日本の文学賞

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ヤノマミ

大宅壮一ノンフィクション賞

ヤノマミ

国分拓

アマゾン奥地に暮らすヤノマミの人びとを追った記録文学。取材者が異文化に接近する緊張を保ちながら、生と死、家族、共同体のあり方を問い直す。

民族誌アマゾン生命観

作品情報

ヤノマミは、国分拓の視点から題材の核心をたどる受賞作である。

ヤノマミは、受賞時に注目された主題と書籍としての刊行情報を整理できる作品である。本文は、題材の背景、人物の選択、時代や社会の空気を重ね、読み手に考える余地を残す。

レビュー要約

  • 題材への切り込み方と読み進めやすさが評価されている。人物や背景の描写に厚みがあり、受賞作としての読み応えを感じる読者が多い。

書籍情報

出版社
NHK出版
発売日
2010-03-20
ページ数
315ページ
言語
日本語
サイズ
3 x 14 x 20 cm
ISBN-13
9784140814093
ISBN-10
4140814098
価格
1870 JPY
カテゴリ
本/人文・思想

ヤノマミ、それは人間という意味だ。ヤノマミはアマゾン最深部で独自の文化と風習を一万年以上守り続ける民族。シャーマンの祈祷、放埓な性、狩りへの帯同、衝撃的な出産シーン。150日に及んだ同居生活は、正に打ちのめされる体験の連続。「人間」とは何か、「文明」とは何か。我々の価値観を揺るがす剥き出し生と死を綴ったルポルタージュ。

国分 拓 (こくぶん・ひろむ) 1965年宮城県生まれ。1988年早稲田大学法学部卒業後、NHK入局。現在、大型企画開発センター・専任ディレクター。これまで手掛けた番組に、「フィリピン出稼ぎボクサー」「ETVスペシャル 森の奥 森の声」「NHKスペシャル 隔絶された人々 イゾラド」などがある。

レビュー

  • 人は何処から来て何処へ行くのか?

    私たちは今を生きている事に不満を言う。 でも彼らはひたすら生きようとしている。 生きていることに疑問を持たず。

  • (良い意味で)考えさせられる点があり過ぎる

    NHKでイゾラドの番組を観た後、本書と同じ著者による『ノモレ』の単行本(2018)、文庫本(2022)の絶版を残念に思いながら書店で新潮文庫の著者名「こ」のエリアをブラウジングしていて、テーマ的に近いと思われる本書を見つけた。残念ながら書店の物は随分汚くなっていたため、こちらで購入した。 イゾラドとはつまり「isolated」ということであり、外の社会と隔絶しており密着取材できる対象ではないので、謎に包まれたままである。一方、本書の主題となるヤノマミ族は、僅かに「文明」との接触もあり、ある程度定住し集落を形成しているため、同居しての取材や調査が何とか可能である。そういうわけで、本書は著者が4回にわたって総計150日間、ヤノマミ族の(かなり「文明化」度の低い)集落に滞在し取材した結果出来上がったものである。 私は番組を知らなかったので、本書で初めてこの内容に触れた。ブラジル北部の密林に住むヤノマミ族の一集落では、狩猟採集及び栽培で命をつないでいる。原始的な生活を続けているというだけならよくある話だが、出産後に新生児を育てるか殺すか生みの母が独断で決定するなど、彼らは驚きの風習も持っている。また、「文明」側の人間は彼らのような人々を「未開」などと言って蔑視することがあるが、逆に彼らも我々を下に見ているのである。確かに、我々は密林で生きる術を何も持たない。それどころか、仮に狩りの獲物を分けてもらっても、動物を解体することもできない。彼らから見れば、都市で生きる人間は、何もできない劣った存在なのだろう。実際、もし我々が集落に放り込まれたら、足手まといにしかならない。 ただ、伝統の暮らしを続けるヤノマミ族にも「文明化」の波は迫る。保護区に眠る資源を求めて荒くれ者たちもやって来る。 果たして、ヤノマミ族(いや、他の部族も同じだが)を近代化することが彼らにとって幸福であるのか。我々にとって幸福であるのか(「文明化」の結果、結局部族民が社会の底辺に追いやられ、物乞いや薬物中毒者になってしまったりもするという)。彼らに教育を施すべきなのか。現代医療の持ち込みは絶対的善であるのか(それによってもたらされる人口増に、彼らの生活様式は必ずしも対応できない)。我々の生活様式は果たして「進歩」と言えるのか(生活能力を失っているという点では退化でもある。ライフラインと店舗、そしてそれらを使えるおカネが無いと命もつなげないのだから)。保護区をどう保全していくべきなのか。こういった部族の事を考える際には、「普遍的」と思われることまで含めてありとあらゆることをゼロから問い直さなければならない。本書は、そういった根源的な問い直しを否応なく迫る一冊である。

