作品情報
葉山博子『時の睡蓮を摘みに』は早川書房から刊行済み。アガサ・クリスティー賞大賞受賞作として単行本化されている。
書籍情報
- 出版社
- 早川書房
- 発売日
- 2023-12-20
- ページ数
- 384ページ
- 言語
- 日本語
- サイズ
- 13.1 x 2.1 x 18.8 cm
- ISBN-13
- 9784152102966
- ISBN-10
- 4152102969
- 価格
- 2090 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論/文芸作品
あたしは、世界の本当の姿を知りたい。 1936年、旧弊な日本を抜け出し、仏印ハノイで地理学を学ぶことになった鞠。三人の男との出会いが、彼女に植民地や戦争の非情な現実を突きつける。運命に翻弄されながらも強くあろうとする鞠の人生の行き着く先は──。 第13回アガサ・クリスティー賞大賞受賞作。
レビュー
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これは恋愛小説では?
社会派ミステリーや歴史小説が好きで、恋愛小説と銘打たれた小説はほとんど読んだことがないのですが、私にとってこの作品はとても美しい、心に沁みる「恋愛小説」でした。(クリスティも恋愛小説書いてるし) 時代の緊張感では山颯の『碁を打つ女』を、読後にほのかな光がある感じは奥泉光の『グランドミステリー』なんかをちょっと思い出しました。どちらも好きな作品ですが、この作品もとても好きになりました。 文章が美しく、画像が浮かびやすいところも良かったです。次作『南洋標本館』も読みます。
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良かったです
緻密な資料の分析から、時代を越えて体験しているかのような情景でした
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新人とは思えない出来栄え
スパイ小説は現代には合わないようですが設定しだいですね。 松浦寿輝さんの「名誉と恍惚」「香港陥落」と構成、時代設定が似ています。上海、香港そしてハノイ。 第30話は資料読みすぎで思い入れ強すぎの感あり。 新人とは思えない。仏文学の専門家かな。 だんぜん星5つ。 たしかに読者にある程度の知的レベルを要求されているよう。
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日本軍の仏印進駐当時のハノイを舞台とした稀有な小説であり、読み応えも十分ある秀逸な小説
以前、仕事の関係でベトナム・ハノイに3年ほど滞在したことから、ベトナムを舞台とする日本の小説を片っ端から読んでいるが、ハノイを舞台にした日本の小説は、私の知る限り黒木 亮さんの「アジアの隼」以外には見当たらなかった中で、新刊のこの小説は、1936年の日本軍の仏印進駐前後のハノイを舞台として、そこでの人々の生き様ー特に、フランス植民地当時のフランス人、ハノイに駐在している日本人家族や、日本の軍人、安南人(ベトナム人)の姿を良く描いている稀有な小説で、ハノイを知る私は大変興味を持って読ませていただいた。因みに現在のハノイは、中心街の周りには高層ビルが立ち並んでいるが、旧市街やフランス植民地時代の洋館が立ち並ぶ地域などは、往時のまま残っており、この小説で描かれているハノイの様子、空気感と然程の違和感はない。ただ、筆者はフランス語の造詣が深いと思われ、当時のハノイの場所や通りの名前も日本語の横にカタカナでフランス語のルビが付されており(例えば小湖=プチ・ラック→今の一般的名称はホアンキエム湖)、またカタカナながらフランス語の会話(もちろん日本語訳が続いている)も多く、フランス語に馴染みのない者にとっては若干の読みづらさがあるかもしれない。ともあれ、小説自体は三人の主役ー当時の若い日本人女性の生き方に馴染めず、父が駐在するハノイに飛び込んだ鞠、ハノイの日本大使館の書記生でスパイの疑いで中国国民党の捕虜となった植田、ハノイ駐屯の憲兵隊の下士官ながら、日本軍人の傍若無人な振る舞いに怒りを覚える前島ーが紡ぐ人間ドラマが活き活きと描かれており、小説としての出来栄えも秀逸である。ただ、最後は意外に呆気なく、個人的にはもう少し、三人の生き様を描いて欲しかったと思う。今後の筆者の更なる文筆活動に期待したい。
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久しぶりに読みごたえのある本!
アガサ・クリスティー賞大賞受賞作品。あまりレビューは書きませんが、これは久々に読んだ後に余韻が残るというか、三者三様の正義というか生き様を見せつけられ、しばらく登場人物達のことが頭から離れなくなり、思わず書いてしまいました。1つの結末に収斂していくというよりは、個々のエピソードが複雑に編まれ、気づいたら立派な織物が完成しているという感じで、読みごたえのある本です!舞台設定がマイナーで、私も決して造詣が深いとは言えないテーマでしたが、個々のエピソードは読みやすかったです。全体を通して読者に知的水準を求めてくるこの感じ、嫌いじゃないです。笑 ライトな本がつまらなく感じている人、歴史物、スパイ小説が好きな人(私ですね、、)には刺さると思います!
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評価のポイント
第二次世界大戦の仏領インドシナを舞台にした話。筆者はきっととんでもない知識量に支えられているんだろうけど、その知識を活かして、細かく細かく描写されている世相や文化などの説明の文体が私にとっては理解が追いつかなく、読む進めるのが結構辛かったです笑 それを面白く読めるかが評価を分けるかな。私にとっては物語というより学術書読んでる感じかな。心情がわかる部分もあるけど、ストーリーが添え物っていう感じがしてしまって。ただ面白くないわけではないです。Netflix辺りが連続ドラマとかにしてくれたらわかりやすいかも。読み手のインテリ度が試される感じかな。残念ながら私は足りなかったな笑
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今年最高
いえ、小説として近年最高だと思います。 高村薫が書かなくなってミステリの範疇を超えた、こういったスケールの大きい小説はもう読めないと思っていたので心底嬉しいです。