作品情報
異形の兵器と警察組織の倫理が、テロの現場で衝突する。
『機龍警察 自爆条項』は早川書房のハヤカワ・ミステリワールドとして刊行。書店・出版社系データで ISBN 9784152092410、2011年9月刊行、後に完全版と文庫版が出ていることを確認できる。
レビュー要約
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巨大兵器の活劇だけでなく、警察組織、外務行政、国際テロの現実感を厚く書き込む点が支持されている。キャラクターの過去と任務の緊張が物語を牽引する。
書籍情報
- 出版社
- 早川書房
- 発売日
- 2011-09-22
- ページ数
- 462ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784152092410
- ISBN-10
- 4152092416
- 価格
- 599 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論
Amazon.co.jp: 機龍警察 自爆条項 (ハヤカワ・ミステリワールド) : 月村 了衛: 本
レビュー
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彷徨い続けるヒロインの心を丁寧に描いた作品
シリーズ二作目ですが…私は本書で初めてこの作品の世界に触れました。 ある方が読書会で「パトレイバーですよ」と語っていたのですが、それは或る 意味正しく、或る意味違うというのが読後の感想。 ・確かに警視庁に人型ロボットが配備されていて ・その長は超キレ者で(昼行燈ではない後藤さんだ) ・しかし、組織自体は警察全体からは心良く思われていない ここら辺は正しい部分でしょう。でも、後は良い意味で別物。 特に話の運び方(伏線の張り方、何よりも副題が最大の伏線だ)&主要キャラの心情 (ヒロインであるライザの過去と今、そして未来へと続く終結部…それぞれの場面の 心の機微を凄く丁寧に描いている)の描き方は読者を一気に本書の世界観へと引き込みます。 これは筆者がアニメの世界で脚本を書きまくってきた故の筆力と感じた次第です。 話運びとキャラの描き方が良い分、機甲兵装(いわゆるロボット)や戦闘シーンについては (十分なレベルに達しているとは思います。絵がしっかり浮かぶから。それでも…)少し物足りない 感じを受けたのです(アクションで読ませるのではなく、話やキャラで読ませるのだ、という 考え方もありえるでしょうが)。 折角、魅力的なものを用意したのだから、そこについても読ませて、いや魅せて欲しかったと 思うのです。
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作品世界が大きく動きはじめた
前作と変わらぬ引き締まった文体ながら、今度は自在に流れるように綴られて、物語の進行と読み手の想像をたやすくしている。 人、組織、モノがリアルに描き込まれて、実在の世の中のように複雑な物語空間が動き出す。しかもそこに特有の緊張感が張り詰めている。 新刊案内には「活劇」とあるが、活劇の枠を越えて一般性を持つ。格が違う。 犯罪によって止まる時間。止まった時間に張り付いて徐々に遠のいていく死者達の像。生きる者の孤独(32頁)。 「憎悪の相似がそこにある。己の罪が無限に連なって見える世界。永遠に抜け出せぬ罪の連鎖だ。」(76頁)。罪の暗闇へのまなざし。 中でも第二章は、極限の葛藤と懊悩を見事に言語化していて、素晴らしいと思う。 一人一人が心の底にしまい、背負う憎悪と罪。それを矜持に転ずる力動。力が絡み、もつれ、破壊し、世界を動かす。 自由とは何か。 本当の裏切り者とは何か。 作品世界が大きく動きはじめたと感じる。連作が発展することに期待したい。 月村了衛『機龍警察 自爆条項』 早川書房 二0一一年九月二十五日 初版発行
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何だかんだ言っても、やはり面白い。
本作と、次の暗黒市場は。それぞれライザとユーリの過去を描いている。 この「過去」が結構重くて、物語の流れがやや悪い感じがした。 しかし、それを補って余りあるカタルシスが得られることは確かだと思う。