  • そこには善悪や倫理や文明、法律、掟を超えたむき出しの生と死だけがあった

    ヤノマミの世界では、産まれたばかりの子どもは人間ではなく精霊であり、人間となるのは母親が子どもを抱き上げ、家に連れ帰った時だという。 精霊のまま天に送るか、人間として迎え入れるかは母親次第。 精霊として天に送る場合は、白蟻の巣に嬰児を入れ、白蟻に食べさせる。 嬰児はわずか3週間で白蟻に食べつくされ骨さえ残らない。 3週間後、収めた巣を燃やす。 ヤノマミ族の集落ワトリキでは20人の子どもが生まれ、その半数が天に返されている。 ワトリキにはただ、生と死だけがあった。 善悪や倫理や文明、法律、掟を超えたむき出しの生と死だけがあった。 ヤノマミは、生まれ、殺し、死に、土にかえっていく円環の一部であることを自覚している。 森で生まれ森を食べ、森に食べられる。 ただそれだけの存在として森にあることを受け入れている。 「文明」が浸食してくる今、果たしていつまでヤノマミの生き方が続いていくのだろう。

  • 満足

    記載通りで満足しています。

  • 良書です

    めっちゃ良書です。 文明社会で、のほ〜ほんと暮らしてる自分の生活を、いろいろ反省させられます。 ※ちなみに「矢野まみさん」とかいう、どっかの日本人おばさんは登場しません(汗)

  • 現代人必読書

    アマゾン奥地で1万年以上同じ生活をつづけている原住民の生活。文章が秀逸すぎて、そこにいるかのような感覚にさせてくれます。果たしてわたしはそこへ放り込まれて生きていけるんだろうかと考えたら絶対無理です。最強の人類。独特の生死感は理解できない部分も多いけど、地球ってバラエティ豊かでほんとおもしろいと思いました。

  • よく取材されたドキュメント(ちょっと残念な点も)

    アマゾン(ここではない)のヤノマミ族との150日間の生活をまとめた、HNK取材班によるドキュメント。 とても読みやすい文章と、多くの写真で最後まで楽しめました。 ヤノマミの人々の様々なエピソードを通じ、こういった先住民保護が単なる「文明」側のエゴイズムのようにも感じられ、考えされられます。 滞在中、取材班が目撃することになる間引きの瞬間なども丁寧に描写され、目撃者の心情とともにその衝撃がよく伝わってきます。 ただ、もう少し人類学的な視点というか、科学的な見方もあるとより良かったのではと感じました。 必ず存在するであろう小集団(シャボノ)での遺伝子多様性の問題や、祭事を大切にする文化の由来(他シャボノとの遺伝子交流?)、間引きの多さの原因等(口減らしのみが理由なのか?)、興味が尽きず、この本のみでは物足りなさを感じます。 何も体験していない者がなにを偉そうにと言われればそれまでですが、後半に進むにつれ少々ケレン味の強い文章が多くなり、これも少し残念に思いました。 スザナの嬰児への眼差し、ローリのその瞬間の著者の反応に対する周囲の女たちの反応(アハフー)など、とても興味深いです。 ですが、結果的にそれらがよく書かれた感傷的な文章と、「女たちの大きな理由」として本が終わってしまうのは残念でした。 とはいえ、総じて面白い本であることは間違いなく、全ての方にお薦めです。 映像の方は未視聴ですが、いずれかの形で視聴したいと思いました。

  • 人類についての理解が一気に深まりました。

    人間とは、、、と、深く考えることができました。

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