日本の文学賞

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白いしるし

島清恋愛文学賞

白いしるし

西加奈子

三十二歳の画家が、好きになってはいけない相手への思いにのみこまれていく恋愛小説です。恋の切迫感、嫉妬、孤独、その先に残る微かな希望を、白という色のイメージに重ねて描きます。

恋愛嫉妬孤独

作品情報

白いしるしは、受賞時の評価点を手がかりに作品世界へ入っていける一冊です。

三十二歳の画家が、好きになってはいけない相手への思いにのみこまれていく恋愛小説です。恋の切迫感、嫉妬、孤独、その先に残る微かな希望を、白という色のイメージに重ねて描きます。 新潮文庫版が刊行され、紙書籍と電子版で流通している。

レビュー要約

  • 刊行情報と紹介文からは、受賞時に評価された題材の明確さと読み進めやすい構成がうかがえる。人物や状況の輪郭を追いやすい点が読みどころになっている。

書籍情報

出版社
新潮社
発売日
2013-06-26
ページ数
208ページ
言語
日本語
サイズ
14.8 x 10.5 x 2 cm
ISBN-13
9784101349572
ISBN-10
4101349576
価格
605 JPY
カテゴリ
本/文学・評論/文芸作品

ふたりでは、会わないようにしていた。 好きすぎて、怖いくらいの恋に落ちた。でも彼はけして私だけのものにはならなくて……ひりつく記憶を引きずり出す、超全身恋愛小説。 女32歳、独身。誰かにのめりこんで傷つくことを恐れ、恋を遠ざけていた夏目。間島の絵を一目見た瞬間、心は波立ち、持っていかれてしまう。走り出した恋に夢中の夏目と裏腹に、けして彼女だけのものにならない間島。触れるたび、募る想いに痛みは増して、夏目は笑えなくなった――。恋の終わりを知ることは、人を強くしてくれるのだろうか? ひりつく記憶が身体を貫く、超全身恋愛小説。

レビュー

  • めんどくささごと、恋を描く

    登場人物たちの言動は、現実的とは言いがたい瞬間も多い。けれど、それを不自然とは感じさせない筆致がある。感情の揺れや衝動の動線に、一貫性と説得力がきちんとあるからだ。 西加奈子らしいリズム感のある文章も心地よく、現代小説としての完成度が高いと感じる。会話や地の文に、わざとらしさがないのが良い。 本作は、恋愛という感情にまつわる“めんどくささ”を多く含んでいる。自己嫌悪やすれ違い、不安定さや不誠実さ。でもそれらを受け入れながらも、なお人を強く動かす“恋や憧れの力”があることを、ふとした瞬間に思い出させてくれる。 きれいごとでは済まない感情を、真正面から描く小説。読み終えたあと、静かに自分の過去の気持ちに触れたくなる一冊。

  • 純粋すぎる

    主人公が純粋すぎる。ひたむきな恋もひたむきな過ぎると、こうなってしまうのか。しかし、それでもこういう生き方になってしまう。そんな業が剥き出しになったお話。

  • 恋。

    白いものに、白いものを描く。どうとでも感じてくれ! と。 アウトサイダーアート。私の母が、最近、やり始めました。 美大卒の妹の勧めで、思うが儘に、キャンバスに色を塗り人物を入れたり…と。 私は、写実を子供時代、大変な田舎で地元プロフェッショナルの画家に習い、後、妹の美大の先輩に、日本画デッサンを習いました。日本画は、線。の追求です。 これを、なんというのかな? と、カテゴライズを暫し考えてしまいました。因みに私の絵は、色がありません。デッサンしか出来ません。抽象画の色彩を勧められ、色をつける時に、苦痛を感じました。色の無い世界。 芸術家は、皆、魅力的です。惚れ易いように見えます。だって。表現者だから。無から産み出す苦悩と快楽をいつも、命懸けでやっていますから。…作家も然りですね。 主人公とその友人、そして主人公と恋し実らなかったアウトサイダーアートアーティスト? そこまでは、まぁ良くある話ですか。 如何ともし難い理由での、恋の終焉でした。 良くありそうで… あるか⁉ なんでもあり得る世界でも、実際に起こると、情報なんて想定内だって、頭からすっ飛んで慌てます。 人間の人間らしいお話。 恋は、情熱的に出来ない性格、なので… こういう悶え苦しむ恋の話に憧れますね。

  • うーん...

    デビュー作のあおいが好きでこちらも買ってみたけど、こちらは残念ながら期待はずれでした。 重いというか、共感できないダークでどろどろ?系の恋愛。

  • 猫小説ではない

    序盤は丁寧な純愛小説だなと思っていたが、後半登場人物たちの狂気や奇行が目立つようになりなんだかしらけてしまった… 表紙は猫よりも富士山のほうが良かったのではないだろうか

  • 失恋直後の人には辛いかも。

    この人とは結ばれないと知っているのに好きになってその人の魅力に吸い込まれていく。そんな経験がある人は読むのが辛くなるかも。私は大泣きしながら読みました(笑)

  • みんなも同じ気持ち

    傷ついても傷ついても、それでもどうしても心惹かれてしまう。 あれだけ傷つき、気が狂い、ふと振り返ると狂気の沙汰になっていたとわかっていてもまた同じことをしてしまう。 それでも一歩ずつ、前を向き歩んでゆく。 年を重ねるごとに辛い気持ちを抱えながら、それでも力強く歩いていく主人公の姿に勇気をもらいました。 私はおかしくない、みんな同じなんだ、と安心しました。 失恋したての人にはちょっと辛いかもしれませんが・・・笑 でもこの作品と共感できることが、今までの辛さを経験してよかった、この作品を理解するための経験になってよかった、と思わせてくれる作品でした。

  • 「出会う」ではなく「出遭う」

    恋愛小説。主人公は32歳の女性、フリーターで画家。場所は東京だが、主要登場人物は関西弁。約190ページ。 夏目はバーのアルバイトで生計を立てる32歳の女性である。自宅ではあまり金にならない油絵を描いている。現在は独身で恋人もいない。東京には19歳の失恋をきっかけに出てきて以来だ。夏目はある日、顔の広い友人である瀬田という男性に間島という画家の個展に誘われる。個展で間島による、白い絵の具だけを使って描かれた富士山の絵を前にした夏目は、ひと目見て画家に好意をもつことを予感する。直後に繊細で真摯な雰囲気をもつ間島自身と対面した夏目は、予感が現実になったことを悟る。 短く一筆書きのような勢いのある直線的な恋愛小説だった。主要な登場人物も前述の夏目、間島、瀬田を含めて4人のみで、物語の舞台となる場所すらも数えられる程度と、とてもシンプルだ。描かれる恋愛の種類は、おしゃれでファッション感覚のそれと対極にあり、人間の業を感じさせる。同著者のほのぼのとした『きいろいゾウ』とは印象が違っていた。展開としては、もっと引っ張ってそれぞれの登場人物に決着をつけてもおかしくないところを、潔く完結する点も特徴だ。 夏目がまさに「恋に落ちる」、間島との出会いを、「出会う」ではなく「出遭う」と表記している点が読書中に幾度も目についたが、読み終えて相応の表現だと納得した。回想にある過去の夏目の恋愛遍歴も含め、夏目にとって恋愛は天災のように自ら制御できない出来事との「遭遇」として現れ、はたから見ると禍福すら判別しかねる。本作で描かれる夏目の激しい恋を自分事だと仮定すれば、憧れどころかむしろ厄介だと捉える向きも少なくないのでは。本来の恋愛は、むしろこのようなものともと思わされる。

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