書籍情報
- 出版社
- 河出書房新社
- 発売日
- 2012-11-09
- ページ数
- 176ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784309021416
- ISBN-10
- 4309021417
- 価格
- 1320 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論/文芸作品/日本文学
おしかくさまという“お金の神様"を信仰している女達に出会った49歳のミナミ。先行き不安なバツイチの彼女は、その正体が気になって…… “現代の神"お金を問う、文藝賞受賞作。
1960年生まれ。兵庫県神戸市出身、現在長崎県五島市在住。著書として『競馬の国のアリス』『お洋服はうれしい』といった競馬・ファッションに関するエッセイなどがある。筑波大学卒。本作にて第49回文藝賞を受賞。
レビュー
-
深い問題をさらりと
第49回文藝賞受賞 “おしかくさま”はお金の神様です バツイチ子供なし、ミナミ・49歳 先行き不安な彼女が見つけた希望とは? 現代日本のお金信仰を問う 離婚後、ウツ病を発症 引きこもり生活を続けていたミナミのところに妹のアサミから1本の電話が入る 内容は、パパが外に女を囲っているようなので探ってきてくれないか、とママが言っているのでお願いしたいというものだった 御年76歳のパパの女性問題ですか?などと思いつつ、ウツ病から恢復期にあるミナミはママから探偵料という名目の御小遣いをもらってパパの尾行を始める パパの行先は住宅地にある一軒の家 そこでは『おしかくさま』を信仰する60歳を越えた女性たちが集まっていて、高校の国語教師で校長まで勤めて退職したパパは、先生という立場で彼女たちから発せられる様々な質問に答えているらしく、ママの言うような女性問題ではなさそう 宗教問題は女性問題よりタチが悪そうですが、パパは沈着冷静に彼女たちに対応しているし、彼女たちもパパに信仰を勧めているわけでもない ミナミ、アサミ、アサミの娘・ユウ、パパ、ママ それぞれの視点で一人称で語られる短い話がテンポよく展開していきます どこにでもいるような一つの家族の目を通して描かれる2つの大きなテーマ 現代人にとってお金とは? 宗教とは? 『おしかくさま』のご本尊はお金、ネット通販で購入する霊験あらたかなお札はただの紙切れ、日本全国すべてのATMでおしかくさまにお参りすることができ、おしかくさまを信仰する人にだけご利益を授ける 大がかりな詐欺なのは明らかですが、本書では、騙す側の云々は描かれていません 大震災後の社会の揺らぎと信仰に飛びつく人々の心の様を、サラリと流しながら、それでも厳しい言葉をミナミに語らせており、読み落とすと勿体ない部分の多い作品ではないかと思いました
-
全くもって何を伝えたいのか不明な本
この本にかけた全てが惜しい。 代金も時間も返して欲しい。
-
純文学なのにこんなに読みやすくていいかしら
いろんな読み方ができる作品だと思いました。 新聞の文芸時評等でも、評者がそれぞれ違った角度からの読み方をしていて、 新人には珍しいといえるほどの好意的な評価がなされているようです。 選考委員の角田光代氏が述べているように「開かれた小説」ということなのでしょう。 また、主人公がウツで金欠、将来に希望がないという深刻な状況設定であるにもかかわらず、 随所におもわず笑ってしまう描写があり、このユーモアは作者の天性のものなのか、 計算しつくされたものなのか、いずれにせよ、 文藝賞という新人賞受賞作品ではあるけれど、新人ばなれした作品だと私は評価します。 しかも、無駄に小難しい漢字が使われず、余計な形容詞句や過剰な比喩がなく、 暴力や性・セックス描写が皆無なことも、近年の純文学作品には稀有のことではないか。 (近年の純文学作品をじゅうぶん追跡しているわけではありませんが・・・) 私の長女は中学1年生ですが、私より早く読了して「すごく面白かった」と言いました。 私自身の読後感としては、未曾有の大災害(震災)をきっかけにして、 言葉を変えれば「他人の不幸を踏み台にして」主人公が恢復していくという、 場合によって他から非難されるかもしれない内的真実といったものを 臆せず表現した作者の真摯さにうたれました。 実質的なデビュー作ということを考慮すれば星5つは過褒とは思いません。 次回作が楽しみです。短編ならば、中島敦のような作品が書ける人じゃないかしら。
