作品情報
病とともに揺れる身体を、怖れだけでなくユーモアと確かさで見つめた一冊。
西加奈子がカナダでの乳がん治療と向き合った時間をつづる初のノンフィクション。深い喪失感のなかでも、身体を引き受けて生きる感覚が前向きに立ち上がる。
レビュー要約
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病の重さだけでなく、身体をどう引き受けるかという問いがやわらかい言葉で差し出され、読後に静かな力が残る。
書籍情報
- 出版社
- 河出書房新社
- 発売日
- 2023-04-18
- ページ数
- 256ページ
- 言語
- 日本語
- サイズ
- 13 x 1.7 x 18.8 cm
- ISBN-13
- 9784309031019
- ISBN-10
- 4309031013
- 価格
- 1140 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論/評論・文学研究/論文集・講演集・対談集
29万部突破! ついに3冠! ・第75回読売文学賞(随筆・紀行賞) ・書店員が選ぶノンフィクション大賞 オールタイムベスト2023 ・ダ・ヴィンチ BOOK OF THE YEAR 第1位(ノンフィクション部門) NHK「あさイチ」、テレビ朝日「アメトーーク!」、TBS系「王様のブランチ」日本テレビ系「news every.」他続々メディアで紹介! カナダでがんになった。 あなたに、これを読んでほしいと思った。 これは、たったひとりの「あなた」への物語ーー 祈りと決意に満ちた、西加奈子初のノンフィクション 『くもをさがす』は、2021年コロナ禍の最中、滞在先のカナダで浸潤性乳管がんを宣告された著者が、乳がん発覚から治療を終えるまでの約8 ヶ月間を克明に描いたノンフィクション作品。 カナダでの闘病中に抱いた病、治療への恐怖と絶望、家族や友人たちへの溢れる思いと、時折訪れる幸福と歓喜の瞬間――。 切なく、時に可笑しい、「あなた」に向けて綴られた、誰もが心を揺さぶられる傑作です。 ● 『くもをさがす』へ寄せられた声 思い通りにならないことと、幸せでいることは同時に成り立つと改めて教わったよう。 ――ジェーン・スーさん(コラムニスト) 読みながらずっと泣きそうで、でも一滴も泣かなかった。そこにはあまりにもまっすぐな精神と肉体と視線があって、私はその神々しさにただ圧倒され続けていた。 西さんの生きる世界に生きているだけで、彼女と出会う前から、私はずっと救われていたに違いない。 ――金原ひとみさん(作家) 剥き出しなのにつややかで、奪われているわけじゃなくて与えられているものを知らせてくれて、眩しかったです。関西弁のカナダ人たちも最高でした。 ――ヒコロヒーさん(お笑い芸人) 読み終わり、静かに本を閉じても心がわさわさと迷う。 がんの闘病記という枠にはとてもおさまらず、目指す先はまったく別にあることに気づかされた一冊。幸せいっぱいのときに、それを失う恐怖心が同時に存在するパラドックスに気づくと、上手くいったとしてもイマイチでも、自分なりに納得できる瞬間の積み重ねが人生なのだとあらためて知る。 ――高尾美穂さん(産婦人科医) ●『くもをさがす』読者は必読! 西加奈子の掌編「Crazy In Love」 (『私小説』金原ひとみ編著/河出書房新社刊 収録) 「Crazy In Love」は、「文藝」2022年秋季号、金原ひとみ責任編集「私小説」特集へ寄稿された、『くもをさがす』でも特に印象に残るエピソードを基に描かれた、切実さとユーモアが入り混じる掌編小説です。 同特集を新たに編み直し、2023年2月に刊行された単行本『私小説』収録の本作は『くもをさがす』読者必読です!
西 加奈子(にし・かなこ) 77年生まれ。 2004年に『あおい』でデビュー。 07年『通天閣』で織田作之助賞、 13年『ふくわらい』で河合隼雄物語賞、15年に『サラバ!』で直木賞を受賞。 他著書に『ふる』『i』『夜が明ける』等
レビュー
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がん患者の家族にも読んで欲しい
母親が乳がんになり治療中である身として、自分の支えになればとsnsの口コミを見てすぐに購入した。バンクーバーの素晴らしさと現状、美しさが行ったことがなくてもしっかり伝わる文章の合間に、治療について軽妙な言葉で、でもリアルに綴られていて手を止めずに一気に読んだ。この本は当事者である作者目線で話が進むが、家族としても欲しい言葉(家族じゃなくても当事者じゃなくてもおそらく今を精一杯生きる1人の人間にとって)がたくさん綴られていて読み終えた後ふわっと心が明るくなった。母親の治療が終わっても私の一生大事にしたい一冊になると思う。はじめて西さんの本を手に取ったが、他の著書もたくさん読んでみようと思った。
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最後まで読み切ると爽やかな気持ちになる。
同じ病気になったので、気になって読んでみました。カナダと日本の医療の違いがわかりました。どちらも素晴らしいと思います。 それ以上にお国柄、日本人が海外に住んでも行動が変わるんだと発見と驚きを感じました。読後感は元気をもらえました。
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勇気をもらいました
手術前に同僚に紹介されて読みました。 この本に出会ったことで、手術に向けて前向きな気持ちになれました。西さんの考え方、捉え方に勇気をもらえました。その後の治療に向けてもお陰様で順調に進んでいます。本当にありがとうございました。
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病は気から、病に負けるな!
