トリニティ
『トリニティ』は、1960年代の出版社で出会った三人の女性の人生を軸に、仕事、結婚、子ども、表現への欲望を長い時間の中で描く長篇小説。高度成長期以降の社会変化と女性の選択が重ねられる。
作品情報
仕事も愛も子どもも望んだ女性たちの選択が、時代の変化とともに響き合う。
新潮社公式ページとNDLで単行本のISBN、ページ数、内容紹介を確認した。第36回織田作之助賞大賞受賞作。
レビュー要約
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女性の人生感覚に戦後現代史の視点を重ねた点が高く評価されている。長い時間を扱いながら、個人の欲望と後悔を具体的に描くところに読み応えがある。
書籍情報
- 出版社
- 新潮社
- 発売日
- 2019-03-29
- ページ数
- 464ページ
- 言語
- 日本語
- サイズ
- 14.2 x 2.6 x 19.8 cm
- ISBN-13
- 9784103259251
- ISBN-10
- 4103259256
- 価格
- 1870 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論
「男、仕事、結婚、子ども」のうち、たった三つしか選べないとしたら――。どんなに強欲と謗られようと、三つとも手に入れたかった――。50年前、出版社で出会った三人の女たちが半生をかけ、何を代償にしても手に入れようとした〈トリニティ=かけがえのない三つのもの〉とは? かつてなく深くまで抉り出す、現代日本の半世紀を生き抜いた女たちの欲望と祈りの行方。平成掉尾を飾る傑作!
レビュー
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一度は時が重なり合った3人の女性の輝きとその後。
子育てや孫の世話係りを終え、夫も見送った鈴子に1通の訃報が届く。それは 一度は出版業界で時を共に重ねたこともある知人だった。 かつて時代の寵児として華々しく名を轟かせていた妙子の葬儀はあまりにも寂しいものだった。 その様子を鈴子の孫は 人の逝き方に寂しさを感じてしまうのは、若い自分の傲慢さだろうか と思う。 孫はライターを目指すも鬱となり引きこもっていたが、葬儀に来ていた登紀子の話をルポすることになる。 彼女はどのようなその後を過ごしたのか。 同じく社会で活躍し、現在孤独に生きている登紀子がその人生を自分史とおり混ぜて語りだす。 女性の人生の選択を考えさせられる一冊。 登紀子の思いを鈴子の孫が繋ごうとしているところもとても良かった。
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新しい?女性たちの人生をつづった作品
50年前に出会ったイラストレーター、フリーライター、出版社事務職、三人の女性の人生をつづった作品。 ブラック出版社で心を病んだ孫娘の世話をする女性が、有名イラストレーターの葬儀場でで引き合わせたのは、フリーライターのはしりとして名を馳せた老女。老女は、孫娘に請われて、老女本人、そして今は亡きイラストレーター、事務職であった祖母の過去を紐解いていく。 三者三様の女性が歩みが面白い。天賦の才能に恵まれ仕事で脚光を浴びても常に満たされないイラストレーターは、幼い頃に自身を捨てた母親に幸せな暮らしを与えようと腐心する。3代続いた文筆の才を活かし、新しい女性として自由奔放に生きてきたフリーライターは、歳の離れた夫と乾いた生活を続ける。さしたる特技もない事務職の女性は、出世の機会を棒に振って、結婚生活こそ自分の幸せと信じている。 昭和、平成と時々のトピックスを交え、女性たちの生きてきた道を刻んでいく。イラストレーター、フリーライターの人生の起伏に比べると、女性事務職は霞んでしまう。かと言って、必ずしも人生の終盤が豊かはでないというのが皮肉。三人の女性たちの今につながっていくのだが、関係性にもうちょっとサプライズが欲しいところ。 女性の自立って?、女性のシアワセって?と、感慨深い。老女の語りは、聴き手に何をもたらすのか…、ここは良い!
