日本の文学賞

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ミシンと金魚

すばる文学賞

ミシンと金魚

永井みみ

認知症を患うカケイが、介護の場で自分の生きてきた道を語り始める。生と死、暴力と愛情を刻む第45回すばる文学賞受賞作。

認知症介護記憶暴力女性の一生

作品情報

記憶の絡まりのなかから、一人の女の一生が立ち上がる。

第45回すばる文学賞受賞作。2022年に集英社から単行本刊行。

書籍情報

出版社
集英社
発売日
2022-02-04
ページ数
144ページ
言語
日本語
サイズ
13.4 x 1.7 x 19.4 cm
ISBN-13
9784087717860
ISBN-10
4087717860
価格
1080 JPY
カテゴリ
本/文学・評論/文芸作品/日本文学

【第45回すばる文学賞受賞作】 【選考委員絶賛!】 小説の魅力は「かたり」にあると、あらためて感得させられる傑作だ。――奥泉光氏 この物語が世に出る瞬間に立ち会えたことに、心から感謝している。――金原ひとみ氏 ただ素晴らしいものを読ませてもらったとだけ言いたい傑作である。――川上未映子氏 (選評より) 【絶賛の声続々!】 「言葉にならない」が言葉になっていた。掴んだ心を引き伸ばして固結びされたみたい。今もまだ、ずっとほどけない。――尾崎世界観氏(ミュージシャン) いまだに「カケイさん」の余韻が、胸の奥をふわふわと漂っています。生きることの全てが凝縮されている、とてもいい物語でした。――小川糸氏(作家) カケイさんの心の中の饒舌に引き込まれているうちに、小説としてのおもしろさと力強さに頭をはたかれました。読み終わった時には、自分自身が癒されて、私ももっと小説を書きたい、頑張りたい、と強く思いました。――原田ひ香氏(作家) カケイさんの中に亡き祖母を見た。祖母もきっと見ただろう花々に私も出逢えると信じて、これからも生きてゆこう。――町田そのこ氏(作家) 認知症を患うカケイは、「みっちゃん」たちから介護を受けて暮らしてきた。ある時、病院の帰りに「今までの人生をふり返って、しあわせでしたか?」と、みっちゃんの一人から尋ねられ、カケイは来し方を語り始める。 父から殴られ続け、カケイを産んですぐに死んだ母。お女郎だった継母からは毎日毎日薪で殴られた。兄の勧めで所帯を持つも、息子の健一郎が生まれてすぐに亭主は蒸発。カケイと健一郎、亭主の連れ子だったみのるは置き去りに。やがて、生活のために必死にミシンを踏み続けるカケイの腹が、だんだん膨らみだす。 そして、ある夜明け。カケイは便所で女の赤ん坊を産み落とす。その子、みっちゃんと過ごす日々は、しあわせそのものだった。それなのに――。 暴力と愛情、幸福と絶望、諦念と悔悟……絡まりあう記憶の中から語られる、凄絶な「女の一生」。 【著者略歴】 永井みみ ながい・みみ 1965年神奈川生まれ。ケアマネージャーとして働きながら執筆した本作で第45回すばる文学賞を受賞。

レビュー

  • 誰にでも来る現実

    必ず来る現実を、そんな遠くない現実を見た気がして苦しかった。 現在の母と遠くない現状で、母には壮絶な過去は無いが重ねてしまい苦しかった。苦しいと思いつつ、一気に読んでしまった。苦しかったが、読んでよかった。 母に優しくしようと思った。

  • 特殊な文体

    ここまで一人称な文体は初めてみました。 認知症の本は読んだことがあります。 そういう健常者目線なので知識としてあったのですが、この本は当事者そのものでした。 面白かったというよりは、不思議な体験をしたような本でした。

  • 感嘆しかない。

    泣いた。めちゃくちゃ認知症をわかってる方でなければ書けない。作者はケアマネさんだそうだ。わたしもケアマネやってた時は忙し過ぎて自分の時間もなかった。どんな工夫をされて本を完成されたのか気になる。高齢者介護に関わっている人にも、全然知らないって人にもおすすめ。内容は激しすぎて癒される要素はないけど。底抜けに切なくて、格好悪くて、リアル過ぎる。感嘆しかない。

  • いっきに読みました

    新聞の本の紹介で気になり購入。いっきに読みました。愚かだけど懸命に生きた女の一生で、人生ってなんだろうと思わせる内容でした。

  • 読み終えるのに時間がかかった

    普段僕の接している文体と違うので読み過ぎてからハテ読み違えたかなと読み直したりした。丁寧に読んだので読了迄少し時間がかかった。認知症と言われる人が周りに沢山居るけどそういう人と比べてカケイさんは確りしていると感じた。

  • 表現が、よく考えられている

    一人称で展開していく表現 認知症の方が主人公 文学的で介護のケアに関する物語は どうしようもない 抜け道がない暗闇にむかう展開が 多いが これは違う

  • 初めてのタイプの本

    最初、だれ視点の物語かわかるまで読みづらかった。今まで読んだことのないタイプの本だった。面白かった。

  • 読了してから本を閉じて改めて表紙を見ると…

    語り手の「カケイさん」は認知症を患い、孤独に暮らす老婆。たまに「嫁」が様子を見にくるが、デイケアの「みっちゃん」たちの介護を受けてどうにか日々を過ごしている。 母も兄も亡くなり、カケイさんの回想が進むにつれ、継母に受けた虐待や、息子がすでに死んでいて、それを何度聞かされてもカケイさんが憶えていられないこと、そしてなぜカケイさんがデイケアの女性みんなを「みっちゃん」と呼ぶのかその理由が明らかになっていく―― まず、作者が実際に介護職に就いていたこともあり、このカケイさんの語り口が生々しすぎる。このリアリティが圧巻。そして、ぼくが感動したのはこの小説を読み了えてまったく「泣けなかった」こと。これはなぜかというと作者が全力でこのカケイさんを「可哀そうなお婆さん」にはしないぞ、と断固たる決意をこめて書いているからだと思う。帯に「凄絶な一生」とあるがこれは間違いだ。これはどこにでもいそうな女性の人生をただ書いた。そんな小説だと思う。タイトルの「ミシンと金魚」がせつない。

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