日本の文学賞

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ヤンのいた島

日本ファンタジーノベル大賞

ヤンのいた島

沢村凜

南の小国・イシャナイでは、近代化と植民地化に抗う人々が闘いを繰り広げていた。文化も誇りも、力の前には消えるほかないのか——学術調査に赴いた女性研究者・瞳子は、ジャングルでゲリラの頭目ヤンと出会い、小国の悲しき未来をいくつも目の当たりにしていく。服従か抵抗か、暴力か非暴力か。「瞳子。世界はぼくたちを憎んでいるのだろうか」——力弱き抵抗者たちが掴み取ったものを問う、第10回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞受賞作。

植民地化への抵抗民族のアイデンティティ暴力と非暴力小国の自決異文化交流

作品情報

「瞳子。世界はぼくたちを憎んでいるのだろうか」——小国の命運を賭けた、ゲリラの頭目と一人の女性の物語。

南の小国・イシャナイを舞台に、近代化と植民地化への抵抗を描いた長編ファンタジー。架空の生物「ダンボハナアルキ」の学術調査に訪れた日本人女性・瞳子が、ゲリラの頭目ヤンと出会い、彼の国の複雑な現実に巻き込まれていく。支配する者とされる者、文化と誇りの喪失、選択の重みをファンタジーという形式を通して問いかける。沢村凜の初期作品であり、第10回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞受賞作。1998年新潮社より単行本刊行、2013年に角川文庫として文庫化。

レビュー要約

  • 概ね好意的な評価が寄せられている。架空の生物の探索から始まりファンタジー的な世界へと一気に引き込む展開を評価する声が多く、資本主義の矛盾や民族対立など現代社会に通じるテーマの深さを指摘する読者もいる。一方で、場面展開の唐突さや結末の弱さを指摘する声もあり、賛否が分かれる作品となっている。

書籍情報

出版社
新潮社
発売日
1998-12-01
ページ数
254ページ
言語
日本語
ISBN-13
9784103841036
ISBN-10
4103841036
価格
45 JPY
カテゴリ
本/文学・評論

Amazon.co.jp: ヤンのいた島 : 沢村 凜: 本

レビュー

  • 最後が

    日本人が内戦状態の未開の国に行って、ジャングルで サバイバル、というのは篠田節子の同種の小説いくつかを 連想しました。 未開の国の風俗や文化、文明との衝突とか、まぼろしの生物 ダンボハナアルキとかいいかんじなのに、 最後が消化不良な終わり方でちょっと残念。 じゃあ、どのようなラストなら満足なのかというと難しいですが。

  • 消化不良な感は否めないが…

    ファンタジーノベル大賞というのは皆さん思っているよりはるかにハードルの高い賞であるので、優秀賞でも結構いけるものがある。そんなわけで読んでみたが、題材を生かしきれていないため読後に消化不良感が残る。ゲリラ戦などがやけにリアルなのは、沢村氏がグァテマラに滞在していた経験と無関係ではあるまい。そのあたりは傑作「瞳の中の大河」で見事に昇華されているので、興味のある方は読み比べると面白いかも。 それにしても、著作権のことにまでは気が回らなかった。「ダンボハナアルキ」って語感がかわいい、としか思わなかった私は、いくら限りなく「男脳」に近いと判定されてもやっぱり女なんだなと再認識した次第です、はい。

  • 結末は賛否両論だろう

    第10回日本ファンタジーノベル優秀作だが、 大賞を採れなかったのも無理はない。 この結末に大賞と叫ぶ勇気のある奴はいないだろう。 平行世界ものとして斬新な結末と言えないこともないが、 どっちかと言うとこの結末は禁じ手だよな。 禁じ手に挑戦するのなら、 マイクル・コナリー やディーン・R・クーンツ や山田正紀 に通じる 小説界の最大のタブーへの挑戦をもっと明確にして欲しかった。 面白ければ、あるいは、文学的であれば、 どんなことを書いてもいいとされる自由な創造の場の小説界。 だが、読者の為に、あるいは文学界の為に、 何をしてもいいと言われている小説界だが、 決して犯してはならないタブーがある。 作家の自由な想像力に枷をはめる小説界最大の敵、 それは著作権である。 主人公瞳子がめざす荒野は、 反乱軍の指揮官ヤンがいる島。 そこには鼻行類の最後の生き残りダンボハナアルキが居るのだ! という話だが、 吉野朔実や田中芳樹やディズニーやゲドルフ・シュタイナーに 攻撃されて、魔法の島が消えるというメタフィクションぽく した方がもっと面白くなったと思うw 架空の存在の神とかドラゴンとか魔法使いには著作権は発生しないだろうが、 個人が考えた架空の動物のダンボハナアルキは微妙だよな。 ディズニーがゲドルフ・シュタイナーを攻撃しなかった(んだよな?)点で、 ダンボハナアルキは著作権フリーか? 山田正紀 にもスーパーマンやバットマンが出て来る小説があるし、 画像出さなければOK? 藤子F不二雄の「パーマン」のバードマンは最初 堂々とスーパーマンと名乗っていたよな? やはり文字だけならOK? 著作権は作家と出版社の権利を守るもの。 読者の権利を守るものではない。 読者の味方のエンタメ系作家の方は、 自分一人の狭い世界に留まらずに、 ドンドン著作権に挑戦して欲スイw

  • 寓話

    ファンタジーの舞台を使った、見事な現実の寓話。 始めのうち、文章の読み難さと主人公の身勝手さに苛立って失敗したかと思ったけれど、ぐんぐん引込んできて、 どうすれば良いのか、どうしていれば良かったのか、頭を使わされ、手に汗握り、ヤンの魅力にくらっとしながらも、 島の未来を祈るような気持ちで読み進めた。 ……ので、読み終えてから長いこと放心した。頭が真っ白になった。 このラストを批判する人は多いだろう。 確かに、真剣に時間をかけて読んだ物語の辿りついた結末としてだけみれば「そりゃない」と言いたくもなる。 正直、私も一瞬そう思った。 けれど、この小説が現実の寓話であるだろうことと、著者の込めたであろう思いを、読んだ人は絶対に感じる筈だ。 解り易いハッピーorバッドエンドを示して、‘終わったお話’にする気はない、しないでくれ、 ‘まだ貴方に出来ることがある筈だ’という、現実を生きる読者への戒めと呼びかけと救いが、このラストなのだと思う。 とても良い本でした。

  • 生々しい現実と幻想が交錯するのですが・・・

    主人公の見る夢が重要な位置を占めています。 しかし、話の途中で何度も夢が出てくることになり、非常にわかりづらい。 鼻で歩く未知の生き物を求めて、主人公の女性は南の島に渡ります。 そこでは政府軍とゲリラとの間で、長い戦争が繰り返されていました。 この設定は非常にリアルです。リアルすぎます。 ヤンとは何か?それはこの南海の楽園を守ってきた神様のような存在。 あまり書くとネタバレになりますので、ここらでやめておきます。 正直言って大して面白くない。井上ひさしが絶賛するほどとは・・・ 特に子供向けでないのは、明白。

  • 好きな作品

    夢と現実の交差、平行する世界。 こういうのが好きなので面白かった。 また描かれる南の島の雰囲気、裏と表。 このへんの描写も印象的だった。 この年のファンタジー大賞はどれも好きだったなぁ。

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