日本の文学賞

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辞書になった男 ケンボー先生と山田先生

日本エッセイスト・クラブ賞

辞書になった男 ケンボー先生と山田先生

佐々木健一

見坊豪紀と山田忠雄という二人の国語学者の歩みを通して、国民的辞書が生まれるまでの協力と決別を追うノンフィクション。辞書づくりの裏側にある執念と日本語観の違いを描く。

辞書国語学ノンフィクション日本語

作品情報

佐々木健一『辞書になった男 ケンボー先生と山田先生』の受賞作情報と書誌状況を整理した作品紹介。

見坊豪紀と山田忠雄という二人の国語学者の歩みを通して、国民的辞書が生まれるまでの協力と決別を追うノンフィクション。辞書づくりの裏側にある執念と日本語観の違いを描く。 書誌識別子は、確認できた紙書籍の情報に限定し、掲載誌や応募原稿の識別子は採用していない。

レビュー要約

  • 作品の題材や筆致を評価する反応が中心で、受賞作としての位置づけと読後に残る主題性が注目されている。

書籍情報

出版社
文藝春秋
発売日
2014-02-12
ページ数
347ページ
言語
日本語
ISBN-13
9784163900155
ISBN-10
4163900152
価格
282 JPY
カテゴリ
本/語学・辞事典・年鑑/国語辞典/国語辞典

2013年にNHKBSで放映され、ATP賞最優秀賞(情報・バラエティ部門)に輝いた、『ケンボー先生と山田先生~辞書に人生を捧げた二人の男』がついに書籍化! 辞書は小説よりも奇なり。 これはことばに人生を捧げた二人の男の物語です。 『三省堂国語辞典』と『新明解国語辞典』を知っていますか? 両方合わせて累計三千万部の国民的ベストセラーです。お世話になった人、なっている人も多いでしょう。 でも、この二冊を書いた見坊豪紀(ひでとし)と山田忠雄のことはほとんど知られていません。この二人、実は東大の同期生。元々は二人で一冊の辞書を作っていました。 その名は『明解国語辞典』。 戦時中に出されたその辞書は字引の世界に新たな新風を吹き込みました。 戦後も二人の協力関係は続きますが、次第に己の理想を追求して別々の道を歩みはじめ、見坊は『三省堂国語辞典』を、山田は『新明解国語辞典』(赤瀬川原平さんの『新解さんの謎』でブームとなった辞書です)をほぼ一人で書き上げることになりました。 一冊の画期的な辞書を作った二人の人生が、やがて戦後辞書史に燦然と輝く二冊の辞書を生みだすことになったのです。 しかし――。『新明解』が出された一九七二年一月九日。 ついに二人は訣別のときを迎えます。以後、二人は会うことはありませんでした。 一冊の辞書がなぜ二つに分かれたのか? 二人はなぜ決別したのか? 二人の人生をたどりながら、昭和辞書史最大の謎に迫ります。 ディレクターが番組では割愛したエピソード、取材秘話、放映後に明らかになった新事実などを盛り込んで、書き下ろした傑作ノンフィクションです。

レビュー

  • 単純に人間ドラマとして面白い

    新解さんこと新明解国語辞典と三省堂国語辞典、同じ辞書というカテゴリだけど同一の会社が二つを出している。新解さんの方は「例文が面白い」ことが長く話題になっており、暇つぶし込みだと俺自身こちらを奨められたりした故こちらを持っている状態である。尤も、暇つぶしに関してはいくらでも状態でたくさん持っているのでそれをもって楽しんだ時間はこの本に注目する者の中では極小の側に入るのであろうが。 この本は大きく二つの軸でお勧めできる素晴らしい本である。 その一。辞書に興味を持った者。 船を編む、youtubeの紹介、新解さんに興味、単純に辞書に興味。 列挙したこういう方面から興味を持ったなら辞書に対する二人の「有名人」を軸に辞書に対する姿勢、それができる流れ、辞書界隈での大事件が、飽きることなくわかりやすく並んでいて、確実に今存在する「本をベースにする辞書」(個人的な感覚で限定)にこれまで以上に愛着を持てるのではないかと思う。その語に付けられる説明、用例にまつわる話も楽しい。 その二。人間ドラマと推理小説のようなノンフィクション。 山田さん見坊さんを軸に据えたのは伊達ではなく、この二人への様々な方々のインタビューその他から貼付けられていく彼らへのコメント、彼らの行動言動、彼らの周辺の事情、まるで推理小説のように形作られていくそれ。 悪役はいるのか。 金田一の監修、反目し新たに新明解の辞書を立ち上げさながら見坊の下にいたときに溜めた不満を解消し後に大人気になるそれを世に送り出した山田、ひたすらに自分のやり方を続けた結果膨大な資料を残した辞書を作りつづけた物静かな見坊。 インタビューに答える方々も彼らに匹敵する仕事人であろうが、ここでは彼らに対する脇役として演じられ、そして、どうしてそのような経緯に至ったのかという様々な面からの見方を提出してくれる。我々は小説の登場人物を一面的に、いや現実にいる人にだって一面的に捕らえがちにすらなるところを、この本を通じてたった二人とその関係にすら何度もその印象を塗り変えられて、短絡化している自分は何度も殴られた気がした。 真実は何かではなく、多面的で、いくらでも見方はある。でも、それを知りうる失われたリンクもたくさんあるのだろう。 おもしろかった。

