日本の文学賞

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日本の路地を旅する

大宅壮一ノンフィクション賞

日本の路地を旅する

上原善広

『日本の路地を旅する』は、中上健次が「路地」と呼んだ被差別部落をめぐり、著者自身の出自とも向き合いながら各地を歩くノンフィクションです。大阪、青森、秋田、東京、滋賀、沖縄などを訪ね、土地の記憶と現在の暮らしを静かに記録します。

被差別部落土地の記憶自己のルーツ

作品情報

日本各地の路地を歩き、土地に刻まれた記憶と人々の現在を見つめます。

著者の出身地である大阪・更池から、中上健次の故郷・新宮、さらに日本各地へと足を延ばす十三年間の旅の記録です。外から眺めるだけではなく、出自と差別の問題を自分の身体に引き寄せながら、土地に残る声を拾い上げます。

書籍情報

出版社
文藝春秋
発売日
2009-12-15
ページ数
327ページ
言語
日本語
ISBN-13
9784163720708
ISBN-10
4163720707
価格
1760 JPY
カテゴリ
本/文学・評論/評論・文学研究/日本文学研究

かつて中上健次が「路地」と呼んだ被差別部落。その出身者である著者が、日本全国に存在する路地を旅する異色のノンフィクション。

レビュー

  • 感動して涙…(ネタバレあり)

    私を含め北海道にいる人間は、部落問題なんて知らないっていうか。 なにそれ美味しいの?状態です。 恥ずかしながら、部落問題を10年位まで全く知らず。 何冊か本を読んで勉強してきた次第です。 この上原さんの文章は読みやすく、わかりやすく響いてきます。 押し付けがましくなく、「部落だから」という卑屈さも感じません。 旅ルポの楽しさもあります。 最終的には犯罪を犯したお兄さんと対面するのですが、 そこの描写も鬼気迫るものがありました。 以下印象に残ったエピソード等。 ・12Pの「生まれが生まれだけに名誉にもならぬこと」という文章には胸をえぐられました…。 彼らは制度上必要とされ仕事していただけなのに。不条理すぎる…。 ・鳥取の鉢屋。孤独すぎるご老人の心中を察して余りある。長崎の祐次との対比なのか。 長崎の裕次のあっけらかんをした態度には私も面くらいました。 これからの時代を担うのは彼のような若者なのかもしれませんね。 まだまだありますが書ききれないので端折ります。 蛇足:本作とはあまり関係ないのですが、 被差別の食卓~被差別のグルメと読んでいって「あぶらかす」がとても食べたくなり、 Amazonで買いました(*`・ω・)ゞホルモン好きなので楽しみです。

  • これこそ現代に必要な教養

    知っているようで知らない被差別地域の歴史や成り立ち、現状を情緒的にならず淡々と綴る一冊。タブーとされやすいテーマを当事者だからこそできる表現で整理しており、とても教養と理解になった。

  • わからないことは考える機会か

    胸痛める内容もあり、車窓の景色のように記憶から遠のく内容もある。 作者の隠さぬ心情に綴る文字から風景がながれて行く。 懸命に生きた、生き抜こうと、仕事に没頭し、子供たちを育てた人びと。 そんな人々を感傷とも、自信とも、思慮とも思える旅日記と読んだ。

  • 得心する作品

    日本の歴史を知ることのできる素晴らしいドキュメンタリー作品です。

  • 雑学本として読むべき

    一読する価値はある。

  • 著者がいいですね!素敵です。

    今までこの類の本は結構読みましたが、どれも著者の思い入れが強すぎて少し引いてしまいました。 この作者(上原氏)は若いせいもあって本当に自然体です。押し付けも誘導もありません。 事実を淡々と調べ(体験し)、それを自分で冷静に咀嚼して正直に語っておられるところが素晴らしいです。 差別する側される側、同和問題に限らず我々誰しもが両方の側面を持って生きています。 「差別は悪」と口にすることは簡単ですが、それだけでは何も解決しません。 上原氏はその辺りを本当にクールに誠実に語りかけてくれてるような気がします。 教育者必見!「道徳」の授業でも取り上げて欲しい良書です。

  • 非常に優れたルポルタージュ

    「路地」とは被差別部落のこと。著者も被差別部落出身だ。 この種のテーマは重くなりがちだし、著者の「前のめり」の姿勢が見えたりする。 しかし、不思議なほど淡々と読めていく。 優れたノンフィクションやルポルタージュには、 あまり「筆者」の感情を入れないほうがいいともいう。 確かにその通りと言いたくなる作品。 まだ若いのにこの抑制された筆力は、 さすが大宅賞と思わせる。 部落問題に興味が薄い人も、読んでおいていい本だと思う。

  • 何か違和感を感じました。

    私感ですが、文章が何となく自分に酔っている感じが感情移入しにくいです。 著者の上原氏は、当時大阪府知事だった橋本 徹氏の実父の之峯ゆきみね氏は同和地区出身のヤクザで最期はガス管をくわえて自殺、従兄弟は金属バットで人を殴り殺して逮捕といった、橋下氏の親族の過去を暴露して有名になった方ですよね。 政治信条の違いなのか、功名心なのか、お金なのかは分かりませんが、橋本 徹氏本人ではなくその父親や従兄弟について調べて暴露する意味があったのでしょうか、本書を読んでもやはり理解することができませんでした。あくまでうがった見方ですが自身が同和=弱者だから同和について何を書いても暴露しても構わないということでしょうか、例えばアメリカで差別を受けていた黒人青年が肌を白くし黒人だった事を隠して平穏な生活しているとして、元は同胞だからと「アイツはもともと差別を受けていた俺たちと同じ黒人だったんだっ!」と言いまわっているのと同じではないだろうか、未だ本書の意味が見出せないでいます。

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