ほしいあいたいすきいれて
第回R-18文学賞大賞受賞作「夏がおわる」を収録した南綾子のデビュー作。風俗で働くことを目前にした女性の切実な身体感覚と、恋愛や欲望に揺れる気持ちを率直に描く。
作品情報
明日の自分が何者になるのか分からない不安を、熱を帯びた恋愛小説として描く。
『ほしいあいたいすきいれて』に収録。選考委員の評価を得た受賞作「夏がおわる」と表題作を収め、性や恋愛をめぐる女性の心身の揺れを、若い語りの勢いで描く。
レビュー要約
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生々しい題材を扱いながら、主人公の切なさと自意識を前面に出すことで、刺激だけに寄らない恋愛小説として読ませる。
書籍情報
- 出版社
- 新潮社
- 発売日
- 2007-02-21
- ページ数
- 154ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784103038511
- ISBN-10
- 4103038519
- 価格
- 1317 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論/文芸作品/日本文学
第4回(2005年) R-18文学賞受賞
レビュー
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好き嫌いがハッキリ分かれる作品
皆さんの評価が良さそうなので気になり読んでみました。 正直なところ、何が良いのかサッパリ分かりませんでした。 まずキツイことを言うようですが、文体が小学生の作文かと思うようなレベル。 「ぼぼぼぼ」とか「ぐああああ」とか、本当にこのままの表現です。 それが味というならば、私は好きにはなれませんでした。 また、収録されている2作品共に、主人公があまりにだらしなくて共感ゼロ。 行方知れずの人間の住所をあっさり入手する場面も非現実的。 個人情報保護の関係で、そんなこと無理でしょうに……と冷めてしまいました。 詳細部分での辻褄が合わないと、読者は白けてしまうと思います。 ただ、こういう文体は好みがハッキリ分かれるのかな、とも思いました。 ここでも良い評価があったり、実際にR-18文学賞で大賞の作品でもあるので、 「これが最高」と思う人も沢山いるのでしょう。 個人的には、なんでこれが受賞作なの?という感想です。 設定の斬新さ(も微妙ですが)だけで、強行突破したように思えます。 暮らしも性格もだらだらした女性に共感したかったり、 心が躍ったり沈んだりするような繊細な文体ではなく、 通勤通学途中にさ〜っと読みたいだけの方には向いてると思います。
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いたたまれぬ感情の流れを・・・
女性の眼から見た下流社会恋愛小説と言えようか。 社会的な鬱憤や、動機付け・ストーリー構成よりも 主人公のミニマムな、いたたまれぬ感情の流れを追っており その意味においては現代的な作品である。 しかし、それでもう一歩何かあるのかと問われても 首を傾げざるを得ない。
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若手女性作家で一番かも
とても面白く読みました。 個人的にR18文学賞には注目していて、受賞作家の本はほぼ全作品読んでいるのですが、 個性的な賞のわりに、ありきたりな話を書く人が多いなあと思っていました。 そんな中で、この小説はかなり異質です。 作者は他の受賞者に比べるとまだあまり活躍していないようですが、 実は飛びぬけて才能のある人なのでは、と思いました。 タイトルのインパクト抜群の表題作は、彼氏のために風俗嬢になるべきかうじうじと悩む主人公が、 ひょんなことで知り合った少女が性的虐待を受けているとしり、 なんとか救い出そうと奮闘する、というストーリーです。 この主人公のキャラが本当に素晴らしく面白い。 「なんてバカな女なんだろう!」と読んでいてイライラしてしまうほど、 主人公はいい加減でちゃらんぽらん。 男には簡単に騙されるし、自分の仕事すら自分で決められずうじうじする。 でも読んでいるうちにいつの間にか応援してしまっているのです。 話の流れはスピーディですごく上手いし、 コミカルな展開の中でふいに現れる詩的な風景描写がすごく生きてると思いました。 そしてラストはかなり衝撃的。 私はクライマックス部分を読みながら声を上げて笑ってしまいました(いい意味で)。 とにかく今まで読んだことのない小説かも。 作者にはこれからもどんどん「誰も読んだことのない」話を書いていってほしいです。
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そこはかとない脱力系恋愛小説
鮮烈なタイトルとは裏腹に内容まで強烈な印象が残念ながら少ない。 ただ、主人公の女の子のうらぶれながらも自由でお気楽な様子や登場人物たちとの会話が力が抜けていて面白おかしい。
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激賞!!
すげータイトル。間違いなくキワモノと思って読み出した短編2編。 最初の「夏が終わる」。切ない切ない不倫の話。この作品で著者は「R-18文学賞」を受賞。曰く、「女性が読んでもナチュラルに感じられる、エロティックな小説を読んでみたい、書いてみたい、という思いをふと抱いた諸姉諸嬢のために創設された賞」だそうです。いけね。男子禁制でした?ここで書いてしまうのはネタばれ、と言いますか実は書くのも憚られるようなアラレもない状況が展開しているのですが(笑)、確かに女性が書いたエロ小説、我々男子には計り知れぬあの時の女性心理描写。こう書くと嫌らしいかもですが、男子も一読の価値あり。ただね〜女性視点で書かれているけど、この不倫相手のオッサンの行動、身につまされる読者(男性)多いんじゃないのか。僕は?う〜ん。とにかく鋭い人間観察眼を持っていると思います、著者は。 しかしもっとメガトン・インパクトだったのはタイトルにもなっている「ほしいあいたいすきいれて」。まるで駄目男であるのを承知しているようないないような・・・でも好きだし・・・という女の心理とこういう男いそうだな〜のリアルな駄目っぷりの男描写が見事、の一語。「夏が終わる」と同様、「R-18文学賞」の能書きである女がどう感じるかのエロ小説、とも言えるけれど、「男の書きっぷり」も凄く良い、と思います。初っ端から著者のマジックにかかったような気持ち。ディティールに興味を喚起されない類の小説に関しては、僕はスジだけを追ってパパっと読んでしまいますが、コレに関しては1ページ1ページじっくり読みました。セリフまわしとか仕草の描写とか「効果」について良く考えられていると思います。そうです、マタカ、ですが「神は細部に宿る」。 フーゾクに沈められそうだけどそんなん出来ない・・・性的虐待されている少女との不思議な出会い・・・衝撃のラストまで(陳腐な言い方ですが)一気呵成、です。読む前の印象とは180度違いました。極めて純度が高い、「本当の恋愛を求める恋愛小説」だな〜と思いました。