作品情報
日常の裂け目から、奇妙で忘れがたい来客たちが姿を現す。
文春文庫版は文藝春秋の公式ページでISBN-13 9784167296049を確認でき、ISBN-10は4167296047。日本の紙書籍のためASINも同値で補完した。文藝春秋の紹介では、独自の感性と幻想が醸す世界を描いた泉鏡花文学賞受賞の連作短篇集とされる。
レビュー要約
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奇妙な人物たちの描写と、戦後の空気をまとった語りに引き込まれるという反応が目立つ。無頼の魅力だけでなく、自分の弱さを受け止めるような余韻も読者に残す。
書籍情報
- 出版社
- 文藝春秋
- 発売日
- 1989-10-07
- ページ数
- 310ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784167296049
- ISBN-10
- 4167296047
- 価格
- 660 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論/文芸作品/日本文学
戦後色濃い世相を行き来しながら、人生の奥行と陰翳を幻想的に描いた連作短篇。 私が関東平野で生まれ育ったせいであろうか、地面というものは平らなものだと思ってしまっているようなところがある―「門の前の青春」。亡くなった叔父が、頻々と私のところを訊ねてくるようになった―「墓」。独自の性癖と感性、幻想が醸す妖しの世界を清冽に描き泉鏡花賞を受賞。 目次 空襲のあと/尻の穴から槍が/サバ折り文ちゃん/したいことはできなくて/右むけ右/門の前の青春/名なしのごんべえ/砂漠に陽は落ちて/とんがれ とんがり とんがる/ふうふう、ふうふう/タップダンス/見えない来客/墓/月は東に日は西に/スリー、フォー、ファイブ、テン/また、電話する/たすけておくれ/解説 長部日出雄
レビュー
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人生の大先輩です
コアな 人 是非!
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色川武大の他の本とはだいぶ違う。難しい
よく理解できないことも多かった。
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一話目の「空襲のあと」から一気に引き込まれる
麻雀放浪記だったか別の本だったか忘れたけど、 それらで読んだ記憶のあるエピソードも出てきて懐かしくもあり興味深かったです。 メインに著者自身が出てくる話が特に良かったです。 薄気味悪かったり、思わず笑ってしまったり、胸が苦しくなるようだったり、 様々な作品が収録されていました。 みんなが人生に向かってどたばたしている姿を、ずっと遠くからひとりで優しく眺めているような 一見孤独に見えるけど本人はくすりと微笑んでいる姿が目に浮かぶ不思議な視点が心地良かったです。
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良い
面白い
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珍客万来
昭和初期から戦中戦後までの少し風変わりな周辺的な市井の人達へのオマージュなストーリーで 構成されていて興味深かったです。本の中で出会う人がビビッドに再び蘇るかのような読書体験で 後世に残した価値はあったとしみじみ思いました。万人を包み込み優しさみたいなものを感じ取れます。
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昭和も遠くなってきた
いきなり戦後の雑踏、狂騒に放り込まれる。韜晦やら悔恨やらがない混ぜとなり、人間の生地がむき出しになって迫ってくる。この頃と較べると随分油っけが抜けてこざっぱりした世の中となり、隔世の感ひとしおである。「インテリの無頼気取り」との感想があるが逆ではないか、無頼の博打打ちが余技で文筆に手を染めたのであって、飽くまでその出自から逃れてないように思う。でないと同じページに「偶会」という語を三度も使うような無神経なことはしないだろう。戦後の巨魁であることは間違いない。
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「人生に絶対の価値観を置いていない点」が良い
私は娯楽作家としての阿佐田哲也氏の大ファンなのだが、色川氏の作品は何となく敬遠していた。阿佐田氏ではなく色川氏に直木賞が行った事が不満だったのだ。しかし、もっと早く読めば良かった。 「怪しい」と言うよりは、自身の戦争体験記や不遇に終った勝負師・芸人や社会の片隅で生きる知人達の有様を纏めたものだが、全体として昭和初・中期の世相(特に大衆芸能)を記録して置きたいと言う意図もあったと思う。自身も若い頃勝負師として生きた色川氏には社会の裏側で生きているとの自覚が強く、その分、登場人物への同情と愁いの色が濃い。特に、「したいことはできなくて」は著者の人生を主人公のそれと重ね合わせて悲壮感が漂う。一方では、ユーモア溢れる語り口を用いる等、自在の筆運びである。何より読者の共感を呼ぶのは、人生に絶対の価値観を置いていない点で、これも人生、あれも人生と、良い意味での開き直りを見せている。著者は「自然児」と自称しているが。その分、人生の機微が見事に描き出されている。例えば、「とんがれ...」は起承転結が巧みで、短編小説のよう。"存在"に意味を持たせず、人生の定理と捉えている点も印象深い。互助の否定と寛大の勧めも胸に残る。 本作中で一番「怪しい」のは冥界を背負っているかのような著者自身なのだが、その著者が枯淡と描く様々な人々の姿は読む者の人生観を揺さぶるものがある。やはり、色川氏の書く物も面白いと認識させられた。
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奇譚、とはこのようなものを言うのか。
たぶん著者の実体験がベースにあるからだろう、あれ?これ随筆だったっけ?と思いながら読む。 読みながら、夢と現、あの世とこの世の境い目にいるような心持ちになる。 奇譚、とはこのようなものを言うのか。 来客簿といっても著者宅への訪問者のお話ではなく、著者が接した(失礼ながら)奇人たちにまつわるお話。 「怪しい来客」なのだから、接したというより、著者の資質が呼び寄せてしまったのかもしれない。 その奇人たち、そして彼らと巡り合った時代を見つめる著者の眼差しとそれを表す語り口が、なんというか、鋭利な刃物なのにスパッといかず、じりじりと私に刺し込んでくる。 でも、刺し込まれてどこかに留められるのではなく、宙に浮かばされた感覚。 その眼差し・語り口から、冷徹、諦観、無常・・・、いろいろな単語が浮かんでくるがどれもピンと来ず、かえって情感、情緒といった単語のほうがしっくりくる。(それも違うのだけど) ああ、伝えたいのに、考えがうまくまとまらない。 ふと、鈴木清順監督の「ツィゴイネルワイゼン」を思い出す。
関連する文学賞
- 泉鏡花文学賞 第5回(1977年) ・受賞