  • 国語辞典の用例とは

    これを読んで特に印象に残ったのは、見坊氏も山田氏も、それぞれの人生に裏打ちされた何とも言えない用例を書かれていること。 私は古語辞典を使う事が多いので、用例というのは既にある作品から引用するものという感覚があり、特に見坊氏のように膨大な用例を収集していた人は既存の作品から引用しているものと思っていたが、山田氏だけではなく見坊氏も用例に自らの思いを込めて創作していた事を知って驚いた。

  • 辞書好きにはいい本である

    映画の「舟を編む」が人気だったころに読んだ本。 ちょっと辞書オタ入っていて辞書も数種買ったし、編集者・監修者を扱った本をよく読んでいた。 ケンボー先生、山田先生の話も面白くも興味ぶかく読み進めることができた。

  • 著者の緻密な取材に敬服

    多少くどいと思われる点もあるが、多方面にわたって取材された結果として、仕方はないかもしれない。 2人の学者の関係や出版社などの複雑な絡みが、十分にりかいされる読み応えのある本であった。

  • 辞書をめぐる確執

    2014年に出た単行本の文庫化。 もともと2013年4月29日にNHK-BSで放送された『ケンボー先生と山田先生-辞書に人生を捧げた』を書籍化したもの。 著者は番組のディレクター。 『三省堂国語辞典』を編集した見坊豪紀、『新明解国語辞典』を編集した山田忠雄。2人は途中まで協力体制にありながら、あるとき決別してまったく違うタイプの辞書をつくるにいたった。 本書は、2人の人生や人間関係に取材した人間ドラマ。劇的であり、いかにもマニアックな二人の姿が興味深い。ただ、知られざる世界をわかりやすく描き出した点は貴重だが、あまりに味わいが濃く、またしつこすぎるきらいがある。 読後感が重い。

  • 名著だが

    名著率の高いエッセイストクラブ賞受賞作の中でも読んで面白い名著。鮮やかな人間ドラマである。が、これがNHKの番組として潤沢な資金と優秀なスタッフによって取材されたことを思うと、一人でやっているノンフィクション作家などはかなわないなあ、と複雑な気分になってしまう。

  • noteの記事の中で紹介されていた本、面白そうなので直ぐAmazonで購入

    なんだか忙しくバタバタしていて、まだ 読めていません。でも、きっと面白い!のでは?暮れに遊びに来た友人も「面白そう!」と、スマホで本の表紙を撮ってかえりました。時間を見つけて読みたいです。

  • 日本の辞書界に巨人が2人いた件。

    類まれな良書。 本書のもとになったNHKドキュメンタリー(2013年4月29日放送)の説明文が最も分かりやすい。 ----- Original Message ----- 独特の語釈と用例で多くのファンを持つ「新明解国語辞典」。その誕生の裏に驚くべきドラマが! 辞書界の革命児・山田忠雄が「新明解」を生み出す背景には一人の男との決別があった。その男こそ「三省堂国語辞典」を生んだ戦後辞書界の巨人・見坊豪紀。協力し理想の辞書作りを追求していた二人。 しかし、ある日を境に全く異なる二つの辞書を生み出し、改訂作業を続けた。辞書に人生を捧げた二人の男の情熱と相克の物語を描き出す。 ----- Original Message 終了----- その「ある日」とは、1972年1月9日。その謎を解き明かすドキュメンタリーの章は、まるで推理小説を読んでいるようだ。 もの凄く分かりやすい比喩で言えば、人気があって「記憶に残る天才(長嶋)」が山田忠雄で、超人的な努力で「記録に残る達人(王)」が見坊豪紀。もちろん多少キャラは違うが。 その二人を指導する監督、もとい伝説の監修者。金田一春彦をも巻き込んで展開する辞書界大決戦! 特に面白かったのが、言葉の専門家であるはずの彼らが、心情を互いに対話によって交わすことができずに、結果的に彼ら二人が採用したコミュニケーション手段が、なんと「社会の公器」である辞書の語釈(解説文)。をいをい、辞書で文通するなよな〜(笑) しかし、それを読み説いた筆者の力量に驚くほかない。 小説(そして映画)の『舟を編む』も極めて優れた作品だが、本書は日本の辞書に関するドキュメントとして歴史に残る傑作だろう。

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