日本の文学賞

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寝ても覚めても

野間文芸新人賞

寝ても覚めても

柴崎友香

『寝ても覚めても』は、同じ顔をした二人の男性をめぐって、恋愛の記憶と現在の生活が揺れる長編小説です。忘れられない相手への思いと、いま隣にいる人との関係が、静かな緊張の中で重なります。

恋愛記憶分身日常選択

作品情報

同じ顔をした二人のあいだで、恋の記憶と現在が揺れ続けます。

『寝ても覚めても』は、初恋の相手に似た人物と出会った女性の心の動きを、平熱の文体で追う小説です。激しい出来事を大きく叫ぶのではなく、生活の会話や視線のずれから、恋の記憶が現在を侵食する感覚を描きます。

レビュー要約

  • 日常の細部を淡々と積み重ねながら、恋愛の不可解さと残酷さを浮かび上がらせる筆致が評価されています。

書籍情報

出版社
河出書房新社
発売日
2010-09-17
ページ数
269ページ
言語
日本語
ISBN-13
9784309020051
ISBN-10
4309020054
価格
1580 JPY
カテゴリ
本/文学・評論/文芸作品/日本文学

人は、人のどこに恋をするんだろう?……消えた恋人にそっくりな人と恋に落ちた朝子の10年を描き、朝日新聞、読売新聞、毎日新聞他、雑誌掲載時より各紙誌で話題沸騰、著者初の長篇小説。

1973年、大阪府生まれ。行定勳監督によって映画化された『きょうのできごと』で2000年にデビュー。著書に『青空感傷ツアー』『ショートカット』『その街の今は』などがある。

レビュー

  • リアルな恋愛を描いたら、右に出るものなし

    すごくいいっ!今までの柴崎友香もずっと好きだったけど、この小説も、すごく好き。 他の小説でもそうだけど、この小説の朝子は、特に写真を撮るのが好きだという設定もあって、目がカメラになっている。出だしの大阪のビル27階の展望台の光景から、麦(東京人)との出会いに至る7ページを読むだけで、この小説がどのように進んで行くのか、期待が膨らんでわくわくしてしまう。そして期待通り、中盤で舞台が東京に移動すると、朝子の「目カメラ」は渋谷のスクランブル交差点を見下ろすツタヤ二階のスタバに据えられ(絶妙!)、ほどなく第二の男、亮平(大阪人)が登場する。 いわゆる恋愛小説だったら、告白の場面や別れの場面を書くのが普通だし、その時の主人公の「気持ち」を書くんだろうけど、それって本当の「恋愛」だろうか。そういう場面はあとから何度も思い出したり、自分に都合よく焼き直したり、何度も人に話したりするうちに固まったりするのであって、本当に恋をしている時、人は誰でも目がカメラみたいになって、その日のその瞬間が、その時の光景や空の色や風の感じが、もう二度と巡ってこないこと、いつかふたりの時間は終わってもう戻ってこないことを、直感的に感じているんじゃないかと思う。 そう考えると、この小説の中に流れる時間は、ほんものの手触りがあって、朝子のものの感じ方は、すごくリアルに伝わってくるし、魅力的な女友達が、それぞれ朝子のことをどう見ているのかも、言葉で説明されなくてもちゃんと伝わってくる。61ページからの麦との朝とか、150ページからの亮平との夜とか、すごくリアルで……いやもう好きな場面を挙げたらきりがない。数々の女子会や洋服の話も好き。 ところで麦って、小栗旬ですよね?……って、もう私のイメージでは絶対に小栗なんだけど。まあいいや。麦も亮平もカッコよくて大好き。

  • 20年昔なら共感できたかも。

    20代〜30代に差し掛かる10年程度の一人の女性の恋愛物語。 全体的にふわっと描かれていて、社会人だけど不思議系の女性が主人公。 当然、恋愛相手の男性もつかみどころのない青年。 なんとなく…な恋愛模様が描かれているも直接的な日常はほとんど描かれておらず、そのまま突然、彼氏が失踪。 そのうち似たような男性と知り合い、結婚手前まで至って、突然元彼と再会し今度は主人公の女性が失踪(駆け落ち) その数年後、また似たような男性の方の元へ戻る。 という、実際には有り得ない、もし実在していたら身勝手な女性のお話。 ただこのふわっとしたファンタジーのような世界観に10代〜20代の恋愛中心の女性なら共感はできるかもしれない。 自分中心で、失踪されたり、したりしても、そこには何の痛みもない。 アラフォーともなると現実が拭い切れず、どうせファンタジーならもっと夢も希望もあるものがいいですね。

