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洪水はわが魂に及び (上) (新潮文庫)

野間文芸賞

洪水はわが魂に及び (上) (新潮文庫)

大江健三郎

『洪水はわが魂に及び』は、大江健三郎による文学作品。題材を絞り込んだ表現と、人物や土地、時代の手触りを読者に残す構成が1973年の受賞作として評価された。

戦後文学人間存在社会

作品情報

洪水はわが魂に及びは、限られた形式の中に時代と人の気配を刻む作品。

『洪水はわが魂に及び』は、大江健三郎による文学作品。題材を絞り込んだ表現と、人物や土地、時代の手触りを読者に残す構成が1973年の受賞作として評価された。 受賞歴の文脈では、形式に合った語り口と読後に残る問いが作品の核になる。

レビュー要約

  • 読者の受け止め方は、題材の珍しさや語り口の強さを評価する方向に寄る。作品の背景を踏まえて読むほど、構成の意図や余韻が伝わりやすい。

書籍情報

出版社
新潮社
発売日
1983-05-01
ページ数
298ページ
言語
日本語
ISBN-13
9784101126128
ISBN-10
4101126127
価格
323 JPY
カテゴリ
本/文学・評論

鯨と樹木の代理人大木勇魚(いさな)と、現代のノアの洪水に船出する自由航海団。明日なき人類の怒りと畏れをまるごと描いた感動の巨編!

レビュー

  • 悲しくも美しく・・

    学生時代に読んで以来、30年経って再読。 当時気が付かなかった表現の巧みさ、よく計算された構成に感心しました。 大江文学の独特の文体に慣れればとても深く心に染み入る作品かと。 この作品の美しさは、なんと言ってもジンと伊奈子の閉塞された環境下での心の絆であろう。 この二人に通い合う無垢の愛が この物語に永遠の輝きをもたらしているように思う。

  • 物悲しく疾走する物語 ですよ

    知恵遅れの幼児ジンとともに核避難所跡に籠った狂人勇魚と、自由航海団を名乗り猛進する若者たちの交流の物語。自らの力で暴れ飛び出したい自由航海団の若者たちであるが、その怒りや危機意識は妄想の範囲内であり、エポックメーキングを予測したり自ら創出しようかと考えてみるにとどまっている。樹木の魂、鯨の魂の想念において航海団のリーダー喬木と通じ合った勇魚は、ジンとともに籠りきりの生活を脱し航海団と行動してゆく。明らかな閉塞感は漂いつつも打破すべき目標が明確ではなく、航海団は迷走しながらも前へ前へ進もうとする。知恵遅れジンの「…ですよ」という静かな口調、粘り付くような性描写に象徴される航海団の伊奈子の伸びやかな性格、それらが物悲しい物語を美しく薄明るくしている。内部闘争を経ながら、航海団が外部(社会)と接触するべく下巻へと続く。

  • 世界の終末に立ち向かう心優しき人たち

    平穏な日々が続くと、何故か大江作品が読みたくなります。何かを渇望し、何かを求めているのかもしれません。この長編も2度目の読了です。世界の終末を予感し、核避難施設を具備した家に、知恵遅れの息子「ジン」と暮らす「大木勇魚」。自分たちの理想郷を求め、社会に叛逆する「自由航海団」の若者たち。じっと静穏の中で耐えている勇魚、ジンと若者たちの出会いと共同生活が始まります。勇魚と「樹木の魂」、「鯨の魂」との交流。自由航海団のリーダー「喬木」や「縮む男」たちの狂気。物語は、権力と戦い、破滅へと向かう勇魚たちの怒りとやりきれなさを追い続けます。破壊と虚構の世界を描いているにもかかわらず、リアリティーと優しさを感じます。ジンの言葉は、私たちの胸に、痛切に響きます。 先頭に立って、原発廃絶をアピールする大江さんの姿勢に共感をおぼえるなら、この作品を読んでみてください。世界の終末に立ち向かう心優しき人たちの声が聞こえてくると、思います。

  • 難しい本です

    何度も前に戻って読み返しながら読みました。上巻だけで一月かけて読みました。やっと下巻に入ったところです。

  • ノーベル賞作家作品

    ノーベル賞作家の作品とはから始まり何冊か読みました。結構かたいと思った。

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