日本の文学賞

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天使の歩廊: ある建築家をめぐる物語

日本ファンタジーノベル大賞

天使の歩廊: ある建築家をめぐる物語

中村弦

建築家を巡る物語で、幻想的な要素を含む長編。受賞作。

建築幻想記憶

作品情報

建築家を巡る物語で、幻想的な要素を含む長編。

建築家の人生と記憶を軸に、天使の歩廊という象徴的な場をめぐる幻想長編。

書籍情報

出版社
新潮社
発売日
2008-11-01
ページ数
312ページ
言語
日本語
ISBN-13
9784103120810
ISBN-10
4103120819
価格
53 JPY
カテゴリ
本/文学・評論/文芸作品/日本文学

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レビュー

  • 実は読むまで・・・。

    実は、読むまでは、怖そうでつまんなそうだな、と思っていた。 それでも読む気になったのは、やはり過去に面白い作品を出している賞を受賞した本だから。 ファンタジーでありながら、どこか現実に触れているような、落ち着いた物語。 なんとなく読み始めましたが、結構なスピードで読み進められたのも、面白かったのだと思います。 大感動でも、心底面白い、でもないけれど、なんとなく印象に残る物語でした。 けれど、カバーイラストはもっとどうにかなったのでは・・・。怖いよ・・・。

  • 判断が難しい

    ファンタジーという枠組みをしつつ、より深いテーマがある気がします。とはいえ、ファンタジーとしてだけ考えると、難しい作品かもしれません。さらには連作短編というぶつ切りな構成も読者を選ぶかもしれません。

  • さすがの大賞受賞作

    まずは、構成の妙に唸りました。自身も神秘的な体験 をもつ異能の建築家が、幽冥間の行き来を望む依頼主 に応じる話しをいくつか綴った後に、やっとその建築家の 履歴を紹介するという造りに感心しました。 それぞれの依頼主が語る、俗界での辛く厳しい経験も、 深みに欠けるきらいはあるものの、メリハリは十分で説 得力はあります。特に苦界から脱出しながら、そのトラ ウマに苦しむ実業家の妻が、夫とともに新築の建物で癒 される最後の挿話は、ちょっとした感動ものでした。 読み終わって、他ではあまり経験できない充実感や 満足感が得られます。 〔付記〕 受賞第1作の『ロスト・トレイン』(2009)を読み ました。前作と違いミステリー仕立ての長編なので、読 み出があります。宮澤賢治の『銀河鉄道の夜』の幻想 性をベースにして、「まぼろしの廃線跡」で前作同様に 幽冥の両世界が通じ合い、読後感は悪くありません。 ただ、「テツ」というマニアを主人公に据えた分だけ普 遍性から遠くなり、全体のテンションは下がったような 気がしました。 (2010.2)

  • 『第20回 日本ファンタジーノベル大賞』に、思いっきり納得の一冊。至福の数時間に感謝です

    この世界の枠の外に存在しているような無類の建築物を設計する男、笠井泉二(かさい せんじ)。明治、大正、昭和の初めを舞台に、図抜けて異端の才能を持つこの建築家が創造した建造物と、それを頼んだ依頼主とをめぐる逸話、あるいは笠井泉二その人の奇妙な人となりを描いた話で組み立てられた作品。 「冬の陽」「鹿鳴館の絵」「ラビリンス逍遥」「製図室の夜」「天界の都」「忘れ川」の六つの短篇が、「明治十四年」の序奏と「昭和七年」のコーダをつなぐ形で、あたかも虹の架け橋を渡す感じで配置されています。建物に癒やされる登場人物の姿に目頭が熱くなった「冬の陽」と「忘れ川」、エッシャーの『相対性』の絵が脳裏に浮かんだ「ラビリンス逍遥」の三篇に、格別、心惹かれましたね。素敵な話だったなあ。 『第20回 日本ファンタジーノベル大賞』を射止めた本作品。1962年生まれの著者のデビュー作とのことですが、静かな気品をたたえた文章の佇まいといい、すっと立ち上がってくるイメージ喚起力といい、これが新人の作とは到底思えないレベルに達していたところ。正直、驚かされました。 不思議な魔法に引き込まれていくかのような作品の雰囲気。幻想小説であり、ファンタジーでもある小説が奏でる調べの美しさ。本の中に入って至福の数時間を過ごすことができた! この作品に出会えたことに感謝です。

  • 時代小説っぽい?

    SFというか、ファンタジーというか、幻想的な終わり方をする小話の集まりです。 読んでいてとても不思議な気分になります。 ファンタジー部分は「それで?」という物足りなさがありますが、時代小説を読んでいる楽しさがあり、近代化したての日本の建築業界や日本人の生活が詳しく書かれていて面白かったです。どの話も長くはないので、空き時間にさくっと読めていいですね。 個人的には、主人公が満州で作り上げた街がどんなものだったのか?が気になります。余韻を残した終わり方なのもいいですね。 とはいえ、ファンタジー小説の面白さ(奇想天外さ)を期待しては肩透かしを食らうかもしれません。 でも、ジャンル的にはファンタジー小説でしかありえないんだろうなぁ。

  • すばらしい。感動的な物語。

    本書は、天才建築家笠井泉二をめぐる、6編の短編で構成された物語です。 建築家を軸にしながらも、その1編1編の物語は、時系列に並んでいるわけではなく、趣向や時代背景が相当に異なる話が並んでいます。 私は、それぞれの短編を読み始めるごとに、「ああ、今度は、この時代のこの角度から描写したストーリーなのか」と感心しながら、読み進めました。何を書いても「ネタばらし」になってしまうので具体的には書けませんが、楽しめる作品群であることは間違いないと思います。 いやな部分が少しもない美しいストーリーを静かに展開しながら、読者を惹きつけて離さないのは、作者の非凡な才能を感じます。明治から昭和初期にかけてのノスタルジックな時代背景も印象的です。 それぞれに完成度が非常に高い短編なので、私は、一気に読まず、余韻を楽しみながら一遍ずつ読み進めました。 日本ファンタジーノベル大賞受賞作にふさわしい、すばらしい作品と思います。

  • なかなかいいです!

    6編からなる独立したお話かと思いきや、それぞれが微妙につながった物語でした。 笠井泉二という不思議な建築家の物語。 時系列ではなく、少しずつ入り組んで話が進められていますが、伝記のようでもありました。 他人のために数々の建物を造ってきて、最後はこれ?っとちょっとヒヤッとしましたが。。。 ホッと心が和む本でした。

  • とても新人とは思えない。文章、構成、キャラクターどれもすべてが

    プロのレベル、いや、それ以上にあると思えた。建築という無機物を扱っておきながら、 人間に対するこの作者の温かい目線はどうだろう。 直木賞の候補に上がっても不思議はないと思う。 建築をベースにファンタジー、ミステリーの色合いを重ね、明治から昭和初期までの 時代をとても丁寧に描いている。 一つの章では、昔の関西弁をここまで再現したのにも驚かされた。 これがデビュー作とは到底信じられない出来映えで、プロ作家でもここまでの作品を 書き上げるのは容易ではないだろう。

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