  • 不思議な感覚

    現実的の話のようで浮世離れしているようにも見える、 人の息遣いも聞こえてくるようなのにどこか一歩引いたようにも見える、 不思議な暖かさに包まれているような感覚の話でした。 この感覚には好き嫌いがあると思いますが、自分には合いそうな感覚でした。 ただ、話の最後の部分がちょっとあっけないかな....という気がしたので そのぶん星を1つ減らしました。

  • 地に足の着いていない女の理解不能な10年間

    「各紙絶賛」との触れ込みだし、高評価のレビューもあるが、この作品は合わなかった。 性別が違うので、女性の主人公になかなか感情移入できないのは仕方ないとして、この主人公の心理は理解不能だ。女性の読者は、果たして共感を覚えるものなのだろうか。 主人公の友人が吐き捨てたとおり、「最低」だと思うのだが。 最初の恋人にしても、この男のどこがいいのか?というキャラクター。 文体もまた合わなかった。伏線でもなく、主人公の心象描写とも思えないだらだらした文章が続き、最後まで読み通すのが苦痛だった。

  • カメラワークの妙技

    柴崎さんはこれまでも多くの作品で、 服飾、雑貨に関心があり、写真を撮り、仕事はメインではなく、 ゆるく生きている、関西弁(大阪が舞台の)若い女性を描いている。 その人物描写の感性のよさもいいのだが、 なにより視点のカメラワークが独特で楽しい。 冒頭の高層タワー内で麦と出会うまでの文章だけでも、 この作品の面白さがよく出ている。 また、今回は10年という時間軸の中でも、 どの場面を切り取るのか、その書かない捨て方も見事。 段落と段落のあきの取り方も絶妙で、 これまでより一段階ステップアップした印象を受けた。

  • 最低

    読みにくい文章につまらない主人公 久々に眠くて退屈な本に出会えたって感じです 途中でやめるなんて一度もなかった私ですが、この本に限っては捨てました

  • できれば彼女の2作目として読んで

    「フルタイム・ライフ」で強く感じたことが、物語の90%まで感じられて、なるほどなるほど、と思った。 吉田修一、長嶋有と少し共通するところがあるが、まとまった独白や内面描写がない。登場人物が何を考えているかを整理して書いた部分がないのだ。そして、ストーリー上どこにもつながらない会話や情景が、断片のまま挿入される。 柴崎に特徴的な手法は、登場人物の焦点を微妙にずらして書くところだ。中心視点人物の朝子は、どうも家族と確執があるらしいが、それは一度ほのめかされただけであとは切り捨てられている。たぶん朝子自身が考えないようにしているからだ。テレビ・タレントとかアメリカ帰りの友達とか、不思議で魅力的な人物がたくさん登場するが、そこにはほとんど触れない。 朝子にしたって、大学祭で写真を売ったりアーティスティックな部分があるのに、そういうことに関する考察やこだわりもサラッとしか描かれない。男女が仲良くなる官能的な部分も、ほとんど描かれない。つまり従来の小説手法では「オイシイ」部分が、ばっさり切り捨てられているのだ。 「7月になった」とか「3年たった」とか時間がぽんととぶところも軽くショックだ。 だが、「なるほどね」「新しいねえ」などと余裕をかまして読み進めると、最後の30ページが怒涛の展開。 えーっえーっ、そう来るの?えーっなんで?おいおいっ!えーっ! と、驚きっぱなしでした。いやーびっくりさせてもらった。 柴崎さんには、この作品あたりで、そろそろ芥川賞をあげてほしいです。

  • 残念だった本

    物語の本筋に関係のないことがだらだらと描写されています。 〇〇年〇月というふうに月ごとに話が進むのですらすらと読みやすいんですが、わかりにくい文章でした。 本の後半、友達の発言でネタバレはされています。それでも最後まで読んでみましたが時間の無駄でした。 ただ映像化されているだけで期待せず読みましたが、期待はずれというか、がっかりさせられた感じです。 面白くなるのを待っていましたが、最後まで淡々と話が進んで終わってしまいました。 主人公の同年代の私が感じたことですが、こんなにふわふわした友達(主人公)は嫌だなということ。 最後でその主人公の友達全員が手のひら返しのような態度をとることも、理解できませんでした。人間関係が希薄だなと。 現実的でない話で主人公のように好きに生きられたら楽だと思いますが、現実は好きな服を買って、好きなところに住んで、好きに遊んでとしているとお金も時間も足りないと思い、やっぱり非現実的な話で共感できなかったのかと思います。 図書館で借りた本でよかったです。

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