火群の館
『火群の館』は、新築マンションで起こる怪現象を通して、無自覚な加害や小さな悪意が人を追い詰める過程を描くホラーサスペンスである。幻想味と生理的な恐怖を重ね、建物そのものが裁きの場へ変わっていく。
作品情報
新しい住まいの奥で、見過ごされた悪意が炎のように立ち上がる。
新潮社刊。司法浪人生の明日香が友人と暮らし始めたマンションを舞台に、日常の違和感が次第に恐怖へ変わる。第ニ回ホラーサスペンス大賞特別賞受賞作で、春口裕子のデビュー作である。
レビュー要約
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不快感を伴う怪異描写と、人の些細な行為が誰かを傷つけるという主題が印象に残る。謎解きとホラーの混ざり方には好みが分かれるが、湿った怖さは強い。
書籍情報
- 出版社
- 新潮社
- 発売日
- 2002-01-01
- ページ数
- 311ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784104515011
- ISBN-10
- 4104515019
- 価格
- 1000 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論
Amazon.co.jp: 火群の館 : 春口 裕子: 本
レビュー
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ホラーミステリー。惜しいのは読者にネタが想像ついてしまったこと。
ホラーミステリー大賞という帯封に惹かれ手にした作品。序盤の説明はやや単調な感じだが、中盤にかけて冷気が徐々に高まっていき、このまま終盤に・・と思いきや、終盤はやや尻すぼみな感じが。ホラー性もミステリー性も兼ね備えており、読み応えはそれなりにあったものの、致命的だったのは、中盤で既にネタが想像出来てしまったこと。リングのようにラストのインパクトがあれば良かったがなかなか。 ただ作品としては興味深く読めたので、星四つ。次回作に期待。
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謎解きの部分は良かったが・・・・
主人公がこの怪異の謎に迫っていくシーンは良かったが、結果的には自分で解明できないで逃げに走ってしまうのは残念。また、ホラーシーン等の描写もセンスを感じさせるモノではなかった。最後まで怪異の正体があまりはっきりしなかったのもいまひとつ。
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悪くはなかったが・・・
途中経過はなかなか面白く読み進められたものの、最後は物語が分散した形で終わってしまったのが残念。それと文体に力がないのかせっかくの気色悪い超常現象の場面にいまいち説得力がない。内容は重いのに文章が軽いのも気になる。 しかし、嫌いではないです。今後の飛躍に期待します。
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ありきたりの状況に感じる怖さ
筆力のあるひとだと思います。 ごくありきたりの状況が、なんだか怖くて、ただものでない印象です。 ほかの方々は、すべての謎がすっきりと解き明かされないことに不満を持っておられるようですが、わたしはむしろ逆です。 解き明かされた部分は、結局のところ、なーんだ、で終わってしまいます。 解き明かされない超自然的な謎が残ることで、この小説は生きていると思います。 あわせて、むりやり謎解きをつめこまなかったことで、終盤が、ガチガチの説明で終わらなかったということも、よかったです。
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因果応報ホラー
司法試験合格を目指すヒロイン・明日香は、友人の真弓をルームメイトとしてマンションを借りる。しかし、引っ越し当日から何かがおかしくて…。 気は良いのだが、NOが言えない弱気な明日香が、過去の因縁からとんでもないことに巻き込まれていく。オカルトもちらっと出るのだが、スーパーナチュラルな存在の正体がイマイチ不透明で、読後すっきりしない印象を持った。髪の毛ってのはそういう話の定番だからともかく、吸盤って?? 結果的にヒロインは、強引でモラルの低い彼氏と完全に別れられて良かったのではないでしょうか。
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まずまずの面白さ
ネタバレになるので詳しいことは書けませんが、まず主人公たちに現れる身体の変化が描かれるのが遅すぎます。伏線が多すぎて何のことだか忘れるくらいでした。髪の毛もここまでこだわるのでしたら、もう少し早くそれらしいことを登場させても良かったように感じました。 全体的にはそれなりにホラー感があり面白かったです。ただ現実なんだか、夢なんだか、魔術なんだかわからないところが所々多くて、それが逆によくわからない恐怖として伝わってきて、結果的にはいいのかな・・・。それを狙っていたのなら。 余談ですが、かぼちゃが登場するところがあって、ものすごい恐怖なんですけど、現実に私もこれを経験してます。これが一番怖かった。思い出しちゃいました。
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詰め込み過ぎ<サスペンス>
同じ新人賞を奪い合ったという駄作『リカ』(五十嵐貴久著)に比べると、この著者は某有名私立大学卒のエリート会社員というだけに手持ちの情報量が多かったようで、その意味ではこちらのほうが僅かに上だと思います。問題はその手元の情報を処理する能力がゼロに近いという点にあり、本作は相互に関係ない(しかも殆ど無意味な)情報が生のまま(しかも無計画に)羅列されているのです。昔から洋の東西を問わず多くの作家が述べているように小説芸術では「情報を収集する能力以上に取捨する能力」が書く側に求められるという事実をこの新人作家には自覚してほしいと思います。しかしながら、この作家は書きたいことを持っている人らしいので、この点では今後に期待できる一人だと言えるのではないでしょうか。
関連する文学賞
- ホラーサスペンス大賞 第2回(2001年) ・特別賞