書籍情報
- 出版社
- 文藝春秋
- 発売日
- 2009-02-11
- ページ数
- 163ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784163278704
- ISBN-10
- 4163278702
- 価格
- 1998 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論/文芸作品/日本文学
ユートピアのような村と大学街を往還する「わたし」の奇妙な生活誌。その稀有な才能が選考委員に絶賛された若手作家の第1作品集
レビュー
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毒にも薬にもならない
アンニュイな雰囲気がとてもよく醸し出されている。 真面目な人が抑制を効かせながら小器用に書いた小説という感じ。 毒にも薬にもならないので、読んでいて苛立つことはなかったけれど、一年後には内容をすっかり忘れている気がする。 昨今の小説は自閉的なものが多い気がする。 内へ内へと向かっていったところで、果たして答えは出るのだろうか?
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腑に落ちない村
第104回文學界新人賞受賞作品「舞い落ちる村」と、2008年7月号掲載「冬待ち」が収められたこの本、面白くなかった。 常に逸脱した主人公が見る世界に、危うさも美しさもない。 言葉も暦も曖味な村の女が、大学に通う時だけ村を出ていた時期を描いているが、その村を描く必然性がどうしても腑に落ちない。 しかも描かれているその村の世界に奥行きも無ければ、幻想的な美しさも無い。 何のために読者はこういう本を読まねばならいないのか、その必要性をむしろ聞きたいくらいだ。
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まるでボルヘスの世界を再現したような、珠玉の短編集
第104回文學界新人賞受賞作である表題作「舞い落ちる村」と「冬待ち」の2編が収録されている著者初の短編集。両方の短編を読み終えて感じたのは、時間から切り離され、両方の短編の中に結晶化されて囚われた感覚だ。ボルヘスや山尾悠子へのオマージュとして捧げられた2編は、読者の心を捉え、決して離すことはないだろう。 2編ともに端正な文章からは想像できないような、サルトル的な嘔吐感を感じさせる。自分自身が脱出不可能な壁に四方を囲まれた閉塞感、すなわち閉集合の中に渦巻く混沌とした内的神話世界に囚われてしまったことにある。そういった意味では、マトリョーシカ構造を感じさせる作品といえばいいのだろうか。空間的な広がりと内的な世界の広がりの中にある永遠の薔薇の世界、計算されて書かれた大変理知的な短編だった。両短編とも様々な読み方が可能、という意味でも多面的な読み方も可能なので、ぜひこの素晴らしい短編集を買って読んでみてほしい。
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迫力には欠けるが
文章は非常に達者。心地好いリズム感にはっと息を呑むような比喩、確かに巧い。幻想的な村の描写も、昔からありがちな地方の習俗に堕しておらず新鮮だ。だが、その村の意味付けがまだまだよくある幻想風景の域を脱しきれていない。この村が「心を病んで拒食症になった女が死ぬ間際に見た幻想世界」などに昇華されていれば傑作になったはず。才能は十分にあるので、これからも研鑽をつんで頑張って欲しい。
関連する文学賞
- 文學界新人賞 第104回(2007年) ・受賞