文章は現代風で好きずきあると思いますが、異国の地での病気に対する向き合い方や日本医療との違いには驚くと共に考えさせられます。ドキュメントとして自分の事を考えさせられます。女性の方は特に手にして下さい。
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いろいろ考えさせられる
先に申し上げますと、少しだけネタバレ含みます。 もちろん、購入を検討されているからこそレビューを読んでおられるかと思いますので、敢えて詳細なネタバレはしないようにしたいと思います。 自身に癌の疑いが出てきたため、気になって手にしてみました。 祖父母が全員癌で亡くなっているバリバリのガン家系です。 ノンフィクションということで読み進めていくと、癌の発覚から術後までを軽快なタッチで描かれており、関西人ならではのコミカルかつリアルっぽい内容で一気に読み進みました。 その反面、癌に向き合う著者の感情の変化や内面の揺れ動きには多少は触れてはいますが、それらを丁寧に描いた号泣必至の物語…ではありませんので、著者のストーリーテラーとしての実力を期待すると拍子抜けするかもしれません。 この本に興味を示された方は癌患者の予備軍であるか、もしくは既に癌患者であるかと思います。または著者の熱烈なファンの方かと思います。 ともかく、がん保険に入っておきましょう。 ちょっと怪しい?と思ったらすぐに入りましょう。 ここから少しネタバレを含みます↓ 著者は語学留学先のカナダで無償で治療が受けられたようですが、国内ではまだまだ自由診療の範囲が広く、治療のほとんどが有償です。 実際、癌になると治療費だけでなく、イレギュラーな生活費が発生します。 病院通いが始まると、多大な治療費がのしかかり、検査や治療できちんと働く事もままならず、病んだ身体で家事もこなせず、一気に生活は破綻してしまうでしょう。 がん保険に入っておきましょう。 治療費はもちろんのこと、病院までの交通費、家事代行や食事が準備できない時にはUber eatsなど、生活を維持するためにお金で解決できるものはお金に任せればいいのです。 (私個人は保険屋さんではありません。大金使って身体を切り刻んでまで延命治療を施し、長生きしたいと思っていないのですが、生死観は人それぞれなので何が正解とは言えないです。) この本を読み終えて一番の印象に残ったことは、経済的な心配をしているようでは全力で癌と向き合えないだろうという事。 著者はお金の心配や生活の心配が無いからこそ真正面から癌と向き合えたのではないだろうかと感じました。 一家3人で一軒家を借りて2年間の語学留学…という時点で一般人とは金銭感覚が違いますが。。。 ちなみに、がん保険は引受け後90日は免責で保険金は出ません。 とても高額ですが、90日後に検査してみて癌じゃなかったら解約すればいいし、癌であった場合にはすぐに元が取れます。癌でなければ高額な保険料は無駄なりますが、財布を無くしたとか旅行に行ったとか、寄附をしたと思って、そこは安心料として割り切りましょう。 著者の他の著書より高めの価格設定から、散財したぶん印税を回収する必要性があるのだろうかと邪推したりもします。 また、作品を読み終えていくつか気付いたことは、「著者は相当に恵まれている事」。 周りの友人の多大な協力を得られ、働かなくても全力で癌と闘える環境と経済力にも恵まれていたからこそ、カナダでの子育てと家庭を維持し、癌サバイバーとなって自身の病気をネタに著述できるのです。 それは異国での日本人会的な連体感かもしれませんが、国内の限られたコミュニティの中で、親身になって協力してくれる友人がどれだけいますでしょうか? 楽天家の著者ならではの明るい内容でまとめられ、生活感や経済的な面など闘病に際してのリアルなネガティブ要素には敢えて作中では触れられておらず、構成の巧さにより重くなりがちな闘病記にしては読後感は悪くありません。 しかし、一般人の我々に同じく当てはめられるかというと越えるべくハードルがいくつもあると感じました。 現実はそんなに甘くありません。治療や検査のために病院通いなんてすぐにできますか? 地方在住なら都会の大きな病院に気軽に通えますか?人それぞれ大なり小なり事情を抱えて生きています。 