日本の文学賞

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北海タイムス物語

北海道ゆかりの本大賞

北海タイムス物語

増田俊也

かつて北海道を代表した新聞社を舞台に、新聞作りに携わる人びとの熱気と時代の移り変わりを描く長編小説。地方紙の現場、報道への情熱、組織の栄枯盛衰を通じて、北海道の戦後史を物語として浮かび上がらせる。

北海道新聞社地方紙報道戦後史

作品情報

紙面を作る熱が、北海道という土地の記憶を呼び起こす。

新潮社刊。増田俊也が北海道新聞社勤務の経験も踏まえ、実在した北海タイムスを想起させる地方紙の世界を小説化した作品。文芸書部門大賞にふさわしく、北海道ゆかりの土地性と出版文化を強く持つ。

レビュー要約

  • 新聞社の現場を知る筆致と、北海道の空気を物語に落とし込む力が評価されている。業界小説としての具体性と、土地の記憶を読む面白さが両立している。

書籍情報

出版社
新潮社
発売日
2017-04-21
ページ数
429ページ
言語
日本語
ISBN-13
9784103300731
ISBN-10
4103300736
価格
1870 JPY
カテゴリ
本/文学・評論/経済・社会小説

破格の低賃金、驚異の長時間労働、 そして、超個性的な同僚たち…… 『七帝柔道記』の続編は、新人新聞記者の奮闘を描く 熱血お仕事小説! 「仕事っていうのはな、恋愛と同じなんだ。 お前が好きだって思えば向こうも好きだって言ってくれる」 平成2年(1990年)。全国紙の採用試験にすべて落ち、北海道の名門紙・北海タイムスに入社した野々村巡洋。縁もゆかりもない土地、地味な仕事、同業他社の6分の1の給料に4倍の就労時間という衝撃の労働環境に打ちのめされるが、そこにはかけがえのない出会いがあった――休刊した実在の新聞社を舞台に、新入社員の成長を描く感動作。

増田俊也(ますだ・としなり) 1965年生まれ。北海道大学中退。愛知県立旭丘高校から七帝柔道に憧れ北大に入学。4年生の夏の七帝戦を最後に引退し大学を中退、北海タイムス社記者に。2年後に中日新聞社に移る。中日在職中の2006年『シャトゥーン ヒグマの森』(宝島社)で「このミステリーがすごい! 」大賞優秀賞を受賞しデビュー。2012年『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』(新潮社)で大宅賞と新潮ドキュメント賞をダブル受賞。2013年、北大時代の青春を描いた自伝的私小説『七帝柔道記』(KADOKAWA)で山田風太郎賞最終候補。他著に『VTJ前夜の中井祐樹』(イースト・プレス)など多数。2016年春、50歳を機に四半世紀勤めた中日新聞社を早期退職し、本格的な作家生活に入った。

レビュー

  • 廉価での提供と、本の状態は、とてもよかったです。

    廉価での提供に、感謝しています。 迅速な対応でした。 ありがとうございました。

  • 新聞業界の良き時代の記録

    同業(新聞記者)だったことや、初任地などで北海タイムスの人たちと深い関わりがあったこともあり、社内の様子や、記者の雰囲気などが同時代そのもののリアルさで伝わってくる内容。舞台は新聞社であまり描かれることのない内勤部署だけに、一般には馴染みにくいところがあるかもしれないが、作者の構成力・筆力で読ませる。 新聞業界が今よりもずっとアナログだった時代の青春物語ともいえ、新聞記者のぬいたぬかれたや、調査報道の世界などダイナミックなストーリーを期待する向きには物足りない内容かもしれない。

  • ドラマ化してほしい

    これ事実か?と疑うようなブラックだらけの会社。社員を繋ぎ留めとてるのは会社愛と誇り。給料がせめてもう少し高かったら…会社を離れなくて良いのに…という悲痛なやるせない嘆き。重い内容だが、漢のかっこいいエピソードが幾つも出てきて、読んでいて滅入らない。何度かうるっとする箇所あり。

  • ただのお仕事青春小説では終わらせない増田俊也

    主人公は希望の業種に就職できたものの、望んでいた業務とは違う部署に配属され鬱屈した気持ちを溜め込んだまま仕事に就いている新卒一年目の若者。 自身の若いころに思い当たる人も多いのではないだろうか 「七帝柔道記」の続編的位置づけの作品であるが、増田氏本人がモデルとなった人物は脇役として登場し、ごく一般的な若者が主人公に据えられている。 仕事も不満、恋人には見栄を張る、どちらかといえば、軟弱な主人公だ。 仕事や恋愛を含む人間関係を通じて今風な若者が成長していく様を描くところは、一般的なお仕事青春小説の枠組みをとっている。 しかし、過剰なまでに仕事に賭ける、打ち込む姿の描写は余人に真似の出来ない増田俊也の真骨頂だろう。 「七帝柔道記」で純粋に柔道に打ち込む部員らに胸を打たれた人であれば、かならず心動かされるはずだ。 常識からは考えられないような激務薄給でありながら、会社を愛そうとする姿は、今の目からすればブラック企業に洗脳された社畜と紙一重だろう。 (「七帝柔道記」の柔道部がそういう意味では時代遅れの脳筋体育会であるように) ここには十把一絡げのお仕事小説には見られない、狂気が垣間見られる。 誰になんと言われようと、何かに自分のプライド、身命を賭けることを決意した人間には怖ろしさを感じつつ、惹きつけられる何かがある。 物語の進行につれ、主人公がそうした気持ちを身につけていく様を楽しんでほしい。 こうした表現ができるのは、増田氏の汗と涙で出来上がったような肉感的な経験の厚みゆえだろう。 そこに他のお仕事小説の書き手と増田氏との決定的な差がある。 増田氏自身と思われる柔道家、無骨な空手家の同僚、そして主人公の師匠となる権藤と魅力的なキャラクターにあふれている。 ただし、いささか描写が浅く、もう少し紙面をついやしてほしかったと思う人物が何人かいるので、星ひとつ減とした。 増田氏自身は2年で北海タイムスを離れ、大手の中日新聞に転職しているようだ。 これは著者にとって、こうでありたかった物語なのかもしれない。

