日本の文学賞

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約束の果て: 黒と紫の国

日本ファンタジーノベル大賞

約束の果て: 黒と紫の国

高丘哲次

偽史と小説が交差する、圧巻のデビュー長編。

約束偽史終末感色彩

作品情報

偽史と小説が交差する、圧巻のデビュー長編。

父から託された書物を手がかりに、史伝にない国々の悲劇と約束をたどる圧巻の偽史ファンタジー。後に『約束の果て―黒と紫の国―』へ改題された。

書籍情報

出版社
新潮社
発売日
2020-03-25
ページ数
304ページ
言語
日本語
サイズ
13.2 x 1.9 x 19.1 cm
ISBN-13
9784103532118
ISBN-10
4103532114
価格
1100 JPY
カテゴリ
本/文学・評論/SF・ホラー・ファンタジー

物語れ、新世代。ーー恩田陸・推薦 「悲劇」を超克する鍵は二冊の書物(フィクション)にあった。溢れる詩情と弩級の想像力で綴られた、「日本ファンタジーノベル大賞2019」、圧巻のデビュー作!! 父が託した二つの遺物、それが全ての始まりだった。 偽史と小説、大国・伍州(ごしゅう)で生まれ、その奇抜を極めた内容から遠古より虚構とされてきた二書には、伝説の国、壙(こう)と臷南(じなん)の王を巡る、ある“悲劇"が記されていた。 数奇なる運命のもと、時代、国境を越え読み解かれていった、物語の結末とは。そして、書に導かれるかのごとく約束の地を訪れた「私」が目撃した光景とは――。 二つの虚構が交わる時、世界の果てに絢爛たる真実が顕れる。 5000と70年の時を繋ぐ、空前絶後のボーイ・ミーツ・ガール。

レビュー

  • 日本ファンタジーノベル大賞2019受賞作 賞の系譜を感じられる作品

    作者の高丘哲次さんは、このファンタジーノベル大賞が創設された当時の新潮社編集であった、大森望さんが主催するゲンロンSF創作講座(二期生)の出身と言うことで、不思議な縁を感じますね。 そして、今回の2019年だけでなく、2018年の当賞でも最終候補に残るなど、二年連続の最終候補にノミネートされての受賞でしたので、作者の実力は折り紙付きに思えます。 レビュアーである筆者が高丘さんの存在を知ったのは、SF創作講座の頃から。 知人がこの講座の一期生だったので、この講座に注目していました。 そしてこの知人がお薦めしてくれた講座提出作品が高丘さんのもので、その着想力に唸りました。 この「約束の果て 黒と紫の国」で登場する重要な設定の一つが、まさに私が読んで感銘を受けた講座提出作品からでしたので、大好きな作品のパワーアップした完成形を、この作品で改めて読ませて頂いたようで嬉しかったです。 ネタバレしない程度のあらすじとしては、現代を生きる日本人を思わせる人物が、中国や台湾を思わせる国へ赴き、中国を思わせる架空の歴史、神話の世界を振り返りつつ、伝説の地へ訪ね歩く。というもの。 架空の伝記や歴史書を紐解いで、その伝記の中の物語が劇中劇として語られていく。 劇中劇は時代がかなり離れた二つのお話に分かれて交互に展開していくが、中盤からこの二つのお話が密接に関係した話で在ろうことに気付いた辺りから、俄然お話が面白くなって頁を進める手が止まらなくなりました。 SF創作講座で登場した設定の妙味に改めて感心させられたり、主要登場人物の一人がとっているとある謎の行動が、のちのちに驚きをもって判明する伏線になっていたり、何より劇中劇での主人公とヒロインの時空を超えた繋がりに心を動かされます。 戦記モノの要素あり、ホラー的な要素もあり、純愛的な要素もありと、多岐に亘って楽しませてくれました。 そして表題でも書いた、ファンタジーノベル大賞の系譜を感じる事は、賞のファンである私はとても嬉しく感じました。 架空の中国のようなお話と言えば、第一回ファンタジーノベル大賞である、酒見賢一さんの「後宮小説」です。 私にとっては今でもナンバーワン面白い小説歴記録を更新し続けている作品ですが、作中に登場する資料が、この作品へのオマージュとして“素乾代(1425~1639)”の物である事が物語の早い段階で語られ、この架空の中国のような世界が、後宮小説と同じ世界線である事が匂わされる心憎い演出には、ファンはニヤっと笑ってしまうし、作者の賞に対するリスペクトを感じずには居れませんでした。 他にもファンタジーノベル大賞で中国のお話と言えば、2006年18回ファンタジーノベル大賞、仁木英之さんの「僕僕先生」。 僕僕先生は、歴史上の中国ですが、仙人が登場するので大半は中国の神話の世界のお話。そういう意味でこの作品にも通じる物を感じました。 また、主人公とヒロインの時空を超えた運命は、ホラー映画「リング」シリーズの原作者で、第2回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞の、鈴木光司さんの「楽園」を思い浮かべました。 作者の高丘さんが何処までこの賞へのリスペクトを作品に込めたか?は判りませんが、賞のファンでもある私は個人的にとても嬉しく読ませて頂きました。

