書籍情報
- 出版社
- 文藝春秋
- 発売日
- 2002-02-01
- ページ数
- 157ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784163207209
- ISBN-10
- 4163207201
- 価格
- 2038 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論/文芸作品/日本文学
第92回(2001年) 文學界新人賞受賞
レビュー
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クセになるおぞましさ
吉村萬壱さん『クチュクチュバーン』は、ホラーテイストのSF作品集である。 人が人でなくなる過程を描いた3作品が収録されている。一言でいうとおぞましい。残虐シーンのオンパレードなのだが、それより、狂気にかられ内面から人間性を失っていく人類の姿に怖気を振るってしまう。子供の頃読んで衝撃を受けた永井豪さんの『デビルマン』に似ているだろうか。 不条理極まりない出来事を前に、生という本能しかなくなってしまう人類。酸っぱいものが込み上げてくるのは、著者の圧倒的な筆力ゆえだろう。救いも笑いもないので、読了したときの気分はよくはない。でもクセになりそう。好き嫌いを超越したところにある作品集なのかもしれない。 ■クチュクチュバーン 生物、無生物とわず合体し、異形のものと化していく人々。彼らが向かう先で、大きな集合体に取り込まれていく。クチュクチュクチュ。そして、バーンとはじけとぶ ・・・ 『デビルマン』のデーモン無差合体別攻撃を彷彿させる作品。背景は一切語られない。特異な終末観で描かれる死と再生の物語である。 ■国営巨大浴場の午後 ナッパン星人とターハン星人の二つの異星人に蹂躙された人類。狂気が支配する世界は、いよいよ最後の時をむかえる ・・・ 狂った世界で生き残った、精神を崩壊しつつある人々の、ひとときを描いている。死を目前にした時の諦念が鮮烈である。 ■人間離れ 異星人により人類は尽く殲滅されつつあった。生き残る方法は、仲間を虐殺するか、直腸を対外にぶら下げるかだ ・・・ 生のために、”直腸出し”をし、同士討ちを繰り広げる人々。グロテスクで陰惨な世界は、本短編集の中で一番だ。人類が人間離れした姿には、戦慄すらおぼえてしまう。
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好きな人にはタマラナイ
好きか嫌いか、読み手によってはっきりと分かれる。 スプラッターとかオカルト、特撮モンスター物が好きな人は、この突き抜けた感じにシビれると思う。 収録作「人間離れ」はもう、『スターシップ・トゥルーパーズ』そのもの! 人によっていろんな受け止め方があると思うけど、この作品は不条理さをそのまま感じてシュールな世界に翻弄されるのがイイ。 でも、『ハリガネムシ』や『バースト・ゾーン』など著者の他の作品をあわせて読むと、共通するものが浮かんで見えてくる。 人間を描く表現って、いろいろな作家によって、いろいろにあっていいと思う。 それに共感するかどうかも読者の自由。
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トラウマになる
実際読んだのは3年くらい前。本当に気持ち悪くて気持ち悪くて、嗚咽。でも怖いもの見たさに全部読んでしまいました。 良いと評価できる人はすごいと思う。 私はちょうど夏の暑い盛りに読んで、その年の夏はこの本の描写がフラッシュバックして、本の表紙を見るたびにおぞましく、鳥肌立ちました。 人には勧められませんが、こんな世界もあるものだと思うのも良いかもしれません。
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なんじゃこりゃ感覚
今まで読んだことのない感触。文字を追っていくごとに想像を超えたイメージが次々現れてくる。 ハチャメチャな世界の中に垣間見れる、諦念だったり、暴力だったり。 最後向かっていく暴走館がたまりませんでした。
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……
人間は限られた時間しか生きられない、ということをしっかりと胸に刻みつけよう。したがって、僕が一生のうちに読める本の冊数はある一定値以上にはならない。ならば、つまらない本に当たったらとっとと読むのをやめ、新たな本を手に取るのが賢い選択ではないか。 読む人を選ぶ本。面白い人にとっては面白いんだろうけど、嫌いな人はめちゃくちゃ嫌いだろうな。 ぐちゃぐちゃ。ぐろすぎ。奇形につぐ奇形だから。蛆虫。身体がぱーん。むかつく。クチュクチュバーンの半分くらいまでしか読んでないから、評価できないけど、僕には合わない。そして、日本のほとんどの人にも合わないと思う。 やりたいことはわかる。メタファを具現化させてるんだろうけど、合わないものは合わない。
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筒井康隆、安部公房、大友克洋、各氏の作品が好きな方にお勧め。
表題作は、筒井康隆さんが耕した、グロテスク、 ハチャメチャ系純文学の畑に突如発生した 突然変異のような小説。 ほんの偶然で異形と天変地異の星と化した地球の、 恐らく日本と思われる廃墟が舞台。 息子を喰らい肥大した母親や、粒のようになった男、 世界の最後を見届けることに執着するシマウマ男など 様々な視点から描写されます。 そして、全てを飲み込む「集合体」の発生から、 ナンセンス極まるクライマックスへと向かう様は、 「AKIRA」等のアニメ的な光景を想起させ、 読者の想像力によっては、 洪水のようなイメージの渦を楽しめます。 この荒唐無稽な物語を文章で伝える表現力、 そして、しっかりと起承転結が語られているところに、 後に芥川賞を受賞する作者の実力が窺えます。 (個人的には、芥川賞受賞作より、この作品の方が好き。) 読者を選ぶ作品には違いありませんが、 書店で見かけたら、出だしだけでも読んでほしいです。 そこで、ピンときたら、充分楽しむ素質があると思います。
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現実世界と異世界がオーバーラップする
進化が行き着いた世界での人間たちのお話。元は海で泳いでいた魚が今の形になるまで、様々な試行錯誤があったはずで、作者は将来、人間に訪れるかもしれない突然変異を描いたのだろう。 皮膚感覚をさかなでするような描写が多数出てくるので、どろどろしたお話が苦手な方は読むのをやめておいた方がいいかもしれません。
関連する文学賞
- 文學界新人賞 第92回(2001年) ・受賞