日本の文学賞

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帆神: 北前船を馳せた男・工楽松右衛門

新田次郎文学賞

帆神: 北前船を馳せた男・工楽松右衛門

永井紗耶子

播州高砂の漁師から身を起こした工楽松右衛門が、帆の改良を通じて江戸海運を変えていく姿を描く歴史長編。海商としての成長と、松右衛門帆完成までの苦闘を軸にしている。

歴史小説海運北前船人物伝発明

作品情報

一枚の帆が、江戸の海を変える。

新潮社刊。江戸海運に革命をもたらした工楽松右衛門の生涯を活写し、第41回新田次郎文学賞受賞作として確認できた。

レビュー要約

  • 松右衛門の知名度の低さや高田屋嘉兵衛との関係にも触れつつ、波瀾の生涯を海洋冒険小説として楽しめる点が評価されている。

書籍情報

出版社
新潮社
発売日
2021-08-26
ページ数
446ページ
言語
日本語
サイズ
14 x 3 x 19.7 cm
ISBN-13
9784103737179
ISBN-10
4103737174
価格
2200 JPY
カテゴリ
本/文学・評論

第41回新田次郎文学賞受賞! 著者初の海洋歴史ロマンが、伝統ある文学賞に輝きました。 「夢の帆」は俺が作る――。江戸海運に革命を起こした男の堂々たる航跡! 播州高砂の漁師から身を起こし、豪胆な船乗りとして名を揚げ、時代を先取りする海商となった松右衛門。やがて千石船の弱点だった帆の改良に自ら取り組み、苦難の末に画期的な「松右衛門帆」を完成させて、江戸海運に一大革命をもたらすこととなる。あの高田屋嘉兵衛が憧れた、知られざる快男児を活写する長編歴史小説。

レビュー

  • 魅力的な登場人物

    水夫から海運業の実業家になった主人公はもちろん、上役、妻、同業者、取引先などの登場人物が、それぞれ個性があり、魅力的なため、長い小説でも飽きずに楽しめました。 また、馴染みのない地名が多く出てきて、インターネットで検索して場所を確認するのも楽しかったです。

  • 現代につながるすごい仕事を成し遂げましたね。

    松衛門帆を復元した㈱御影屋へとつながる史実として読むと歴史の重さを感じます。牛頭丸が元服して松衛門となったのは彼の歴史、History。それを生んだ千鳥はHerstory。幼くして亡くなった千鳥の弟の新三郎はHistory。

  • 日本の海運に革命を起こした男を堂々と描いた作品

    主人公の工楽松右衛門は、江戸時代末期に現在の兵庫県高砂市の貧しい漁師から水夫に転じ、次第に力量を認められる中で自身で北前船を持つ海商まで立身しただけでなく、松右衛門帆という丈夫で軽い革命的な帆を発明して世の中に広め、更には函館や択捉島など日本各地で難工事を指揮して湊を整備することまでやってのけた途轍もない人物である。 本書を読んでこのような偉人がまだ日本にいたことに驚くと共に、本書によりこの男性の生涯を真正面から堂々と描いて、世の中に知らせてくれた著者に感謝したいと思った。 また、本書の面白さは松右衛門自身の活躍だけでなく、松右衛門を支えた魅力的な4人の女性が細やかに描かれているところにもあると思った。初恋の千鳥、様々な形で松右衛門を助けた小浪、松右衛門帆の開発を助けた一途な妻の津弥、そして新潟で後半生の松右衛門を支えた八知という、個性豊かな女性がいたからこそ、松右衛門はこのような活躍ができたわけであり、女性作家ならではの人物造形もすばらしいと思った。 新田次郎賞など各種賞を受賞したのも納得の傑作である。

  • 歴史長編恋愛小説

    4章まで読んだところです。最後まで読まずにレビューをするのもなあ、という感じではあるんですが、個人的にちょっと買い物失敗したなと思ったところがあったので、作品が読みたい人に届くよう思い立ったタイミングでレビューすることにしました。 表紙や帯やほかの本の巻末に載っていたあらすじを読んで、渋い職業小説や海洋冒険小説的な物語だと思って購入したのですが基本的には恋愛小説です。歴史長編恋愛小説と思って読める方には良いと思います。いっそ恋愛小説として売ってしまった方が読みたい人のところに届いたのではないでしょうか。それっぽい副題でもついていたらまず手に取らなかったです。 恋愛小説だったとしても人間模様が面白ければ有りなのですが、それも今一歩という感じです。主人公の初恋の女性は裕福な商家のお嬢様ですが気持ち一つで勝手に行動し、時には危ない目にすら合うのですが自分で解決しようとする気がありません。困ったことがあれば主人公が助けてくれます。主人公がそんな女性のどこに魅力を感じたのかわかりません。また、2章以降も新たな港に着くたびに若い女性が主人公に思いを寄せたり、キャラクター同士の恋愛を中心に物語が進行します。基本的にはその繰り返しです。脇役のキャラクターでさえ行動原理が恋愛ばかりなので飽きが来ます。ただ、そういう人々が恋愛に踊らされる模様を追いかけたい方には楽しい小説かと思います。 船のことや海や港のこと等も語られますが作者の筆が乗っているのは恋愛の描写の方なので、船のや海のことなどはおまけとまでは言わないまでも少なくともメインのテーマではないように感じます。 また、主人公や主人公に味方をする人々は善玉、主人公やその仲間にに嫉妬したり妨害する人々は悪玉、といった描かれ方をしているのであまり人間描写は凝っていないように思えます。勧善懲悪的に読めるのならば有りという感じでしょうか。特に主人公がやることはすべて正しくて何かトラブルがあった場合は足を引っ張る悪役のせい、といった書かれ方が多く主人公の正しさが強調されるのが鼻につきます。だからと言って主人公が心優しいヒーローのように書かれているのかというと、そうではなくてそれなりに自分勝手な行動もしています。ただ、主人公のそういった行動は全て物語の中でもみ消されるか、いつの間にか良いことのように扱われます。半面、悪役の方にはフォローはあまりなく悪い部分ばかりが描かれます。 分かりやすくて恋愛模様が楽しめる歴史小説が好きな方なら買いだと思います。私は今一でした。 追記。 その後最後まで読みました。主人公が年を取って恋愛沙汰が自然と少なくなる後半はダイジェスト的です。後半の方の重要人物として高田屋嘉兵衛が登場しますが、彼以外の人物との交流は表面的にしか描かれていません。行われた事業が年表に多少肉付けされて描かれているような状態です。 高島礼子の解説は小説の感想文と自分語りなので解説ではありません。ただ、ある人物の存在そのものが架空の人物だと分かって彼女とは別の意味で椅子から転げ落ちそうになりました。歴史小説に架空の人物を登場させるなとは言いませんが、ここまで存在感のある人物を創作するのはどうなんでしょう。それなら主人公も実在の人物でなくとも良かったと思いますが。解説を読んだ印象だと出身地からの依頼ということもあり、大河ドラマの原作に採用してほしいといったところでしょうか。まあ、頑張ってください。

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