書籍情報
- 出版社
- 中央公論新社
- 発売日
- 1994-08-01
- ページ数
- 283ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784120023453
- ISBN-10
- 4120023451
- 価格
- 2332 JPY
- カテゴリ
- 本/ノンフィクション/事件・犯罪/裁判
第26回(1995年) 大宅壮一ノンフィクション賞受賞
レビュー
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かってニュースキャスターとして活躍した櫻井さんのジャーナリストとしての真価が問われる書
いま、ほとんどの裁判記録はネットで読むことができます。裁判所のホームページにアクセスして、裁判記録、陳述のすべてを読むことができる時代です。 「四畳半襖の下張り裁判記録」や「阿部サダ事件」・・こういった裁判においても、陳述記録は保存されて閲覧できます。 血友病薬害案件も裁判記録を読む方が、はるかに詳細で、その膨大な記録、陳述の詳細(コピーしたらコピー機がめげるほど)は、真に迫る内容です。 血友病関連、厚労省、ミドリ関連の、ものすごく詳細な公判内容も、誰でも、検索できます。閲覧できます。 本書は、表層的で、消化不良で、その膨大な裁判記録が持っている真実の重みを、まったく伝えきれていない内容ですが、オリジナルの要素として。 彼女はキャスターであった特権を利用して、直接インタビューしています。 患者サイドも、証人サイドも、血友病の患者会も、そして阿部英さん自身にも。直接テープに録音しています。 そのインタビューを、自分の論旨にそうように都合よく脚色して、読者を巧みに誘導できる方向に、テキトウニ加工して、まとめたものが、彼女がめざす「ジャーナリズム」ということになるのでしょうか?? この書は、ある種のねつ造ではないか?と感じます。 わたしは、櫻井よしこさんの大ファンなので、彼女のキャスターとしての能力を非常に尊敬しますが、この著述は、偏った立場から提言した(悪意のある偏見に満ちた・・とまでは行きませんが)内容で、裏付けに乏しく、感想文かエッセイに近い書であると感じます。残念です。 もっと丹念に証拠(HIV論文にせよ、クリオの製造事実にせよ)裏付けることができる資料はありますから。その点、取材不足です。 序盤:血友病患者の悲劇・・・この部分は、涙をさそいます、身につまされます、読む人の心をとらえます。本当に気の毒です。 終盤:阿部英さん自身への直撃単独インタビュー・・・テープで録音されている面前の取材に応じた時点で、スクープです。特ダネです。これは彼女がキャスターであったから可能だったと思う。 ただし、裁判記録ではないので、ここでの会話は証拠にはなりえない。 本書は、序盤と終盤のスクープ性のみが売りで、中盤は、資料も正しくない。 櫻井さんが、本書で伝えたかったのは、阿部英さんという、白い巨塔ばりに、プライドの高い、かなりエキセントリックなエリート医者の独断と傲慢でクリオの導入が遅れ、そのために、すでに海外でHIV感染の警鐘が報告されていたにもかかわらず、無視して、以降も感染者を増加させた。という主張であろうか? それなら、阿部英さん、ひとりの個性(白い巨塔の頂点の人物像)だけに焦点を絞るのがよい。 かなり、おかしな人物。それのみに集中すべき。 いっぽう、制度の問題。厚労省の薬剤安全対策の危機管理の欠如。対応の遅れが、薬害を拡大した。と提唱したいのなら、阿部さんはじめ、医者の発言うんぬんを、テンコモリにちりばめると論点がぼやける。医者の証言一切を省き、あくまで厚労省の対応の時系列の検証だけにとどめるべき。安全管理のありかた。薬剤の報告件数の把握、確認、そして新薬の導入時期。どこに手遅れが存在したのか?政府の対応。そこだけに集中すべき。 結局・・・櫻井さんはテレビ禍から抜け出ることはできないのだろう・・ 膨大な裁判記録が存在し、時系列で真偽を裁判記事からネットで確認できる現代にあっても、患者と医者と関係者の生の声に価値を置く(テレビっこらしく)スクープ性から抜け出れない。 そして、あちこちの証言をテンコモリにして、ワイドショウのように、楽しくまとめる。 生の声というのは、テープのツギハギでいかようにも改竄できる。偏った解釈も可能である。そして真偽は確認できない。この書は彼女のテレビっこらしい性質を表している。見栄えの良い、きれいなまとめかたに徹している。 ホンモノのジャーナリストは、泥まみれでも、もっと主義主張が太く、明確だと思う。 大ファンとして、櫻井さんの今後に期待します。
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ページの欠落
全体的にきれいだったが、初めのページの欠落(p9-10)があった。
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よくぞここまで取材した。
ここに書かれてある被告企業に勤務していたので内情を外部の人間よりよく知っている。 よくぞここまで事実を正確に取材し実態を明らかにしたことは称賛に値する。 是非一読をおすすめする。
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未だにこんなものを信じている人がいるとは
マスコミに躍らされ,「薬害エイズ」事件などというものがあり,未だに安部医師に なんらかの罪があったと思っている人間がいることに驚く。 はっきりと言おう,理不尽な目に遭ったのは安部医師である。 櫻井よしこは,安部医師にありとあらゆる罵倒を投げかけているが,それがすべて 自分に向かってきていることを自覚すべきである。 なによりも反省すべきは,マスコミに踊らされ,勝手なイメージで語るここの レビューアをはじめとした無責任な市民である。 詳細は武藤春光ら編著の『安部英医師「薬害エイズ」事件の真実』を参照されたい。
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「犯罪」だったということ
タイトルに「エイズ犯罪」とあるように、 「犯罪」だったのではないかという当時の様子が あぶりだされていきます。 無念さを思うと胸が突かれるように痛みます。 いったい何があったのか。 98年の後書きですらこのように記されています。 「薬害エイズという、すでに五百名をこえる患者の人名を奪った産官学による 犯罪の全貌を知るには、まだ時間がかかりそうだ。」
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薬害エイズ
いまだ記憶に新しい薬害エイズ問題。 この一冊は、その民事訴訟の過程を追うと同時に、薬害によって被害を受けた血友病患者達を初め、厚生省の官僚や医者や専門家など、そこに絡んだ「人」の姿を克明に描き出しているところに大きな特徴がある。 訴訟過程の分析によって薬害エイズが起こるにいたった原因を厳しく追求するとともに、理不尽な不幸に巻き込まれた人々の姿を描き出すことで、激しく読者に訴えかけてくる一冊である。