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龍は眠る (新潮文庫)

日本推理作家協会賞

龍は眠る (新潮文庫)

宮部みゆき

死亡事故に遭遇した青年と、超能力を持つ少年の出会いから始まる長編ミステリ。真相を追う過程で、能力を持つ者の孤独と社会の不安が浮き彫りになる。

ミステリ超能力孤独事故

作品情報

少年の言葉が事故の闇を開き、見えない力を持つ者の孤独を照らす。

宮部みゆきの初期長編を代表する一作。事件の謎だけでなく、特別な力を抱えて生きる少年の痛みや、周囲の大人たちのまなざしを丁寧に描く。

レビュー要約

  • 作品の背景と構成を丁寧に追う読者から支持されている。主題の重さに対し、叙述の落ち着きと人物の輪郭が読みどころとして受け止められている。

書籍情報

出版社
新潮社
発売日
1995-01-30
ページ数
537ページ
言語
日本語
サイズ
14.8 x 10.5 x 2 cm
ISBN-13
9784101369143
ISBN-10
4101369143
価格
1155 JPY
カテゴリ
本/文学・評論/文芸作品/日本文学

嵐の晩だった。雑誌記者の高坂昭吾は、車で東京に向かう道すがら、道端で自転車をパンクさせ、立ち往生していた少年を拾った。何となく不思議なところがあるその少年、稲村慎司は言った。「僕は超常能力者なんだ」。その言葉を証明するかのように、二人が走行中に遭遇した死亡事故の真相を語り始めた。それが全ての始まりだったのだ……宮部みゆきのブロックバスター待望の文庫化。

レビュー

  • さすが宮部みゆき様

    一気に読んでしまいました。 凄く良かったです。

  • どこに連れていかれるか分からない、話のサスペンスの面白さはさすがでしたね。ただ、ちょっと長過ぎるようにも感じました。

    どこに連れていかれるか分からない、そういうサスペンスの面白さは「流石、宮部みゆき作品!」て感じでした。 ただ、もうちっとコンパクトにまとまっていたほうが、話が引き締まってて良かったでしょうか。話に中だるみ感があるというか、あちこち引っ張り回された挙げ句、明かされる事件の真相に、ひねりが利いてなかったかなあと。そこが少し残念でした。

  • さすがです

    さすが宮部みゆきです。おもしろかったです。

  • えー、確かにおもしろいんですが・・・

    確かに最高におもしろいです。 展開が緻密で、あきさせません。 主人公が考えていることがコロコロ変わって 出来事に翻弄されて戸惑うっていうところもうまく書けている。 また、下調べをきちんとやっているという感じがします。 「ああ、実際にもこうなんだろうな」と思わせる部分が多々あります。 作者はとても真面目な人なんですね。 ただ、惜しいのはまったく普通のエンディングに なってしまっているところです。 すごくアブノーマルで危険な感じ、現実を突き崩される感じ、 そういった中盤までのドキドキ感が終盤になって一気にしぼみます。 「それは『火曜サスベンス劇場』とどう違うんだ?」 と思わず突っ込みたくなります。 作品性とか、作者の個性といったものについて この作者の人はあまり考えないんですね。 あまりにもエンターテインメントに徹しているというか。 まとまりすぎていて自分としては窮屈な印象を受けます。 これがこの作者本来のキャラなのかどうかは知りたいところですが。

  • 時代を感じさせる

    書かれてから30年も経った宮部みゆきさんの著書を 色々読んでいます。 冒頭の台風の中でのマンホール事件がスリリングな 書き出しで、ググッと引き込まれます。 70年代に清田少年という超能力少年が 一斉を風靡し、その後、手品だとわかって 急速に消えて行きました。 その当時の大人社会を巻き込んだ混乱を、 宮部少女が生で体験したことが、ベースになっているようです。 著作時には、まだオウム事件は起こっていません。 興味深く、飽きずに一気に読めました。

  • 商品届きました。

    遅くなりましたが商品届いております。 ありがとうございました。

  • 龍 = エクリチュール

    宮部さんが書き上げた別の小説評を読んでたところ、スティーブン・キングの『デッド・ゾーン』というワードが出てきたことがキッカケでこの本に行き着きました。個人的な話、キング原作でなく映画『デッド・ゾーン』のクリストファー・ウォーケンの演技が好きすぎて、実際のところ、それが本書とどんなつながりがあるのかとか、どういう評判だったのかなど、最終的には関係なく本書を購入。しかし、すべて読み上げるまでに半年を要してしまい、フィクションながら展開の辛さと話に引き込まれながら、距離を置きつつ何とか読み切ったという感じ。 ストーリーの展開はさすがですが、それよりも驚嘆したのは、フランス現代思想の哲学者であるジャック・デリダの「エクリチュール」や「後悔」、「事後性」などのモチーフが散見されたことです。かなり簡単にいえばタイトルの「龍」はデリダによる「エクリチュール」に対応し、作中頻繁に出てくる「後悔」は、もはや事後的にしかなしえないというか、ネガティブな事象が起こるか否かなんて、あとになってみないと分からないし、そのときどうすればよかったかも、そのときに現場にいても分かりようがないことがある。 デリダ研究をされている宮﨑裕助先生の著書や研究会でのコメントで、デリダがある紙の束を焼いてしまったことについてかなり後悔していたことを印象深く記述したり語っていました。それに加えて事後性のことも研究会で話されていて、本書がデリダの思想理解の参考図書にでもなるんじゃないかと思いながら途中から読み進めてました。 ネガティブな出来事を予見して何とか食い止めようと格闘する2人がいても、そのサイキックと呼べるものが誰にも理解が追いつかないことで、事がより複雑になり、かえって厄介事を生んで周囲の人間までも巻き込んでしまう。サイキックを有する2人にすらどうにもコントロールできないという意味で、この能力を所有するにもかかわらず、コントロールできない。かといって、厄介事に関わることをしないとかえって疚しさを抱えてしまうエクリチュール的機能の暴走とでもいうか。能力を所有してるにもかかわらず、所有者から能力がまるで分離してるような状態。 結局は、起きたことについて後で「あのとき、こうしていれば」というかたちでしか考えられないことを何度も突きつけてくるのですが、それでも読み切ってよかったと、辛い中でも前に進むことができて良かったと思える瞬間が訪れます。

  • 超能力者の苦悩を描くが、ハッピーエンドに作者の優しさを感じる

    文庫本で500ページ超えの大冊だが、ほぼ1日に読み終えた。まずこのリーダビリティは素晴らしい。内容は超能力を持った少年達が、事件解決のため献身的に努力するが、1人は死んでしまう。超能力者として生きていく事の難しさがテーマのようだが、生き残って主人公の中年男と結ばれる女性が聾唖者である事との対比が象徴的だ。通常の人間には不可能な力を持つ事が不幸であり、通常の人間には可能な事が出来ない事が不幸には繋がらない。 全体を通じて超能力者の苦悩が中心に描かれているので明るい話ではないが、未来に明るい展望を見出すようなハッピーエンドはこの作者らしい優しさを感じた。ミステリ仕立てであるが、特別に意外な真犯人ではなくむしろ一番怪しくコイツが悪だろうと思われる人物が真犯人であるよう書かれている。真相が明かされて読者としては最もしっくりと腑に落ちるわけで、宮部みゆきの巧さだなあと思った。本当に小説が巧い。

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