作品情報
薔薇色の嘘をつきたいという願いが、才気ある笑いへ変わる。
文藝春秋から刊行された短編集。表題作では、嘘や妄想を通して現実をずらし、軽妙さの奥に時代と個人の不安をのぞかせる。
レビュー要約
-
自在な語りと知的な笑いが評価される一方、癖の強さも印象に残る。妄想が現実へ滑り込む感覚を楽しむ読者に強く響く。
書籍情報
- 出版社
- 文藝春秋
- 発売日
- 1991-08-01
- ページ数
- 229ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784163127606
- ISBN-10
- 4163127607
- 価格
- 1175 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論/文芸作品/日本文学
知性とたくましさ、哄笑と優雅が織りまぜられた、まったく新しい小説空間。日本文学の最前衛に踊り出た大型女流の芥川賞受賞作。
レビュー
-
まだまだ残りの水量があります、と思いたい
『背負い水』です。 芥川賞の表題作『背負い水』、ダイエットで悪戦苦闘する『喰えない話』、コーヒーとアイスを同時に味わっていると……『四コマ笑劇「百五十円×2」』、プロレスは真剣勝負なのかどうか『サブミッション』の4本の短編小説が収録されています。 いずれの作品も明るいユーモアと微妙な官能があって、エッセイ的な内容とあいまって読みやすいです。 前半三作は30代独身女性が主人公です。 色々なダイエットに臨むくだりなんかは、非常に時代を超越したリアリティがありますね。 あまり、文学と構えて読む必要のない、面白い短編集です。シンプルに笑えればそれでオッケーという感じです。 もしかしたらその笑いは、おいしい毒キノコの毒で麻痺したが故の笑いかもしれませんけど。
-
こじらせ短編集
こじらせ妙齢女子の日々が描かれた三編、こじらせ中年男子一編の、こじらせ短編集。 著者のコメンテータとしての駄洒落は些か苦手だが、著作の方はとても愉快。収録作はカレシの怪しい行動に心ざわめかす女子の葛藤を描いた「背負い水」、ダイエットの悲喜こもごもが脳内で炸裂する「喰えない話」、カフェで知り合ったおばさんと交わす婚約者(?)の話「四コマ笑劇『 百五十円×2』」、スキャンダルを追う張り込み記者の日常と衝撃「サブミッション」。 タイトル作はおっさんが読んでも妙齢女子のせつなさが響く傑作だ。【芥川賞】
-
頭の回転がはやくなる
NHKスタジオパークで作者の荻野アンナが出ていたので、決して好意的状況と言えない事を明るくユーモアたっぷりに話していたので、その明るさに魅かれて読んでみた。 文体はTVでみる本人そのもの。3人の男の間で揺れる女性の話だが、頭の回転が速く、速すぎるがゆえそれを隠すがごとくユーモラスに仕上げ、女性特有のロマンティックな恋愛小説にはなっていないし、どちらかといえば女性の仮面をかぶってはいるが男性的な文章だ。が、女性である特典を活かしての題材選び。表題作の次に収載されている「喰えない話」は様々なダイエットに果敢に挑む独身女性の話。りんごダイエットを始め甘いものとお酒だけをとるダイエットなど、本当に作者が試みたかも?と描写に真実味がある。 表題作は芥川賞受賞作であるが、この当時はこういった頭のいい女の人の文体がもてはやされていたのかもしれない。ちょっと鼻につくが、読み終えた後は頭の体操をしたみたいに、少し回転が速くなっているように感じた。
-
馬耳東風
流れるような文章に、身を任せれば意外と読み進められた。 なにぶん内容がなく、共感もなく、本当にただ今を書いているだけなので、読んでいても味もしゃしゃりもないのだけど、文章のおかげで読める。 それだけしかなかった。 だから、読み終えてしまうと、もうこの本のことは特に何も、一切印象も残らず、まさに馬耳東風、私の中を流れてそのまま去っていっただけだった。
-
私の背負い水
「背負い水」という言葉を最初に知ったのはこの本からでした。 本は4本のエッセイから成っています。 強いて言えば文体は林真理子さんを思わせる感じですが、読み終わって「ようし、元気がでた!」というより、本から顔を上げて現実が続く・・みたいなネットリ感があります。 背負い水では同棲、同性愛を盛り込む30歳前後の女性の恋愛物ですが、他3編はダイエットの話、食べ物の話、そして雑誌社の話と、設定は変わります。 私は高校の時に読みましたが、時がたった今の方が主人公女性の年齢に近づいたからか、より楽しめます。 心情描写や物の描写がうまく、ずっと心に残って「これが主人公の気持ちか」などと日常に萩野ワールドが入り込んでくるのが後遺症かもしれません。
-
真の大人とは上手に欺く事と見つけたり
背負い水(人は生まれてから死ぬまでの水を背負って生きている)という発想というか思考形態は、現に実際に何処かの地域に存在しているのか。それともこれは完全に作者のオリジナルなのかは分からないが、凄く良いアイディアだと思いました。しかもそれは【水】に限らず、他のものに言い換えることも可能なのでした。 どうも主人公の女性は嘘をつく癖があるらしく、やたら嘘を言っているように思えてしまいました。たとえそれが嘘の場面ではないような所でも、何処となく嘘に思えてしまって、嘘をつく人を疑ったら切がないそんな感じでした。しかも男性の方も何だか嘘をついているように段々と思えてきてしまって、「大人の女と男は嘘を上手に使うものよ。上手い事欺きなさい。」と作者に言われたような感じもしました。 文章はどこか面白おかしく書かれている節があり、それが作者のスタンスなんだなと思いました。それは【背負い水】以外にも所収されている【喰えない話】【四コマ笑劇「百五十円×2」】【サブミッション】にも一貫して言える事です。 なお表題作は 【第105回(1991年上半期)芥川龍之介賞】受賞作
-
不明
なにを書いてあるのか、書きたいのかよくわからなかった。結局「だからなに?」といいながら読み進めた。いまだになにをかいてあるのかわからない。それが著者の意図か?というか、なんか安易すぎるとしか思えない。
関連する文学賞
- 芥川龍之介賞 第105回(1991年) ・受賞