1795 (小学館文庫 ナ 1-3)
前作の続編として、暴力と混迷が深まる1795年のストックホルムを描く日本語版歴史ミステリ。シリーズの終盤に向かう緊迫感の中で、人物たちの選択がいっそう重みを帯びる。
作品情報
暴力と奸計に満ちた、一七九五年のストックホルム。
小学館文庫から2022年10月に刊行された日本語版。ニクラス・ナット・オ・ダーグの『1794』に続く三部作の最終巻で、ヘレンハルメ美穂訳。
書籍情報
- 出版社
- 小学館
- 発売日
- 2022-10-06
- ページ数
- 592ページ
- 言語
- 日本語
- サイズ
- 10.5 x 2 x 15 cm
- ISBN-13
- 9784094071481
- ISBN-10
- 4094071482
- 価格
- 1364 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論/文芸作品
北欧歴史ミステリー至高の三部作、完結篇! フランス革命の影響は未だ色濃く残り、暴力と奸計が常態化していた1795年のストックホルム。 事件を捜索することで立ち直りつつあった戦場帰りの引っ立て屋カルデルと心を病んでいた学生エーミル。彼らの善意が招いた悲劇によって、前年に多くの命が失われた。彼らと、幸せを願いながら愛する子どもたちを手放したアンナ・スティーナは一瞬にして打ちのめされ、絶望の大きさに動くことすらできなくなっていた。一方その悲劇によって追い詰められた怪物は、自らの起死回生を賭けたおぞましい計画を立て、さらなる惨劇が起きようとしていた。 戦争、暗殺、人権蹂躙。腐敗しきった18世紀末の北の都と、その中で己の正義に従い生きる者たちを力強く描き、北欧ミステリーの歴史を塗り替えた至高の三部作、堂々の完結篇!
レビュー
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違うラストならよかった ※一部ネタバレ含む
『1794』の続編。 前々作、前作のような残虐なシーンは控えめで、比較的穏やかにスローペースで展開していく。 カルデルとエーミルは全く異なるタイプ。決して気が合うわけではなく互いにほとんど単独で行動しているが、肝心なところでは連携を取っている。いずれかが落ち込んだときには相方が引っ張り上げる。 主たる登場人物ほぼ全員が心に傷をもっており、それぞれの思いや考えが丁寧に描かれている。 反面、事件解明の機序の説明はやや不十分に感じた。 にっくき悪党の逃亡中のみじめな生活には爽快感すら覚える。あっさりと殺すとかではなく、長時間にわたってつらい思いをさせるというところはいいと思えた。 ――ただ、ラストは……え?どうして? 今一つ賛同できず。 あれだけ出番があった少年についても尻切れトンボだし。 殺された花嫁の母親への説明は? さらに戻れば『1793』の残虐な館のマダムに対しては?(閉館したとだけ説明があった。何らかの報復を誓っていたはずなのに) 私が受け入れられないだけなのだろうか?読み込みが足りないのだろうか? この作者も心を病んでいるのではないかとさえ思える。 ――それでも途中経過は読み応えがあり大作だったので、この評価とした。
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近年まれなほどの期待外れ
前作「1794」が孤児院の炎上とアンナの双子の一件というクライマックスの "引き" だったので期待して読んだのだが・・・ エミールとカイデルの探偵コンビ、わが子を奪われたアンナ、逃亡には成功したが権力基盤を失った悪役セートン、それぞれの "その後" が描かれるのは予想通りだが、キャラクターが受けた傷を乗り越え信頼で結びついて最後の対決に向かう・・・はずがいっこうにそうならない。暗い世相のストックホルムの風景がダラダラと描かれるばかりで「物語」としてのベクトルが不明瞭なままなのだ。 哲学的な思索を含む歴史ミステリとして成功した「1793」を発展させる形で3部作にした、そのフィナーレとなる本作なのだが、ミステリも哲学も最も希薄になり「1794」で登場した歴史上の人物や事件のからみも発展しないまま、バラバラの「個人」が勝手に作り上げたカタルシスのない結末へ。 第一作で己一人が全ての責を負う形でセーシル・ヴィンゲが下したジャッジメントに形だけは似せているのだが、結局著者自身にもそれがなぜ読者に受け入れられたかを理解していなかったのだろう。 「1793」で読むのをやめておけばよかったな、と思えるほどの期待外れでした。
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