日本の文学賞

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私が語りはじめた彼は (新潮文庫)

島清恋愛文学賞

私が語りはじめた彼は (新潮文庫)

三浦しをん

ひとりの男性をめぐり、複数の語り手がそれぞれの記憶と感情を差し出す連作小説。語られるたびに人物像が変わり、愛と理解の不確かさが浮かぶ。

連作小説恋愛語り記憶人物像

作品情報

語り手が変わるたび、彼の姿も愛の意味も揺らいでいく。

三浦しをんの小説。ひとりの男性をめぐる証言のような語りを重ね、恋愛の記憶がいかに語り手自身を映すかを描き出す。

レビュー要約

  • 設定や題材への関心が強く、人物の迷いや社会的背景を丁寧に追う読み方が目立つ。展開の重さや専門性を負担に感じる読者もいるが、読後に残る余韻を評価する声がある。

書籍情報

出版社
新潮社
発売日
2007-07-30
ページ数
304ページ
言語
日本語
サイズ
14.8 x 10.5 x 2 cm
ISBN-13
9784101167558
ISBN-10
4101167559
価格
693 JPY
カテゴリ
本/文学・評論/文芸作品/日本文学

私は、彼の何を知っているというのか? 彼は私に何を求めていたのだろう? 大学教授・村川融をめぐる、女、男、妻、息子、娘――それぞれに闇をかかえた「私」は、何かを強く求め続けていた。だが、それは愛というようなものだったのか……。「私」は、彼の中に何を見ていたのか。迷える男女の人恋しい孤独をみつめて、恋愛関係、家族関係の危うさをあぶりだす、著者会心の連作長編。

レビュー

  • 魅力ある連作長編

    筆者の作品に初めて触れ、本書が20代の頃の作品と知り驚きです。物語の構成、 登場人物たちの動き、魅力あふれる文体、完成されたものです。 複数の女性と関係をもってきた大学教授村川をめぐる教え子、妻、再婚相手、娘、 息子、恋愛関係、家族関係の危うさを見事に表現しており一気に読める作品です。

  • 『闇が深い』そして、、三浦しをんさん!うますぎる!!ため息が出るほどに!!!

    タイトルの通り、「彼」を取り巻く人々(=私)が彼について話すのです。様々な方向から。 短編集に見せかけて、実は繋がっていました!さすが!しをんさん!スキ! 読めば読むほど、凄まじいヤツだな、、敵のニオイ、、、と。 彼の人生において何に価値を見出して、何を得ることができたのか、 気になるところではあるけれど人それぞれ価値観も違うと思うので追及するのはやめておきます。 (それでよかったんだな?!と少し言いたい気持ちを抑えて、、、) 愛してほしいとは言わないが、理解してくれ。 これはイコールにはならないのでしょうか?

  • 他者との関わりと対話

    作品により雰囲気がまるで変わるのが著者のスゴいところ。 彼女は貴賤なく、"本"が本当に好きなんだなと感じるのです。 他にも有名な代表作があるなか少し珍しいかもしれませんが私は彼女の作品でこの 私が語りはじめた彼は がいっとう好き。 静けさのなかで淡々と、しかし、胸にぐっと来るものがあります。 他のレビューでもある通り、物語の中心となる村川という教授の魅力は語られませんし、多分、いやどう考えても、"良い男"じゃあない。 けれど作中の人々はみな、彼に執着し翻弄されている。その気味の悪さは確かにあるかもしれません。何故?と。 しかし、他人には理解出来なくて当然なのかもしれない、とも思います。他人ですから。 だから、出来うる限りもっと話して、聞いて、解り合いたいと思ったり、或いはそれを踏まえてもう解り合えないと思ったり。 三浦しをんは、そういうことを私達読者としたくてこの作品を書いたんじゃないかと思うんです。

