作品情報
改題後の一冊では、移民の記憶と事件の謎が一本の線でつながっていく。
『大河の殺意』はのちに文藝春秋から『天皇の船』として刊行された。小説としては日本とブラジルをまたぐ事件と日系移民の歴史を描き、候補作から改題出版へつながった作品として把握できる。
書籍情報
- 出版社
- 文藝春秋
- 発売日
- 2000-10-01
- ページ数
- 381ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784163196107
- ISBN-10
- 4163196102
- 価格
- 2255 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論
日本とブラジルで起きた殺人事件の被害者の手に握られた旧円紙幣の謎を追う新聞記者たち。戦後移民史の闇を描く超弩級サスペンス
レビュー
-
移民史の闇に切り込んだ力作
日本からの移民100年祭が様々な国で催された。 日本移民が一番多く旅立っていったのはブラジルだがその他にもこの本で述べられているドミニカ共和国、ハワイ他のアメリカ、中南米など多くの国に夢を求めていった人々。 中には成功を収めたものもいる しかし多くは苦難の歴史であった。ブラジル移民も多くのものが辛酸をなめ、ブラジル社会のマイノリティーからミノリティーになるまで戦い抜いてきた。 戦後のドサクサの中、移民の争いに乗じて利益を得た人々がいた。 それらの人々の前に過去の亡霊がよみがえってくる。 ブラジル社会に精通した作者だから描けた作品である。 非常に力作であるし、よく調べてあるが、人間関係の複雑さと多くのことを盛り込みすぎてしまったため、読みにくさが残ってしまったのは残念であるものの、移民史の暗部に鋭く切り込んだ力作といえる。
関連する文学賞
- 江戸川乱歩賞 第32回(1986年) ・候補