作品情報
『終の住処』は、磯崎憲一郎による受賞作として、題材の奥にある人の記憶と関係を見つめる作品である。
結婚後の長い時間を、夫婦の距離、家、記憶の変化を通して描く中篇小説。日常の出来事を抑制した筆致で積み重ね、人生の居場所がどこにあるのかを静かに問う。
書籍情報
- 出版社
- 新潮社
- 発売日
- 2009-07-24
- ページ数
- 142ページ
- 言語
- 日本語
- サイズ
- 19.4 x 13.3 x 1.6 cm
- ISBN-13
- 9784103177111
- ISBN-10
- 410317711X
- 価格
- 700 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論/文芸作品/日本文学
妻はそれきり11年、口を利かなかった――。 30を過ぎて結婚した男女の遠く隔たったままの歳月。ガルシア=マルケスを思わせる感覚で、日常の細部に宿る不可思議をあくまでリアルに描きだす。過ぎ去った時間の侵しがたい磐石さ。その恵み。人生とは、流れてゆく時間そのものなのだ――。小説にしかできない方法でこの世界をあるがままに肯定する、日本発の世界文学! 第141回芥川賞受賞作。
レビュー
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どうにもパッとしない
うーん、これは面白いのだろうか。 芥川賞にふさわしく文章は抜群にうまいし、ところどころ心に残るシーンも多い。 不倫のようなそうではないような関係で自尊心を保っている主人公の心情とか、 妻に対する異常なまでの信頼のなさとか、家庭内のコミュニケーション不和だとか、 あと老建築家に心酔しちゃうところとか。 でもあんまり人に「これ面白いよ」と勧められないし、共感もあまりしなかったです。 コミュニケーション不全の初老男性が、ひたすら自己正当化している言い訳を聞かされるような小説。
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この人の作品を全て読まないと、という気になる。格が違う、という感じ。
才気が溢れ出ていて圧倒された。他の芥川賞作品には無い、重厚さみたいなものを宿している。芥川賞を受賞してから数年後に書かれた作品とかでは無く、これで受賞したとは。ひと言で言うと天才。
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夢の断片
こういう夢の断片のような小説があってもいいでしょう。勿論現実にはありえない話ですが、毎晩見る夢の中には出てきてそうな話です。隣り合って寝ている夫婦がお互いにこういう夢を見ていたら、それはそれでシュールでしょう。 実存というか言葉の可能性を描きたかったのかもしれません。音楽でも美術でもそうですが、古典派→ロマン派の後に抽象的な現代音楽、現代アートが出てくる。この小説はおとぎ話というよりもキュービズムかなと。 レビューでは酷評が多いようですが、私は嫌いではありません。 なお「ペナント」のほうは、よく分からないまますぐに終わる感じでした。
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わからん
芥川賞はわからん。表題作では、家族でいることの不安定さと帰属性の療法を描いており、双方を際立たせるために極端な状況を描写して、その状況における主人公の一見偏っただがしかし誰もが持ちうる心情を表していた
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合理的な解釈を望む人にはイライラさせられる
久しぶりに堀辰雄の文章に触れた気がした、なんだこの回りくどいベタベタした文章は! 龍之介の文章は明快でスパスパと切れ味が良い。 科学的な文章に慣れていると、このようなネチネチした文章はまどろっこくて「早く言いたいことを言えッ」てな気分になる。 まあ耽美な世界に浸りたい人にはいいかもしれないが、合理的な解釈を望む人にはぬかるみに脚を取られた気分になるでしょう。
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作品はよいが。
値段相当でした。解説に価値がある。
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何だか,身につまされる,のが怖い
バブルのはじける前に東京周辺でサラリーマンになり,そのまま長い間,同じ会社に勤め,今は50台くらいの中年の男。いわゆる90年代のバブルと70年代安保/団塊の間の世代。それなりの役職にはついた。 彼は,若い頃は会社の女性にもてた。 あるいは,日本の会社では良くある不倫関係だろうか? 彼は,何のために生きているのか,自分では良くわかっていない。 その妻はロボットのようだ。彼は,妻が何を考えているか,全く理解できない。そんな夫婦にも娘が生まれ,その可愛い娘が大きくなる頃には,一軒家を建てることになる。 彼のような「会社人間」は,日本にたくさんいるのだろう。彼らは幸せか?そんなことは描かれた小説。
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素晴らしい小説
初めの一行から、最後の一行にいたるまで、ずっと面白かった。 流れてゆく時間そのままを描いたような文章によって、主人公の十数年の時間を読者もまた流されてゆく。 つらねられたエピソードのひとつひとつも面白く、引き込まれた。 とくにイグアナのエピソードと、上司からの手紙が素晴らしい。 読んでよかった小説のひとつだ。
関連する文学賞
- 芥川龍之介賞 第141回(2009年) ・受賞