作品情報
『ホラ吹きアンリの冒険』は、荻野アンナの作風が凝縮された受賞作。
虚実の境目を軽やかに越える語りで、アンリという人物の冒険をユーモラスに描く小説。知的な遊びと異国的な感覚が、物語を自由に広げていく。
書籍情報
- 出版社
- 文藝春秋
- 発売日
- 2001-01-01
- ページ数
- 317ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784163198200
- ISBN-10
- 4163198202
- 価格
- 1938 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論/文芸作品/日本文学
故郷フランスを離れ、七つの海を渡った男が、神戸で母と出会うまで。父の記憶を頼りに旅を続ける私だったが……。初の自伝的長篇
レビュー
-
ホラ吹きアンリの冒険
駄洒落が過剰なほどに好きな著者、荻野アンナさんの父親アンリの破天荒な生涯(まだ存命ですが)が痛快に書かれている快著です。 いくら国際化の現代でも100か国以上を旅した人はほとんどいないでしょうが、船長アンリは世界中を航海し、美女たちと楽しい時間を持ち、危険な目にも何度も遭遇しながら100か国以上をまわって悠々と生き抜くのです。 現在95歳、介護度5でありながらアンナの教え子のボランティアの女性を勝手にフィアンセと決め、「新婚生活はモナコにしよう」とか、「アンナの弟か妹をつくろう」とのたまう元気な老人です。 駄洒落を連発しながらもアンナは、小説を書いて芥川賞や伊藤整文学賞を受賞し、母校慶応大学の教授で、金原亭駒ん菜という高座名を持つ落語家で、ボクシングもやっているという他事多才の女性です。 この本に関して言うと、舞台と時代が縦横無尽に飛び回るのについていくのがしんどかったのが、5星から1星引いた理由ではありますが、好い本です。
-
秀逸な伝記―ある船乗りのhis-tory
文学研究者として、また作家として、独自の著作活動を行う作者の父、アンリ・ガイヤール氏をモデルにした伝記小説です。幸田文、荻原葉子、佐藤愛子らのそれとは、作者のまなざしと、対象の破天荒さにおいて、ひと味違う「娘の手になる父親像」。 大戦をはさみ、七つの海をまたにかけた船乗りの半生をたどり、娘である「私」は、フランスはサント、アメリカ、ニューギニアを旅します。 旅する「私」の現在、破天荒なアンリの過去、このふたつの物語をおりあげた作品として秀逸です。 家族を描きながらも、作者の筆は、冷静な批評眼を決して失うことはありません。それは、母キヌコと父アンリとの確執を決定的なものとしたある事件を、当事者に糺す「私」の「暗い鬼の目」と重なる視線といえるかもしれません。 また、綿密な取材に基づくドキュメンタリー小説でもあり、作者特有の清冽な文体にのせて、「非日常が得意で日常は不得手」なアンリの冒険を、十二分に楽しめると思います。
-
読売文学賞受賞
受賞作ということで、当時読んだ時は頭を抱えた。面白くないし読みにくい。 荻野アンナは、いかなる人脈を持つがゆえにかくのごとき作品で賞をとるのであろうか。
-
うーん
ここ五年くらいの間に読んだものの中では、一番つまらなかった。これが読売文学賞とは……。トホホ……。
関連する文学賞
- 読売文学賞 第53回(2001年) ・受賞