  • 一炊之夢

    野原を散歩していたらぽかぽか陽気につい居眠りしてしまい、くしゃみをして目が覚めたら風に揺れる一面の菫の花、という一炊之夢的な。

  • ファンタジー小説の幸福をくれる大型新人

    人々の情熱によって「私」の手に伝えられた書物に描かれた古代王国の伝説。そしてあるはずのない国名を刻まれた5000年前の青銅の矢。 異世界の全容が次第に明かされる過程が読む楽しさとなり、どんどん面白さが増していく快作。想像力だけで世界を構築しようとするハイファンタジー小説は、異世界を示してくれる冒頭部は楽しくても後は次第に退屈になってしまうことも多いのですが、本作は違いました。全編通して奇想天外は尽きず、次どうなっちゃうんだろうと思い続けました。 人ならざる力を持つ職人(しきじん)たちの大活躍は西洋ファンタジーの妖精王国の魅力。そこに中国古典の骨太な魅力と歴史観が加わって盛り上がる展開。 SF的な論理性や残酷さは、作者の持ち味らしいおっとりとした豊かな「許しと愛」に包まれています。 そして私が一番良いと思ったのは、時を超える男の子と女の子。「こじらした男の子」と「無邪気で強い女の子」の関係は、まるで『僕の心のヤバイやつ』市川と山田ですよ。じれったくって、あまずっぱかわいいのだ。 中国古典の魅力の一つは、「卑小な人間の意思が歴史をつくる」というダイナミックな感覚にあると思います。それは「どれほど偉大な人間も天運に滅ぶ」と表裏一体の歴史観で、雄大無辺であると同時に儚い。その事跡の多くは正史として残らず、ただ伝説だけが「書物」として残り人間の心を動かし続ける。「偽史としての書物」が形作る「小説」を書いた作者は、歴史や人間と対峙する覚悟でこの小説を書いたのだろうなんて思いました。 そして最初から最後まで読者を楽しませてやるんだと決意しているのだろうな。 高丘哲次という名が青銅の矢に刻まれてどこまでも届きますように。次作が楽しみです。 ・・・ 以下はストーリーのネタバレではありませんが乞ご注意!! ・・・ 「奇想天外なサービス」の一部は(私には)こんなでした!! 寄生生物によるパンデミック。 ゾンビたちの「パットン大戦車軍団」風戦略。 迎え討つ妖精のような職人たちの奇抜な活躍、 虫が、鳥が、花が、センザンコウまで戦うぞ。 そして「生物都市」みたいな人間融合による「進撃の巨人」!!

  • 奇想天外玉手箱

    2つの歴史書が交互に出てくる構成、次々に出てくる不思議な出来事、人物。楽しく読めました。

  • AIに脳まで支配された、世界を描いたSFを超える、ファンタジー。

    この筋書きは・・・・予想を裏切る展開で、最後まで楽しめる、ファンタジーサスペンスとでも言いますか。

  • 面白かったんだけれど

    最初、物語に入り込むのが難しかったものの、読み進めるうちに面白くなってきた。 けど、この発想ならばもっと面白く書けたのでは、もう少し慣れた感じがあればと惜しい気がする。 作者はのこれがデビュー作とのことなので、次作の成長が楽しみ。

  • 途中でだれる

    これまでに読んだこともないような話、ではります。 でも、読んでいて、途中でだれてしまいます。 たぶん、物語の方向が見えないせいではないか、と想像します。 がんばって最後まで読むことができれば、けっこうなハッピーエンドで、感動します。 しかし、最後までたどりつける人がどれだけいるか。 もちろん、これは私個人のことであって、ファンタジー好きの人にはたまらない作品なのかもしれません。

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