  • 楽しく読んだ

    楽しく面白く、先を急いで読んだが、さて、何が楽しかったかと自問すると、…分からない 考えてみると、全部身も蓋もなく「相互理解は不可能」ってお話なんだよねー でも暗さを感じない。新品じゃなくて「中古廃品の山からお手頃なパーツを探しましょう」に、分別と分相応という弁えを感じ、そこに好感を抱いてしまったからだろうか? 単純に「どうしてか分からないけど、なんか、好き」 ちなみに、「大人になっても『パパ』『ママ』呼び」は自分も尻が座らない。身内に『ちゃん』付けも同様 冬と灼熱の一瞬なら、迷う事なく灼熱がいい 残酷描写はエロ本代わり、に同意 巻末の解説に膝を打った 言われてみれば、三浦氏には「悪戦苦闘して書いてる」イメージが、ない ひねくり回して何とか絞り出した、のイメージもない 「おっと、あらぬ方に行っちまったぜ。いかんいかん」位しか浮かばない 大変楽しく読みました

  • 好き嫌いが別れる本

    なぜかもてる、大学教授の村川融←ぶさいくな中年(笑 彼をとりまく、妻・略奪女・子供・教え子・教え子の彼氏・・・ そんな人たちが、村川について語ります。 村川は一回もでてきません。 最後、死にます(笑 なんていうのだろう。。。 けっしてドラマティックではなく、まして純愛でもなく、 それぞれの立場の人間のエゴが、ごっつんごっつんぶつかり合い。 でも、淡々としている。 当たり前のことだけど、人間のすべてが、 自分が主人公なのだなぁと。 好き嫌いが別れる本かも知れないです。 盛り上がりとか、起承転結とか何もないです。 でも、妙に心に残る本でした。

  • 直木賞作家

    この男 つまり私が語りはじめた彼は 若年にして父を殺した その秋 母は美しく発狂した 上記の詩からインスピレーションを受けた著者が綴る連作短編小説。 村川教授によって微妙に人生を狂わされた人々。 妻、愛人の夫、教え子、息子…… 彼らが自分の人生を、そして村上教授の人物をそっと語っていく。 まず文体。かなり繊細な雰囲気をかもし出しているのに芯はかなり強い。静かで強い表現力にびっくり。ここまで実力者だったとは…!! 三浦しをん恐るべし。 登場人物たちは皆どこか歪んでいる。 でも最後にはみんな自分なりの選択をし、先へ進んでいく。村川教授の影を振り切るように。影なんか最初からなかったかのように。 あるいは影を全部受け入れるかのように。 読んでいて、なんともいえない妙な連帯感を感じた。ああ、そうそう嫉妬ってそういう風にするんだよねとか、その歪みが魅力に感じたりするんだよね、とか。 明暗を併せ持った雰囲気のある小説でした。 長く続いた雲間から曙光が差す寸前のような。 純文学が好きな人は絶対はまります!! 建物が爆発したり猟奇殺人が起こったりはしないけど、心がゆっくり動くのが感じられる本でした。

  • 男と女の間には深くて暗い川がある。

    ほぼ日刊イトイ新聞の中で名作【かもめ食堂】の監督荻上直子さんが奨めて居たので 興味を持ち手に取った一冊。心底驚いた!!。こんな小説の書き方もあるんだなぁ、と。 古代中国史の研究者村川教授=【彼】。欲望の赴くままに生きた【彼】の事が 6つの短編(ミステリあり、心理小説あり)の中で語られて行く。 過去から現在に至るまで【彼】と関わりのあった登場人物の間の愛憎が複雑に絡みあう。 が、結局の所。最後まで【彼】の輪郭はハッキリと語られ尽くす事はないまま。 読んでいて口に広がるのも苦味だったり、切なさを含んだ酸味だったりで、 決して口当たりが優しい訳ではない。にも関わらず実に病み付きになる文章だ。 読了直後感じたのは。敢えて読者が各自【彼】をイメージしやすいような ヒントや隙を残したまま書き終えているのではないか、という事。 だとすれば、恐るべし三浦しをん!!。そう感じる程に一つ、一つの話が 素晴らしい完成度を持っている。 個人的には突然父親を喪失し混乱していた息子が、【彼】の新しい家庭を訪問した後、 父親と訣別し、再生していく様子が描かれている【予言】が強く印象に残った。 人が愛について思う時の気持ちの奥底を見詰め、的確な文章で書き記す事の出来る 三浦さんの眼力。実に凄まじい小説です。

  • こねくり回した表現が楽しい

    まるで漫画を読んでいるみたいに楽しく読ませていただきました。

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