日本の文学賞

← 受賞作品一覧に戻る
11時間 -お腹の赤ちゃんは「人」ではないのですか-

小学館ノンフィクション大賞

11時間 -お腹の赤ちゃんは「人」ではないのですか-

江花優子

妊娠中の交通事故で生まれた子を失った夫婦の裁判を追い、胎児は法的に「人」なのかという難題に迫るノンフィクション。刑法、損害賠償、中絶をめぐる社会的葛藤を取材で掘り下げる。

胎児の人権交通事故刑法中絶問題

作品情報

十一時間を生きた子の死から、胎児の人権という問いへ踏み込む。

『11時間 お腹の赤ちゃんは「人」ではないのですか』として小学館から刊行。楽天ブックスの商品情報で ISBN、内容紹介、著者情報、受賞情報を確認した。

レビュー要約

  • 当事者の悲しみと法制度の壁を追う取材姿勢が評価され、語りにくい論点へ踏み込む問題提起の強さが読者に残る。

書籍情報

出版社
小学館
発売日
2007-06-29
ページ数
258ページ
言語
日本語
ISBN-13
9784093965040
ISBN-10
4093965048
価格
2426 JPY
カテゴリ
本/文学・評論

「胎児は人か否か」に切り込む渾身のルポ 交通事故被害に遭った夫婦は、妊娠8か月で待望の赤ちゃんを失った。わずか11時間を生きたわが子の人権を訴える夫婦に立ちはだかる法の壁。胎児は人か否か。誰も語ろうとしなかった問題に鋭く切り込む渾身のレポート。

レビュー

  • 勢いよく読みきれず…。

    内容的には、むろん重要なテーマであることは間違いないのだが、残念ながら最後まで読み終えないまま本棚いきになってしまった。なぜだか退屈してしまい……。文書も上手いのではあるが、どこか単調?というか、いまいち「引力」「力強さ」にかける。胎児は人として認められるか、というのは非常に大きな問題。だからこそ、もっと挑戦的というか大胆な切り込みかたが欲しかった。途中で問題がバラバラ飛んで書かれているようにも思った。 どうも、長年週刊誌の仕事をしてきた著書は、週刊誌の書き方の匂いが抜けないように思う。辛口で申し訳ないが、これで優秀賞? 1500円損をした。

  • 本当の年間の堕胎数は

    30万件じゃなくて 110万件くらい えらい ごまかしている 理由もしらべてほしかった

  • 難しいけれど、一生懸命考えてみよう

    「胎児は【人】ではないの!?」 「いつから【人】になるの!?」 交通事故に遭って妊婦が緊急出産した場合、 胎児に怪我をさせたり死亡させたとしても、 それに対する罰則規定がないなんて!! 誕生を心待ちに日々を過ごしている時に 事故に巻きこまれて突然わが子を喪い、 その上、その子は【人】として扱われないなんて・・・ 法律で定められていることだから仕方ない、なんて思えない。 「産むと決めた瞬間から、たとえお腹のなかにいたとしても、 ひとりの命であり、家族の一員なんです。」 娘を喪った女性のこの言葉に、胸がグッとなった。 うち自身には妊娠&出産の経験はないけれど、 そのとおりやと思う。 大事にされるべき存在やと思う。 でも、 女性の5%以上が性的被害に遭っているという現代日本。 自分ではどうしようもない心身の理由や、経済的な問題から、 望まぬ妊娠も数多くあるらしい。 妊娠初期の段階から胎児が【人】として認められてしまうと、 人工妊娠中絶が「殺人」になってしまう。 「夫婦や恋人であっても、 合意がないまま性行為を強いられることは、レイプです。 レイプは女性の人生にとって大打撃であり、 心に深い大きな傷を残します。 そんな状況の中で、 せっかく宿った命だから産もう、と考える余裕はなく、 中絶をすることによって外的状況だけでも原状回復したいと 願うのです。」 実態調査をしている弁護士のこの言葉や、 被害に遭った女性の言葉にふれて、 自分の身に置き換えて考えてみると・・・ 愛情を持って育て続けられるかどうか自信がない。 「胎児も人なんやから中絶は人殺し!! 理由がどうであれ、絶対産め!!」となってしまうのは、 とってもツライ><; 難しい問題なんやなぁと改めて思った。 でも、一生懸命考えないといけない問題なんやと思う。

  • 待っていた赤ちゃんが人扱いされないとき

    第13回小学館ノンフィクション大賞優秀賞受賞。 交通事故で妊婦が緊急出産した場合、人として認められてない胎児に怪我をさせたとしても罰則規定がない。胎児を人として見ない法律に対し、法の壁に遮られ嘆き苦しみ涙を呑んできた人たちを思い、著者は取材を始めた。 取材を進めながらも、偏った視線にならぬように、この問題と対になってしまう人工妊娠中絶にも手を広げている。 命は尊いからこそ人工妊娠中絶についても踏まえて、胎児の人権について議論すべきだと、江花さんがが真摯に向き合った姿勢が見える本だった。 加えて、被害者側からしか取材を承諾してもらえなかったことも忘れていない。加害者側も事故を起こしても平気だというわけではない、押し隠した胸の内を江花さんは知ろうとしてる気がした。 難しい問題だが、産むつもりで出産を心まちにしていた人が事故に巻きこまれわが子を失い。かつ、その子が人として扱われないのは心の傷を更に広げてしまう。 被害者である女性が語った「どこから人になるのかと、ものすごく考えました。私は産もうとすれば、それは人になるんじゃないかと思うんです。」この言葉が、受け流すことが出来ない言葉として残った。

関連する文学賞