読んでしまった
『温泉妖精』(第39回)、『そういう生きもの』(第40回)と、過去2回のすばる文学賞受賞作は読み終えるのにけっこう時間がかかったので、本作『光点』(第41回) は、最初から睡眠薬のつもりで布団の中に持ち込みました。寝つきの悪い時の対策としては、かなり有効なので。 ところが読み始めてみると、すぐに出てくる若い女性主人公実以子の母親のハチャメチャな台詞と性格がハンパなくて、さらには実以子とカムトという青年との神社での交流も一風変わっていて、睡眠薬のはずが気づけば最後まで一気に読んでしまってました。(お金返して!) ラストが唐突に終わっていて、まだ先があっていいんじゃないのと思ったくらい。 この作品、宗教的な思索がひとつのテーマで、それぞれに過去を背負った実以子とカムトが八つ山の神社で会って「祈りのかたち」や「神様」の話をしながらお互いについて理解し合うという流れであり、その中でカムトとその死んだ妹との異常ともいえる兄妹愛の話も出てきて、はたまた、母から熱愛されながらちゃっかり外に女を作っている優しい父親も出てきて、自然に先を読まずにはいられなくなる。 読後は「あのあと実以子とカムトの恋 (と言っていいのかも謎) の行方はどうなるんだろう? 母親から憎まれ嫌われている娘実以子の将来は? 優しい父親と愛人のその後は?」と、さまざまな思いが脳裏をよぎって睡眠薬どころの騒ぎじゃない。(お金返して!!) 何はさておき一気に読ませるというのは、ひとつの才能ではある。 たんなる恋愛では割り切れない男女 (兄妹含む) の関係性や宗教的会話、母と娘の関係の難しさなどなど、それ自体はいずれも現代小説として陳腐なテーマながら、作品全体からは何か得体の知れない異様な気配が立ちのぼっていて、その異様な気配が何なのか突き止めたいばっかりにどうしても先を読まずにはいられない--そんな作品でした。
関連する文学賞
- すばる文学賞 第41回(2017年) ・受賞