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60年代女性の生き方から結末まで
60年代に20代だったそれぞれ3人の女性が幸せを求めていて生きて行く。 田舎に育ち複雑な環境で育ちイラストレーターを目指す女子大生妙子、親も祖母も作家だったから何となくライターになったお嬢様登紀子、下町の佃煮屋の娘で高校を卒業しOLになった鈴子3人の生き方そして老後…それぞれが一生懸命に生きていたから仕事に生きた登紀子、仕事も家庭も両方求めた妙子、専業主婦になって家庭を大切にした鈴子きっと誰かに女性なら自分はこの人?…と思ってしまいそう。3人の昔話を鈴子の孫の奈帆が知りたいと調べて行く過程も今の時代の20代の闇…高度成長時代を過ごした3人とは違う現在の生きづらさも表現されていてそうなんだよなと思わせてくれる。 実際に人気があった雑誌の会社がモデルになっているのも興味深い話しです。 ただ老後は皆んな幸せになって欲しかったな。と思いながら何度も何度も繰り返し読んでしまいます。
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三者三様の女性たち、激動期を闘った顛末
手持ちは2019年3月30日初版の単行本、全461ページ。 冒頭に、“実在の人物や雑誌などから着想を得ましたが、本書はフィクションです。”とある。 そうだよなあ、『平凡パンチ』創刊号の表紙を飾った大橋歩さんは、まだ御存命なのに、3ページ目で殺しちゃうんだから。 イラストレ―タ―早川朔が大橋歩、夫の伊藤真二郎が彫刻家の石井厚生、潮汐出版が平凡出版社、ログストアがマガジンハウス、『潮汐ライズ』が『週刊平凡パンチ』、『ミヨンヌ』が『an・an』。 フリーライター佐竹登紀子が三宅菊子で、夫が冤罪事件研究家の佐藤一。 登紀子の母みつ子が三宅艶子、登紀子の父でありみつ子の檀那佐久間波瑠が洋画家阿部金剛。 登紀子の祖母でありみつ子の母、夏目漱石の弟子でもあったと書かれている輝子が三宅やす子、etc.。 著者の文章は引用すれば、“着想を得ました”過ぎではないだろうか。 しかし、女性三人を取り巻く1940年代から2000年代に渡る世相や、雑誌出版事情がかなり克明に記されていることに注目を。 ストーリー自体に大河ドラマ的豊饒な起伏があり、苦闘する女性の一代記を好む読者の方々にとっては、とても読み応えがあるのでは? 特に終盤、フリーランスで生計を立てる登紀子の仕事が激減して行くあたり、男女問わず非正規で働く方々は身に沁みるはず。 実は1980年代から男女雇用機会均等法、及び“女性をターゲットにせよ! 男はその後に付いて来る”との広告代理店の企み等から、女性ライターの進出が著しくなり、男性ライターにとってはとても生き難い状況になった。 そりゃ、複数の彼氏やボーイ・フレンドを多く侍らせ、飲食代を殆ど払わず、クルマによる送迎もアッシーに指示命令、高価なプレゼントを貰い捲り、あちこち遊び放題の女性に、取材力で男が敵う訳がないのだ。 本当は、妻子持ちが多い男性フリー・ライターの方がずっと苦しい生活を強いられ、それは今も続いているということを言っておきたい。 P27“奈帆がぎょっとした顔で鈴子を見た”、そのすぐ2ページ後のP29“鈴子はぎょっとして奈帆の顔を見た”と。 大衆小説だから仕方がないのかもしれないけれど、直木賞受賞(『夜に星を放つ』)後の期待をも籠めて、もう少し自分が書く文章に気を遣い続けて欲しいと、既に不要な苦言を呈しておこうかな。
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リアル〜
みんな結婚してるのが昔かなぁ バブルの頃、ギャルソンの黒い人たち 懐かしくリアルで面白くて一気読み
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現代の三位一体とは
第1章をQRコードで立ち読みしたのがきっかけで、 最初は登場人物の持つ新しい時代を牽引するエネルギーに引っ張られていきました。 あの時代のあの雑誌の、もしかしたらあのイラストレーターのこと、とネタ探しをするよりも、 祖母の生きざまに興味をもって次の扉を開けようとするブラック企業に疲れた若者の姿を応援したくなってきました。 さて、タイトルであるトリニティ、父と子と聖霊はこの先も永遠のテーマなのだろうか。それがあれば安心、誰でも求めているもの、そういう定義もできるが、多様化した現代ではそれがなくても安心、他の人と同じでなくてもいい、という着地点もあるのではないかなと思います。
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直木賞を争った有力候補。圧巻の450頁。
主人公は、1960年代に創刊された男性向け週刊誌(モデルは「平凡パンチ」)の編集部で出会った3人の女。 妙子(モデルは大橋歩)は22歳の若さでこの雑誌の表紙に抜擢され、時代の寵児になったイラストレーター。 登紀子はファッション誌の文体を確立した、と言われる敏腕ライター。 鈴子は、当時の「常識」だった寿退社を目指す、ふつうのOL。 物語は、妙子の葬儀で鈴子と登紀子が久々の再会をするところから始まり、鈴子の孫が登紀子の昔語りを毎週聞きに行くことに、という設定で進んでいきます。 妙子や登紀子の晩年は必ずしも幸福に描かれていませんが、作者は、彼女たちを批判するわけではない。また、後進の女性に道を切り開いたと絶賛するわけでもない。 周囲の非難と闘いつつ懸命に時代を生きた女たちの孤独を丹念に描き、「あの時代があったからこそ今がある」という深い感銘を残してくれる佳作です。
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自立した女性
50年前も現在もテクノロジーの差はあるけれど人間がする事はあまり変わらない。