  • 昭和の北海道の実態

    私は札幌出身で、私の叔父が北海タイムズに勤務していたこともあり、進学して実家を独立する1981年まで購読していました。懐かしさもあり一気に読み終えたので、91歳になる父にも贈りたいと思うくらいに良かったです。

  • 青年の成長を熱く描いた傑作

    読者の心を鷲掴みにした増田俊也著「七帝柔道記」の続編である。増田氏は北大で柔道ひとすじ学生生活を送り、教養部4年で中退して北海タイムスに入社し、2年間在籍した。本書はその2年間の新人時代の体験が詰め込まれた熱い青春群像物語である。 1990年4月、ジャーナリスト志望の早大教育学部卒の野々村巡洋はすべての全国紙の入試に落ちて、かつての名門新聞社北海タイムスに入社した。取材記者になるはずが、同期でただ一人整理部に配属された。記事のレイアウトや見出しをつける部署である。そこは膨大な仕事量と時間に追われる過酷な職場であった。同期の記者の活躍を横目に見ながら、上司や先輩の罵声に涙を流し、他社の数分の一の低賃金にあえぐ毎日であった。取材記者との嘘がばれて、東京の恋人とは喧嘩別れになる。気の滅入るようなエピソードが続く。 経営悪化をたどる北海タイムスであったが、過酷な状況にもかかわらず社員は報道の使命に燃えていた。編集局次長が野々村に言う。ルネサンス期の三大発明の火薬は軍事力になり、羅針盤は植民地支配を生んだが、印刷術は貧しい人に知識を与えた、と。「その印刷の最も大きな成果こそ、俺たちがやっている新聞という仕事だ。俺たち新聞人が弱者の側に立って報道するのは、その出自から当然のことだ」。会社愛も半端ではない。社員はこう言って泣くのだ。「給料は他の新聞社の二分の一でも三分の一でもいい。それだけ出してくれたら俺、ずっといる」。身も心もすり減らして働く野々村にある日、転機が訪れる。その日から彼は人が変わったように目を輝かせて怒涛のように働き始めた。いつも青年がたくましく成長していく様は、溌剌として美しい。 読者は自らの新人時代を反芻しながら本書を読むだろう。右も左もわからぬ中で失敗を重ね、理不尽さを体験し、己の非力さを知って、不安の中でもがいた日々を。闇の中に差し込むひとすじの光に救われたことを。野々村が苦闘の末に、仕事の価値や喜びを学んでいくくだりは感涙である。あまりの低賃金に、著者は2年で北海タイムスを去った。「タイムスを間違いなく愛していたのでつらかった」。だからいつか北海タイムスのことを書きたいと思い続けたと言う。この作品に込められた増田俊也の思いの深さに泣けた。「七帝柔道記」に劣らない感動小説である。

  • 働くということを改めて考えさせられる名作

    98年に経営破綻した地元の名門新聞社である北海タイムスを舞台に描かれた、そこで働く新聞マンたちの凄まじくも切ない青春小説。実際にあの頃、真の新聞人であった彼らは、生活は極貧との戦いにあっても現場では誇高く使命感に満ち、超一流の記者魂を持っていた。破綻の日から20年近くが経ち、尊い使命感はすでに散り散りになったが、若き日に同社に席を置いた増田俊也さんによって彼らの魂が畏敬の念とともに拾い集められこれほどの名作として蘇った奇跡に、泣きたいくらいの感動に震えながらページを捲る手を止めることができなかった。 これだけ会社を愛することができれば幸せなサラリーマン人生なのだろうが、一方で同業他社の6分の1の給料(年収200万円程度)に4倍の就労時間という過酷な現実が彼らの前に厳然と立ちはだかる。生活苦と家族を養わなければならない責任が彼らを攻め立て、断腸の思いで退社を余儀なくされる者がいて、忸怩たる思いでそれを見送ろうとする者がいるーー。入社時に、この劣悪な労働環境を知り絶望した主人公が、次第にこの名門新聞社を愛する上司の姿から稀有な働き甲斐がそこにあることに気づき、目覚め、奮起していく。本書は働くこととは何かを問う根源的なテーマも見え隠れしている。全ての新聞人、マスコミ人に、そしていまや新聞など購読していないという人にも、真の記者魂を持つ者しか在籍しえなかった貧しい新聞社があったことを知って欲しいと切に願いながら読了。帰省したら、久しぶりにあの社屋の前に立ってみたい。もうあの頃の彼らには会えないけれど。

  • 熱い

    会社をやめる理由が、給料が少ないからというミスターを罵倒する同僚達。 熱い仲間がいれば一生懸命に仕事していれば、金はいらない。 すごいね‼️

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