作品情報
日本美の源にある生命感と造形感覚を、古典文学と伝統芸術の交差点から見つめる。
『いのちとかたち 日本美の源を探る』は、山本健吉が長年の古典研究と文芸評論を踏まえて、日本文化の核心にある生命感と形式感覚を論じた大著である。源氏物語や枕草子などの古典文学、肖像画や絵巻、茶、花、能、俳諧といった伝統芸術を横断し、日本人が自然や死、芸術をどのように感じ取ってきたかをたどる。個別の作品解釈にとどまらず、文学と美術、民俗的な感覚を結び合わせ、日本美の根を問い直す評論である。
レビュー要約
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源氏物語や短歌、折口信夫の思想などをめぐる論点の豊かさが評価され、読み返すたびに新しい手がかりが見つかる評論として受け止められている。日本文化論としての射程の広さと、俳論にとどまらない深い古典理解に惹かれる読者が多い。
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那智の滝、平重盛像、日本絵画の影の問題から「たましひ」や「やまとたましひ」へ展開していく構成が、読者に日本美を根から考え直させる。個別の芸術論を重ねながら、ひとつの文化感覚へ収束していく点が魅力になっている。
書籍情報
- 出版社
- 新潮社
- 発売日
- 1981-07-01
- ページ数
- 384ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784103232032
- ISBN-10
- 410323203X
- 価格
- 971 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論
第34回(1981年) 野間文芸賞受賞
レビュー
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短歌は作られるものではなく生まれるものである。
たとえば源氏物語における「たましひ(やまとだましひ)」と「才(からざえ)」の使い分けの問題(さらに「大和魂」が明治以降どのように曲解されたかといったこと)や,オオクニヌシと光源氏に共通する(と折口信夫がみている)「稜威」という神性の問題,さらに「作られるもの」ではなく「生まれるもの」である短歌と枕詞のかかわり(近代詩や発句・俳句との対比)など。ひっかかる箇所が満載で,折に触れ何度も読み返していますが,読んで噛み砕けない自分の不勉強を恥じるばかり。たぶんすばらしく名著です。
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日本人の古来からのDNAに刻みつけられた「いのち」観
俳句のなりたちからの造詣の深さ・広く折口学や柳田学に基づく日本人論は、お亡くなりになって四半世紀すぎても山本健吉さんをしのぐ人は出ていないと思われる。そんなわけで彼の古い著作を読みたくなってアマゾンを利用して中古本を手に入れた。 本の外形は平成7年の初版本で年数劣化による紙の黄変はあるものの、中身は非常にきれいで書店さんの管理の良さがうれしかった。 さて、内容は小生の興味の俳論としての「いのち」観というものに焦点があるのではなく、源氏物語にみられる「やまとだましい」(決して大日本帝国の称揚した大和魂ではない)という古語の由来についての考察を縦軸に、紫式部と清少納言の比較論など山本氏の興味の到る範囲を横軸に論評したものを集めたものであった。インターネット書店では購入してからでないと中身がわからないのでいたしかたない。日本文化の源流を探るために参考にはなると思われる。
関連する文学賞
- 野間文芸賞 第34回(1981年) ・受賞