作品情報
混沌の時代に、己の正義を貫こうとする。
小学館文庫から2022年に刊行された日本語版。ニクラス・ナット・オ・ダーグの『1793』に続く第二作で、ヘレンハルメ美穂訳による歴史ミステリとして読まれている。
書籍情報
- 出版社
- 小学館
- 発売日
- 2022-09-06
- ページ数
- 640ページ
- 言語
- 日本語
- サイズ
- 10.5 x 2.2 x 15 cm
- ISBN-13
- 9784094071474
- ISBN-10
- 4094071474
- 価格
- 1430 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論/文芸作品
北欧発、超弩級歴史ミステリー三部作第二弾 フランス革命の影響を受け、陰謀と暴力、貧困と死に満ちた1794年のストックホルム。その前年、カリブ海に浮かぶ植民地サン・バルテルミー島での過酷な日々を終えて故国に帰還した若者エリックは、幾多の困難を乗り越え将来を誓い合った娘リネーアと、ついに夫婦となろうとしていた。しかし幸福の絶頂である婚礼の日の夜、エリックは地獄へと突き落とされる。戦場帰りの風紀取締官カルデルと、亡き相棒の弟エーミルは共に深い傷を抱えながらも、人のなりをした怪物の正体を暴くため、暴力と奸計渦巻く北の都を奔走するーー。 スウェーデン発の大ベストセラーにして、日本のミステリーファンに大きな衝撃を与え絶賛された『1793』。その続編がついに日本に初上陸!混沌の時代に正義を貫かんとする者たちを描く、超弩級の歴史ミステリー第二弾。 さらに、三部作完結編『1795』は、2022年10月に連続刊行。
レビュー
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「1793」に続く歴史ミステリ。但し、第2部「前編」的位置づけ。
「1793」で主役コンビの一人ヴィンゲの死が予告されていたので、どうするんだろうと思っていたが、彼に瓜二つの弟エーミル・ヴィンゲが代わりにカイデルの相手役を務める。このエーミル、顔と頭のキレこそ兄に迫るものがあるのだが、父親の歪んだ教育のせいもあり優秀な兄へのコンプレックスから狂気の兆候として幻覚に悩まされ、廃人寸前の状態で登場する。 (この幻覚が物語の重要なキーになっている) 醜い姿に熱い正義感を秘めた引立て屋カイデル、薄幸ながら強い意志で混沌の時代を生き貫くアンナ・スティーナなど前作からのキャラクターも活躍し、それぞれ独立した第三部までの物語が第四部で結びつきクライマックスに至る構成は同じだが前作ほど中盤での急激な方向転換もないので、読みやすくなっている。 但し、これから読んでみようかという方には注意点がある。 ①続いて刊行される「1795」も購入することを前提に入れておいた方がよい ラストの事件や悪役の行方などは本作中ではほとんど解決されず、次巻に引き継がれるクリフハンガーな結末です。 ②残酷描写に耐性のない方は要注意 北欧ミステリでは常識かもしれないが、鬱描写の破壊力は前作以上。私の場合途中で何度か中断を挟まなくてはならなかったので読了に時間がかかりました。正直ここまでやらんでも、というレベル。 ③スウェーデン史やストックホルムの地名の知識は必要(?) 我が国の場合スウエーデン史は北欧史の一部として断片的に扱われることが多く、日本人には三十年戦争の新教側の立役者 ”北方の獅子王” グスタフ2世(グスタフ・アドルフ)ぐらいしか人名の馴染みもないのでは? 物語の背景として歴史の言及があるくらいだった前作とは異なり、直接的な史上の人物との絡みやストックホルムの地誌的な描写も増えているので知識があった方が楽しめるかも。 解説部分で軽く史実的な概略は書かれているのだが、個人的には史上の人物の事績や当時のストックホルムの地図が欲しかった。 ここまで付き合ったなら「1795」も読むしかない。 まさかここぞとばかりに残酷描写を文字通り出血大サービス、ということにはなりませんように・・・・(笑)。
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残酷な描写が苦手なかた向きではないですが
前作1793に続いて読みました。登場人物のキャラクター(片手が義手の男性と、勇気ある女性など)に惹かれ、またぐんぐんと読み進めたくなる筆力に圧倒されます。でも、二度とそのページは読み返したくないという残酷な場面もあります。この作者の方の心の中に何があるのか・・1793、1794と読み進めて考え込んでしまいました。最後が明瞭には終わっていないので1795に進むべきなのでしょうけれど、少し迷っています。
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前作に引けを取らないおもしろさ
『1793』の続編。内容はほぼ独立しているので本書単独でも読み応えはあるが、登場人物と内容が一部前作に続いているので、やはり順番に読んだ方がいいと思う。 そして前作と違って本作はここで終わらなかった‼ 決着は『1795』(来月発売)に託される。 そういうわけで第一話が『1793』なら、第二話は『1794』と『1795』だ。 良家の子息エリックを襲ったたいへん残虐で悲惨な事件。その花嫁の母親が事件に不信感を抱き、警視庁に赴く。解決の見込みのない事件とみた秘書官は、(前回難解な事件を解決した)引っ立て屋カルデルに押し付ける。 一方、エーミル・ヴィンゲは、兄セーシルの遺品である懐中時計を捜しに、カルデルを訪ねて来る。そこでカルデルは事件の捜査協力をエーミルに依頼する。一旦は断ったエーミルだったが…。 このエーミルは姿かたちこそセーシルと瓜二つだが、もちろんセーシルのような才覚は持ち合わせておらず、それどころか心の病を患いアルコール依存状態にある。カルデルとの協力関係は当然ぎくしゃくとしていたが、優秀な姉の助言もあって、次第に潜在していた能力が表面化してくるのであった…。 エーミルの再生も、ひとつのテーマとなっている。事件自体は前作同様あまりにも残虐で、読んでいる方は怒りを禁じ得ない。闇組織は大きく深いが、そこに挑むカルデルとエーミル。 前作で紡績工場に収監され脱走したアンナも再登場する。彼女がその後どのようないきさつをたどり、今回の事件とどう関わるのか? 本作では特に、カルデルの粗くれた外見と相反する良心と強い正義感にも魅せられる。 これから――というときに次巻に持ち越しになって何とも悔しい。楽しみは来月までお預け。 このシリーズの見せ場は、18世紀末のストックホルムのリアルな実情もある。市街の不潔で汚物にまみれている描写には絶句する(日本も1960年代あたりまでは、ごみの始末などかなりいい加減だったが)。 巻末の宮下志朗氏の解説は、終盤までのストーリーがかなり詳細に語られているので、未読者は先に読まない方がいい。個人的にはあとがきを先に読むことは邪道だと思っているが(まえがきではないのだ!)、そうする読者がけっこういるらしいので参考までに。
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