作品情報
十の家と風景から、イタリアの日常にひそむ人間の厚みが見えてくる。
文藝春秋から単行本、のち文春文庫として刊行。出版社公式で単行本 ISBN、図書館系書誌で文庫 ISBN を確認し、受賞時に近い単行本識別子を採用した。
レビュー要約
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旅先の紹介にとどまらず、人の暮らしの奥へ入っていく観察が評価されている。静かな筆致でありながら、土地と人の濃い気配を残すエッセイとして読まれる。
書籍情報
- 出版社
- 文藝春秋
- 発売日
- 2011-02-10
- ページ数
- 283ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784163736402
- ISBN-10
- 4163736409
- 価格
- 2170 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論
在イタリア30年の著者が目にしたかの国の魅力溢れる人間たち。忘れえぬ出会いや情景をこのうえない端正な文章で描ききるエッセイ
レビュー
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上質のエッセイの面白さを思い出させてくれた
この人は生来の引き寄せ体質なのだろう。家から一歩出るだけで、いや出なくても、面白い人、面白い事件、面白い話が向こうから近づいてくる。そしてイタリアの風景はどこをとっても絵になる。人々が身に着けているもので人物描写があらかたできてしまうというのもどの年齢、階級、職業でもそれなりにファッションコンシャスなイタリアならではだろう。とはいえ、いかに素晴らしい舞台、役者、小道具がそろっていても、そこに命を吹き込む物語がなければ誰かにとってのただの日常でしかない。 内田洋子さんは引き寄せ体質なうえに、注意深い、それこそ探偵のような眼をもった観察者であり、役者の魅力を引き出す名監督であり、しかも天才的な脚本家ということだ。よくよく読んでみると、どんな人でも途中まではありそうな話である。暗黒街といわれているところがあるらしいが、ちょっと見てみたいな、とか。ボヤが出たことで近所の人と言葉を交わすようになる、とか。すごく変わった芸術家や商売人に紹介される、とか。タクシーの運転手に騙されそうになる、とか。見知らぬ人に車に乗せてくれと頼まれる、とか。あるいは、田舎に引っ越そうと思い立って家を探す、とか。 そこから先が内田さんならではである。舞い込んでくるものは、チャンスであれ、誘惑であれ、へんてこな依頼であれ、見知らぬ尼さんであれ、なんでも引き受ける。開放的というか、包容力があるというか。そこに覚悟や気負いといったものは感じられない。自然体である。しかも海外もののエッセイにありがちな説教じみた調子は微塵もないし、あなたの知らない本当のイタリアを教えてあげましょう、というような啓蒙者風でもない。ただ、イタリアとイタリア人、というか人生と人間が大好きな一人の女性が「そういえばこの前こんな面白いことがあってね」とおいしいコーヒーとお菓子を前に早口で、あるいは「ここだけの話なんだけどね」とワイン片手にまったりと語ってくれているような、そんな気分になる随筆集だ。 誰もがブログで文章を書く時代、「エッセイ」というジャンルの相対的価値が落ちたようにも思っていたが、やはり面白いものは面白い。
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ジーノの家
読みやすく、とても面白かった
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なぜ、日常の生活がこんなにもドラマティックな出来事になってしまうのか?
そう、これはエッセイ、ノンフィクション。でも、ここに描かれた10組の人々の人生や出来事は、まさに小説。本当の話か?イタリア人特有のでまかせではないか?と勘ぐってしまうほどである。作者は、温かく、優しく、寛容な眼差しで、彼ら自身やその生い立ち、舞台となる土地柄や地域、歴史などを見つめ、なにより奥深いところで理解しようとする信念で探求し、生の人間を活き活きと、生活の襞や綾を豊かに、精巧な筆致で描きだしている。泣いて笑って、喜んで楽しく、そして悲しく切ない、ああ、人間愛いっぱい。
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" ジーノの家 " ・・・それでいいの ?
■ ジーノの家 <イタリア10景> 内田 洋子 はじめて内田 洋子氏のエッセイを読んだとき、当たり前のように書いてある「バール」の意味が分からずカタカナ語辞典をひいたのも昔(?)の話。 さて、この本のタイトルは「ジーノの家」 当然、別に異論をはさむこともなく読み始め、確かに悪くない一篇なのだが、それも8篇目の 「初めてで、最後のコーヒー」 を読むまで。 ちょっと異次元のエッセイ。 内田 洋子にしか起らない、彼女しか遭遇しない話。そして内田 洋子にしか書けない(掬い取れない)文章、エッセイ。 かって暮したナポリへ向う鉄道の道中、コンパートメントの中でコーヒーを飲む話が出てくる(さりげなく)やがてナポリに着きタクシーを拾い、彼女の様子を見た運転手(ジェンナーロ)が " いいカモ " とばかりに遠回りと周回をはじめる・・・そういう話なのだが、いくつもの人生がこの30ページほどのエッセイに重なり、それぞれが主人公であることを主張し、考えてみたら良くわからない「初めてで、最後のコーヒー」の意味が最後には浮び上がってくる。 もし今後「内田 洋子ベスト・エッセイ集」のような本が企画されたとき、この一篇は絶対に外せない・・・もし外せば編纂者のセンス・感性が疑われるような作品。 文中「一見、混沌を極める町には、しかし、ここだけにしか通じない共存の様子がある。千差万別の要素は、互いに阻害したり否定することなく、絶妙な均衡を保って共存している。」とあるが、きっとこの街 " ナポリ " も主人公なのだ。
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これだからイタリアはやめられない!
あっという間に読んでしまいました。何度も涙が出そうになりました。
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イタリアに行きたくなってしまいました。
風景の描写、生活感、人々のことなど、表現力が豊かで、楽しめました。 また良い事ばかりではなく、海外で生活していく上での、大変さなど描かれていて とても面白かったです。 私自身、海外在住なので、共感を覚えました。
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イタリア在、三十余年の年輪。
内田さんは、東京外大のイタリア語卒の人ですが、イタリア在三十数年の経験から、文化を 日本人の感覚ではなく、深い処で理解されています。表題のジーノの家、舟との別れが出色です。10章の短編ですが、とてもよく出来た話の展開です。 なかなかです。 文の上手い方です。
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イタリアが好きになる一冊
イタリア旅行のための情報収集で読んだが、文章がよく面白かった。エッセイだが小説のようにも読め、作者の文章力に感心した。
関連する文学賞
- 講談社エッセイ賞 第27回(2011年) ・受賞
- 日本エッセイスト・クラブ賞 第59回(2011年) ・受賞