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機龍警察シリーズ二作目:元テロリスト、ライザの過去と再生の物語
アイルランド紛争を舞台にシリーズ登場人物のライザの過去を丁寧に描きながら、東京を舞台にしたハイスピード・近未来警察アクションが展開される。 ハードカバでー450ページとボリュームあるが、文章のテンポが良く、ページを繰る手は止まらない。 タイトル副題の自爆条項の意味するとろこが、見事にパズルのラストピースになっており、ストリーテリングの達者さには感心する。 本作をきっかけに、アイルランド紛争史を読んでみよう思う。 なお、作中のパワードスーツと銃器のドンパチアクションは本作の魅力の一つではあるが、マニアにはやや甘口かもしれない。そういう向きには、あくまで人間ドラマの脇役としてとらえ、その辺はさらっと読み飛ばすと良いかもしれない。
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力作です
大変な力作です。読む方にも、ある程度の心身の準備が必要かもしれません。 今まで読んだ警察もので、最高の死者数です。
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かくして少女はテロリストになった
時間軸は現在と過去、空間軸は、東京と中近東、アイルランドとスケールが一気に広がって壮大な物語に放り込まれる。 だが、一瞬たりとも退屈させられないのは、洗練された読みやすさのためか、一つ一つの物語の密度と丁寧さのためか。文章のシャープさ、気持ちよさもさらに熟していた。 ライザの過去を描いた第二章は、もう小説を読んでいるというより映画を観ている感覚に近い。 なぜ若いアイルランドの女性がテロリストになったか、なれたかを、「200の羊より一匹の豹」とイスラムで言う素質の描写や、この世の地獄とも思えるテロリスト訓練場面などから描いてゆく様は秀逸。その場の湿度や匂いまでしてきそうな情景が連動された。 後の章を読み進めるなかでもその時の情感がじんわり想起され、効いてきた。異国を旅した旅情を思い出すようにふいに。 第四章もライザの過去。早く次を読み進めたいのに、自分の速さではそれに追いつかない焦燥感を久々に味わえた。 後半はエンターテイメントの連続。 捜査をチェスの局面に見立てて推理する沖津の思考の場面はなぜこんなにワクワクするのか。 そして物語の核心へ・・・ 新たなキャラクターも物語の絶妙なスパイスになっている。 曽我部は個人的には岸部一徳を思い浮かべながら読んでいた。 この人が2重にも3重にも罠の仕組まれた沼に、情報という餌を放り込んで、上級官僚達をコントロールしようとするしたたかさ、粘着性、腹黒さ!?は、ほんとおもしろくて楽しんだ部分。
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いい意味で想像と違った。
二巻目はヒロインである元テロリストのライザを中心にした物語だ。物語がやっと動きだした、というより、前作が大まかな登場人物の紹介でしかない。一巻目を読んで、二巻目がただ凡庸な政治ドラマやアクションを展開してお茶を濁すようであれば二巻目のレビューはたぶん書かなかった。 今作で展開されるのは、国際的な陰謀の中で展開されるライザの物語。 ライザの過去がしつこく綴られる。ほんと、しつこい程に。正直冗長だし、第二章など過去回想に過去回想が重なり、読んでいて時系列が混乱した。またクライマックスの襲撃シーンも敵味方が入り乱れて少々混乱する。もう少し整理すればいいのに。 タイトル「自爆条項」が意味する非情な内容も明らかにされる。 それに何の躊躇もなく同意するライザの救いようのない内面が示される。 しかしすべての不満はラストのシーンで報われる。 不思議な読後感だった。ライザと緑が和解する訳でもないし、ライザが本当に救われることなど有り得ないとわかっているのに。だがそれでも、読んだ後爽やかな気分になった。 細かい所を云えばキリがない。だがライザにしっかり感情移入出来るようであれば、確実に感動するだろう。三巻を熱望しています。
関連する文学賞
- 日本SF大賞 第33回(2012年) ・受賞