日本の文学賞

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死の棘 (新潮文庫)

芸術選奨文部科学大臣賞

死の棘 (新潮文庫)

島尾敏雄

夫の不実をきっかけに妻の精神が崩れ、夫婦の日常が責めと謝罪の果てしない時間へ変わっていく長編。私小説的な素材を極限まで掘り下げ、愛、罪、狂気、共生の苦しみを生々しく描く。

夫婦罪責狂気私小説愛の苦しみ

作品情報

夫婦の絆が壊れながらなお離れられない時間を、凄絶な密度で描く。

『死の棘』は島尾敏雄の代表作で、妻ミホとの危機的な夫婦生活をもとにした連作長編。新潮文庫版は、夫の情事を契機に壊れていく家庭の時間を、日記的な具体性と小説としての凝縮によって描く。

レビュー要約

  • 夫婦の破綻を逃げずに見つめる迫力が高く評価される一方、反復される責めと苦痛の描写に読む側も強く消耗させられる。戦後文学の重い達成として読まれている。

書籍情報

出版社
新潮社
発売日
1981-01-27
ページ数
624ページ
言語
日本語
サイズ
14.8 x 10.5 x 2 cm
ISBN-13
9784101164038
ISBN-10
4101164037
価格
1100 JPY
カテゴリ
本/文学・評論/文芸作品/日本文学

夫の情事が妻を狂気に追いやった。 夫婦の絆とは何かを問う凄絶な人間記録。 思いやりの深かった妻が、夫の〈情事〉のために突然神経に異常を来たした。狂気のとりことなって憑かれたように夫の過去をあばきたてる妻。ひたすら詫び、許しを求める夫。日常の平穏な刻は止まり、現実は砕け散る。狂乱の果てに妻はどこへ行くのか ――?ぎりきりまで追いつめられた夫と妻の姿を生々しく描き、夫婦の絆とは何か、愛とは何かを底の底まで見据えた凄絶な人間記録。 日本文学大賞、読売文学賞、芸術選奨受賞! 【目次】 第一章 離脱 第二章 死の棘 第三章 崖のふち 第四章 日は日に 第五章 流棄 第六章 日々の例 第七章 日のちぢまり 第八章 子と共に 第九章 過ぎ越し 第十章 日を繫けて 第十一章 引っ越し 第十二章 入院まで 解説:山本健吉(文芸評論家) 本文冒頭より 私たちはその晩からかやをつるのをやめた。どうしてか蚊がいなくなった。妻もぼくも三晩も眠っていない。そんなことが可能かどうかわからない。少しは気がつかずに眠ったのかもしれないが眠った記憶はない。十一月には家を出て十二月には自殺する。それがあなたの運命だったと妻はへんな確信を持っている。「あなたは必ずそうなりました」と妻は言う。でもそれよりいくらか早く、審(さば)きは夏の日の終わりにやってきた。…… 島尾敏雄 (1917-1986) 横浜生れ。九大卒。1944(昭和19)年、第18震洋隊(特攻隊)の指揮官として奄美群島加計呂麻島に赴く。1945年8月13日に発動命令が下るが、発進命令がないままに15日の敗戦を迎える。1948年、『単独旅行者』を刊行し、新進作家として注目を集める。以後、私小説的方法によりながらも日本的リアリズムを超えた独自の作風を示す多くの名作を発表。代表作に『死の棘』(日本文学大賞・読売文学賞・芸術選奨)、『魚雷艇学生』(野間文芸賞・川端康成文学賞)など。

レビュー

  • 良い商品

    良い商品です

  • 妻の狂気を克明に再現することで、こんな文学作品もありうるのか。世に問うた作品

    狂いゆく妻と家族を描き続けた作品。狂う原因を作ったのは、作者本人の不倫なのだが、作者を問い詰めてゆく妻の狂気を克明に再現することで、こんな文学作品もありうるのか。世に問うた作品でもある。 しかし、これは限りなくノンフィクションと思わせる記録作品でもある。脚色や創作が入り込む余地があるとも思えない。 またこんな家庭環境に育った幼い子供の片方に、障害が生じてしまった悲劇的事実から目をそむけるわけにもゆかない。 文学として昇華させるために、作者はある意味、非情なまでに狂う妻を凝視し記録し続けたのであり、同居人だった幼い子供の精神的な成長に明らかによくない影響を及ぼしてしまった。 こうした、もっとも身近な肉親たちを地獄に落とすような行為を記録することで、世に残る作家としての地位を確保したということかもしれない。 家族を踏みにじる結果になったとしても、書きたかったのか。起きてしまったできごとを克明に他者に伝えたかったのか。それはよくわからない。 文章は、改行がほとんどなく、ぎっしりと詰まった文字の洪水である。 文学的名声を獲得することと、つつましい家庭の両立は困難だ。この作品から受ける読後感は、そんなところだ。狂う妻を描き続けた本作を読む間、ほかの本を読む気にはなれなかった。 今、読了してしまい。読み終えても何の達成感も、どんな充実感も得られない作品なのに、心に重く残る世界だった。

  • 古い本なので当然なのですが

    古い本なので当然なのですが、骨董品かと思う黒い紙は黒ずんでいました。まぁ 読めればよいので良いのですが あまりにも古すぎ。昭和35年初版の本なので まぁ 相当古いのはまあ いたしかたない

  • 高齢読書人はKindleで読みたい

    この素晴らしい小説を読みたいと思っている人は多いはずです。 読書バリアフリーに協力を!

  • 子供の虐待小説だと思います

    深い考えもなしに浮気を繰り返し、ある日妻が壊れて初めて目が覚めるダメダメ男。 依存心と執着心が異常に強く、被害者を演じて夫をなじることでしか自己表現のできない無責任妻。 10年を夫に苦しめられた妻は、ついに最後まで、いい加減に見切りをつけて自分と 子供のためにしっかり生きようという覚悟を最後まで決められなかった。 自分の足で立つことを学べない人間は、落ちるところまで墜ちていく。 これを夫婦愛という人は、大きな勘違いをしていると思います。愛は相手を苦しめるものではありません。 共存依存とエゴ、病的な執着心の物語です。哀れなのは、壊れた親に壊されていく子供たちと飼育放棄されたニワトリたちでした。

  • 不思議と読みやすい

    最近あまり活字の本が読めなくなってきた(ついネットの雑文などを読んでしまう)のですが、これは一瞬で読めました。 内容的に日記文に近くブログとか読んでる感覚になれたのが読めた理由かなと思いますが、島尾敏雄さんはプロのため当然文章もしっかりしていて一個の人間が生きることによって生じる因果とその絡み合った状態のほぐしていく困難さなど感じられる内容となっていました。 人と人が関わり合って生きることについて、読んでいるあいだ(後にも)思うことがたくさんある一冊です。

  • 死の棘 (新潮文庫)

    遅延することなく予定通りに着いた。 本の状態は案内の通りで満足。 文庫本のため、字が細かく読むのに苦労している。 次回は文庫本でないものを選ぼうと思う。

  • 極限の世界

    観察が凄い

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