-
意外におもしろい。
表紙が面白いので購入した。意外に面白く、すぐに読んでしまった。 現代のお金を中心とした社会を、すこしいたずらっぽい皮肉を込めて、しかしまたそれをやさしくも描いている。なかなかおもしろい。気軽に読めるので、ちょっとやる気が起きないときなどに、おすすめ。
-
ATMで拝んでみたい…(笑。
小学6年生で机の上の本箱に興福寺の阿修羅像のブロマイドとムンクの「叫び」の絵葉書を 貼り付けていたあたし。 ごはん粒が虫の卵に見えて食べられなかったことと不眠が自慢の種でウツ病が治ってきて、 このネガティブな行為ができなくなりあせっているあたし。 何ものも目に見える光の速度を超えることはないというアインシュタインの説を唯一信じ、 目に見えないニュートリノに脅かされて途方にくれているあたし。 そんな「あたし」がお金とお金の神様「おしかくさま」をバリバリ信じている人たちに出会 うとどうなるか・・・。 お金と宗教に対して様々な立場の登場人物によって語られる物語にぐいっと引き込まれて、 あっという間に読み進めていけました。 「世間の評価」が変わっていく姿が、より様々な世間代表者によって綴られていたら……と 思って星4つですが、私もATMへおきよめに行きたい!と切に思いました〜(笑 なお、この評価はミナミちゃんのようなフリーライターが適当にでっち上げてるわけではあ りませんよ〜(笑
-
題材はユニークだが、内容は薄い…。
177ページとスマートにシェイプアップされている割には、随分無駄が多く、展開が薄い。 なので、これはとても薄い内容を177ページに無理矢理引き伸ばしただけというほうが正しい。 途中で飽きてしまった。題材は面白いんだけどねぇ…。
-
面白い!
ユーモアと奇想天外なストーリーが、とても面白い。イメージが浮かんでくる映像向きの作品。映画が見てみたい!
-
「そうやねん。私ら買いたいものはお金だけなんや」不況の原因はこの一言で充分かも
レビューのタイトルは作中の「おしかくさま」信者のセリフからの引用です。 おカネに宿る神様「おしかくさま」とそれを信じる集団を中年姉妹とその家族それぞれの視点から描く、 という一風変わった構成になっております。 話の語り手が中年姉妹&家族の間で度々変わるので最初の方は「誰が誰だったかな」となってしまいました。 「無紋のおふだ」「ATMがお社」こっくりさんならぬ「おしかくさん」など 「おしかくさま」なる宗教の設定が面白く笑わせてもらいました。 しかしラストの中年姉妹の姉の演説は真剣に読み入りました “お金を信じているはずが、一番信用のおけない無数の人間を信じていることになる。” 猜疑心からタンス預金をしたり生活を吝嗇と言われるまで削る。 しかし今のおカネの価値は結局みなが紙幣を信用しているからであり タンス預金に走るのは誰とも知れない他人を信じることに他ならない。 ひょっとすると今のおカネも狐の葉っぱみたいなシロモノで宗教そのものなのかも。 等々考えつつ私自身震災直後電気の来ないコンビニで単4電池を買った事を思い出した・・・ と言いながら現預金は確保したい小市民です。 「おしかくさま」というタイトルから「資格」に雁字搦めの感のある現代を風刺した小説なのかな とも思いましたが紙幣が四角でおしかくさま、とのことでした。
関連する文学賞
- 文藝賞 第49回(2012年) ・受賞