日本の文学賞

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可燃物

本格ミステリ大賞

可燃物

米澤穂信

社会の不穏さを背景に、爆発寸前の感情や関係を緻密に追う長編ミステリ。

社会不穏人間関係ミステリ

作品情報

可燃性のある人間関係が、静かに温度を上げていく。

文藝春秋刊。事件の外側にある圧力や緊張を丁寧に描き、読後の余韻を残す。

書籍情報

出版社
文藝春秋
発売日
2023-07-25
ページ数
280ページ
言語
日本語
サイズ
13.8 x 2.2 x 19.5 cm
ISBN-13
9784163917269
ISBN-10
4163917268
価格
1490 JPY
カテゴリ
本/文学・評論/文芸作品/日本文学

2023年ミステリーランキング3冠達成! (「このミステリーがすごい!」第1位、「ミステリが読みたい!」第1位、「週刊文春ミステリーベスト10」第1位) 余計なことは喋らない。上司から疎まれる。部下にもよい上司とは思われていない。しかし、捜査能力は卓越している。葛警部だけに見えている世界がある。 群馬県警を舞台にした新たなミステリーシリーズ始動。 群馬県警利根警察署に入った遭難の一報。現場となったスキー場に捜査員が赴くと、そこには頸動脈を刺され失血死した男性の遺体があった。犯人は一緒に遭難していた男とほぼ特定できるが、凶器が見つからない。その場所は崖の下で、しかも二人の周りの雪は踏み荒らされておらず、凶器を処分することは不可能だった。犯人は何を使って〝刺殺〟したのか?(「崖の下」) 榛名山麓の〈きすげ回廊〉で右上腕が発見されたことを皮切りに明らかになったばらばら遺体遺棄事件。単に遺体を隠すためなら、遊歩道から見える位置に右上腕を捨てるはずはない。なぜ、犯人は死体を切り刻んだのか? (「命の恩」) 太田市の住宅街で連続放火事件が発生した。県警葛班が捜査に当てられるが、容疑者を絞り込めないうちに、犯行がぴたりと止まってしまう。犯行の動機は何か? なぜ放火は止まったのか? 犯人の姿が像を結ばず捜査は行き詰まるかに見えたが……(「可燃物」) 連続放火事件の“見えざる共通項”を探り出す表題作を始め、葛警部の鮮やかな推理が光る5編。

レビュー

  • ミステリーランキング3冠は納得

    ミステリー愛読者にとって十分読み応えがあります。謎解きの刑事ものです。一気読み間違いなしです。

  • 枯山水の石庭みたいにストイックなリアルさ。

    ミステリ小説の主人公は、大抵その外見や性格、クセを詳細に描写されるものだ。 でもこの作品の主人公、葛警部はその逆を行く。 彼には何ら外見の描写がない。有りがちな家族や私生活の描写もほぼない。 周囲の部下や上司も、ストーリー展開上必要な部分を除いて名前すら語られず、名字と、尾行が上手い聞き込みが得意、と捜査における各々の役割だけが語られる。 事件自体も、まるで淡々とした警察調書のように状況が時系列に沿って語られ展開していく。スルッと喉を通る緑茶のような文体に促されて最後までサクサクと読み進められた。 枯山水の石庭のような、ごちゃごちゃした余計な装飾が一切ない世界観は、昨今の装飾過多な特殊ミステリに飽きた読者にはむしろアンチテーゼとして好感が持てるのではないか。 そこで提示されるミステリとしての謎自体も、奇想天外なトリックや舞台装置はなく、あくまでも現実的なものに限られる。 しかし、米澤穂信の用意したオチは、読者の考え得るトリックの数段外に構築されている。 リアルでストイック。 謎解きに自信がある人程、腕試ししたくなる作品だ。

  • 淡々と進む推理小説

    ド派手な罪を犯す犯人もいなければ、変人探偵も出てきません。 日常でありそうな、些細な行動から生まれる犯罪が描かれています。 群馬県のとある警部が淡々と推理していく。実際の捜査ってこんな感じなんでしょうか。 推理後に犯人の動機が長々語られるとか、逆上するとか、探偵や刑事が諭すとか、ミステリあるあるはありません。 個人的に好きだったのは「ねむけ」「命の恩」の2つです。 長編ミステリで描かれる伏線や大どんでん返しはないのでそれを望む方にはおすすめできませんが、米澤穂信が警察ミステリ書いたってだけでも嬉しいので、読んでほしいです。 シリーズ化するのでしょうか?もしあるなら次回作も楽しみです。

  • 静かな炎のように燃え広がる、米沢穂信らしい人間の観察劇

    米沢穂信の短編集『可燃物』は、まさにタイトル通り、人間の内側にある「燃えやすい部分」を見事に描き出した傑作でした。どの短編にも、静かな痛みと温度があり、読み進めるほどに心の奥で何かがじわじわと熱を帯びていきます。 事件や謎よりも、人の思考や感情の細やかな動きを描く筆致が本当に見事。ちょっとした仕草や言葉の裏にある“意図”をここまで丁寧に描ける作家は、やはり米沢穂信しかいないと思います。特に表題作「可燃物」では、善意や正しさが時に人を追い詰めてしまう構造が、静かな炎のように胸を焦がしました。 どの話にも「人間らしさ」が詰まっていて、読後は悲しさよりも温かさが残ります。米沢作品に通底する“他者への観察と理解のまなざし”が、これまで以上に深まっている印象でした。 文章は洗練されていながらも決して難解ではなく、日常の中に潜むドラマを静かに掘り下げていく心地よさがあります。ミステリ好きにも、文学好きにもおすすめできる一冊です。 読むたびに心のどこかが熱くなる。 まさにタイトル通り、人間の感情を燃やす“可燃物”のような短編集でした。星5です。

  • 米澤節いいなぁ

    葛警部の鮮やかな推理で事件は驚きの解決へ。頭脳明晰でクールな葛警部の昼食は今日も菓子パンとカフェラテ。

  • 満願に感動してこちらも読破

    「満願」にとても感銘を受けたのでこちらも呼んでみましたが、やっぱり面白い…一話一話は短いのに、読後の満足感がすごいです。表題の「可燃物」は本当にまさかの犯人像でびっくりしました。

  • あと一歩踏み込んで欲しかった

    短編集がいくつかあって、比較的一話一話が読みやすいです。 ただ短編集ゆえにか、問題解決するまでの展開が早すぎる早すぎる…。 あと、短編集を全て読み終わると一つに繋がっていた!っと言うのを期待していたのですが…。私的にはあと一歩!

  • 秀作ぞろい

    どの話も水準以上の出来。個人的には表題作が今ひとつだったかなと思うが。

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