日本の文学賞

← 受賞作品一覧に戻る
最愛の

島清恋愛文学賞

最愛の

上田岳弘

手紙で結ばれた久島と望未の関係を軸に、愛が遠ざかるほど言葉が生まれていく過程を描く恋愛小説。

恋愛小説手紙記憶喪失言葉

作品情報

愛する人が遠くなったとき、別の物語が始まる。

集英社から2023年9月に刊行された小説。学生時代から手紙を交わしてきた二人の関係を通して、現代における愛と自己表現のあり方を見つめる。

書籍情報

出版社
集英社
発売日
2023-09-05
ページ数
360ページ
言語
日本語
サイズ
13.4 x 2.9 x 19.4 cm
ISBN-13
9784087718409
ISBN-10
4087718409
価格
2310 JPY
カテゴリ
本/文学・評論/文芸作品/日本文学

【第30回島清恋愛文学賞受賞作】 「約束して。私のことは跡形もなく忘れる、と。」 久島は、情報も欲望もそつなく処理する「血も涙もない的確な現代人」として日常を生きている。 だが、学生時代に手紙を交わしつづけた望未だけが、人生唯一の愛として、いまだ心を離れない。 望未は手紙の始まりで必ず「最愛の」と呼びかけながらも、常に「私のことは忘れて」と願い、何度も久島の前から姿を消そうとした。 今その願いを叶えるべく、久島は自分のためだけの文章を書き始める――。 愛する人が誰よりも遠い存在になったとき、あらたに言葉が生まれ、もうひとつの物語が始まる。 「永遠の恋人」を描いてきた著者が最高純度で贈る、超越的恋愛小説! 【著者略歴】 上田岳弘(うえだ・たかひろ) 1979年兵庫県生まれ。2013年「太陽」で第45回新潮新人賞を受賞しデビュー。15年「私の恋人」で第28回三島由紀夫賞、18年『塔と重力』で第68回芸術選奨文部科学大臣新人賞、19年「ニムロッド」で第160回芥川龍之介賞、22年「旅のない」で第46回川端康成文学賞を受賞。他の著作に『異郷の友人』『キュー』『引力の欠落』など。

レビュー

  • ギリギリの仕掛け

    わかるかわからないかのギリギリの仕掛けが最初から最後まで飽きさせませんでした。 面白かった。ありがとうございます。

  • タワマンに住んでいるような望未とそうでない望未

    今はSNSで誰とも特定できない人(仮)に向かって短い手紙のようなものを書く。 ほんの少し前までは特定の人に手紙を書いて文通をしていた。 でも、その時から本当に相手は手紙を読んでくれているのか疑っていたとは思う。 手紙だから相手はきちんと読んでくれているという神話は、今のSNSの時代で怪しくなった。 自分はこの小説を正しく読んでいないと思う。実は手紙を書いていた頃も、今のSNSみたいに相手にほとんど自分の気持ちは伝わっていなかった気がする。 タワマンに住んでいるラプンツェルと呼ばれている女性のパパ活の相手のおじいさんに、本当は今も忘れられない愛する人はいなかった、その恋人はおじいさんの想像上の人物だったというエピソードがあるけど、主人公の久島の文通の相手、人生で唯一愛した相手の望未もおじいさんの想像上の恋人と変わらない気がする。 久島が文通していたのは、本物の望未とラプンツェルのような望未、でもどちらのほうを愛していたかは久島にもわからないし、「私のことは忘れて」と言われてもどちらの望未を忘れてあげればいいかわからない。

  • 一気読みさせる本です

    小説のパターンはまだまだ出尽くしていなかったのかと読後に思った。タイトルの意味も、主人公とともにおそらく読者が抱く疑問も、最後の50ページほどで氷解します。また、伏線の張り方もよく、読み終わって結果を知ってて読み直すと、さらっと読んでいたところに、意味があったことに気づきます。続きを早く読みたくて、中断して本を閉じることがなかなかできない本でした。今時文通、という時代錯誤のような印象を持つ人がいるかも知れませんが、やはりこの本は、文通でないとダメだし、文通ならではの味を出しています。テレビでなく、ラジオじゃなきゃダメみたいなたとえでしょうか。

  • 文通は、もう死語なのか?

    中学1年の時、雑誌の投稿で文通友達(ペンフレンド)が出来た。ラストがハッピーエンドになる事を願って読み進んでいったが、微妙なエンディングで…。

関連する文学賞