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幻をなぐる

すばる文学賞

幻をなぐる

瀬戸良枝

一夜の出来事をきっかけに、失恋の痛みと身体の執着が増幅していく。妄執とユーモアがせめぎ合う第30回すばる文学賞受賞作。

失恋身体執着欲望ユーモア

作品情報

失恋を忘れようとするほど、執着は深くなる。

第30回すばる文学賞受賞作。2007年に集英社から単行本刊行。

書籍情報

出版社
集英社
発売日
2007-01-06
ページ数
152ページ
言語
日本語
ISBN-13
9784087748437
ISBN-10
408774843X
価格
2251 JPY
カテゴリ
本/文学・評論/文芸作品/日本文学

“マッスル"な失恋克服記の登場!! 理想の男と奇跡的にセックスしたものの、手ひどく裏切られた中川。相手を忘れるために体を鍛え、自慰に励むが妄執は増すばかり。生々しくもピュアな“現代の失恋の生態"が女性たちの共感を誘う。第30回すばる文学賞受賞作。

レビュー

  • サルトル、ミシマ、アミノ酸

    表題作のみレビュー。簡単に言えば、失恋して自暴自棄になった若い女の自傷と回復を描いたみたいな感じか。 「じんわりと闇に滲んだ熱狂は恐ろしい。自制心のない軽業師のように道理を無視して、車の窓という窓から身を乗り出した人型の影がいくつも狂い回り、候補者の名前を大きな声で何度も何度も連呼する。」 みたいな文章が終始続く。まあ、これは選挙カーの描写か。

  • タイトルにこだわりたい

    上にある出版社からの紹介には「“マッスル”な失恋克服記の登場!!」とありました。また「生々しくもピュアな“現代の失恋の生態”が女性たちの共感を誘う」ともあります。私は男性ですが、現代の女性は失恋すると筋トレをして自慰をしまくり、しまいには“幻”をボコボコにしてしまうとはとうてい思えません。(ハチャメチャなところはそれはそれで本書のおもしろみのひとつですが^^) 私が読んでいて気になったのは、“幻”とはなんだろうということでした。恋愛という幻?ネタバレになるので書きませんが、主人公がなぐったものはなんだったんでしょうか。そのことに注目すると単なる共感以上の、本書の本当におもしろいものを汲み出すことが出来るのではないかと思います。

  • 文章が残念

    「マンコを弄っている五指」とか「精子」「陰茎」等々、「わたしはこんな強烈な言葉を使っちゃうんだぞ!どうだ!」という作者の自意識が見える気がした。 吟味して使っている言葉と、陳腐な言葉が混在している。もう少し文章に気を配ればいいのに。 女無頼派のポジションを狙っているのか? それにしては、作者が正直で真面目すぎる人のような印象を受けた。 あれだけ肉体を酷使してもダメ男をふっきれないところ、微妙に芸術的な才能がある(っぽい)ところ、内面世界は激しく悶々としているのに電話口ではそうね、そうだったっけ、と無難な相槌しか打たない(打てない)ところなどは妙にリアリティがあって面白かった。

  • 何をなぐる

    「マッスルな失恋克服記」などと書いてあるから、もっと明るめのものを想像してたら、 あまりにも鬱屈した主人公と、わずらわしいことだらけの内容に感動してしまった。 どんだけ溜まってるんだ。作者に何があったんだ。痛すぎて笑えてきた。 周囲になじめず、アーティストの才能のようなものを微量は持ちながらも、田舎で平凡な人生を歩むしかない人。 世界中にこの中川のような人はいるんだろうなあ。 安定した職についた元文学少年、少女、元アーティスト志望だった人に読んでもらって、あのころの鬱屈を思い出してぞわぞわしてほしい。 クラスで孤立している中学生にも読んでもらいたい。 きっとこの主人公に救われる人はいるはず。

  • 不器用なたくましさ

    中川の不器用さ、間の悪さが自分を見ているみたいで苦笑いしながら読みました。私も恋愛ではないですが日々の生活で、何となく幸せに裏切られたようなことが今まで大なり小なりあるので、幸せの頂上を超えたときの虚しさ、やりきれなさはわかるような気がしました。幻に対抗する中川のはちゃめちゃな行動には見習いたいような、見習いたくないような…。

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