また、本の中の一節に「自分の身体のボスは自分である」との一文がありました。 癌に罹患した時の心情、治療中や手術をする時の覚悟や心構えは自身に重ねて合わす事でいろいろと考えさせられました。 病気への向き合いかた、家庭のこと、生死観や経済的なこと、やり残した事ややるべき事。 悔いなく生きることは、全て自分自身に決定権と責任があるということ。 いろいろ考えさせられました。 本のレビューから離れ、ダラダラと私見を述べてしまいましたが、要約すると ◎暗くネガティブになりがちなガン患者も明るくポジティブに前向きに腹を括って病と向き合いました。 ◎悔いなく生命を燃やした結果、癌サバイバーとなり社会復帰できました。 ◎周囲に感謝。。。 …って内容の、サラッとした「巧く構成されたノンフィクション風の作品」でした。 「手記」ではなく「構成された作品」として、綺麗事ばかりが目立ち、個人的にはいまひとつリアリティに欠けるように感じたので評価は辛口の3.5。 良い作品だと思うのですが、私には何か響いてこなかったです。 レビューは読み手のメンタル状態にも大きく左右されますし、私自身が斜に構えているのかもしれませんが、自身の身の振り方を考えさせられ問題提起としては大変良い作品だと思いました。 図書館で借りて読むぐらいがちょうどいいかも。。
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本を読むことは、ランプを手に掲げるようなこと
生きていることは奇跡である、そんな当たり前のようなことをつくづく感じさせられた。 癌を敵だと捉えるのではなく、自分が生み出したもの=自分の一部と捉えながら、懸命にひたすらまっすぐに「生きよう」とするこの記録は、涙なしで読めなかった。 驚いたのは、癌患者の方は寛解したあとは幸せなのだろうというわたしの楽観が覆されたこと。治ってから、彼らは不安と孤独と闘っていた。心からその勇姿に励まされたし、わたし自身「生きる」ということをなんとなくじゃなくて噛み締めたいと思った。今を感じ、考え、味わって、抱きしめたくなった。 カナダでの闘病生活において登場する、西さんの素敵なご友人たちの姿に心洗われる。日本においてはなんとなく、病床に臥せて頼れるのは「肉親だけ」という風土がある。病院にいろんなものを持ってきてくれるのも家族、闘病でボロボロになっている姿を見せられるのも家族だけ。そんな印象だ。でもカナダは違う。「ミールトレイン」なるものによる友人たちの手作りの温かな食事、そして病院への送迎や付き添い、子供を預かってもらうことも平気で頼んで助け合う。それがなにも大仰なことではなく、当たり前であるかのように行われている。なんて美しいのだろう。おそらくそれは西さんの人柄による所も多いのは当然だが、彼女彼らの愛による数々の手助けには感動した。 自分もこうありたい、困ったときに手を差し伸べるのが当然であるような、そんな人間に。 あたたかな心の交流とともに、内面の葛藤や逡巡する数々の想いを克明に記した西さんに心から拍手です。 日本人は情があり、カナダ人には愛があるというのも面白かった。日本文化もカナダ文化も一長一短、どちらもそれぞれに素晴らしく違いがあるのが面白いなと。淡々と明るく接する看護師たち、病を病とも捉えないようなその清々しさには、案外「可哀想な患者」扱いされるよりも心が救われるのかもしれない。でもやはり、日本の細やかなケアや医療体制の整っていることに感謝したい。医療費が無料のカナダも素晴らしいが、薬が届いていなかったり救急診療でも何時間も待たされるというのは大変だなと。ただそれは裏返せば、日本のきめ細やかで迅速な医療体制は医療従事者の善意の上で成り立っているとも言える。彼らの休日を、休暇を、精神的余裕を奪いながらこの制度は成立している。それを忘れてはいけないなと感じた。カナダの人々のライフワークバランス、そして心のゆとり、ある種の「適当さ」を日本も少しは見習うとよいかも。 広大な土地で人々が自分たちや家族を愛しながら、なににも追い立てられずのびやかに生きる様は素晴らしい。何かを要求され続け、理想の姿を押し付けられ続ける日本(=東京)の暮らしを、わたしたちは今後どう変えていけるだろうか。 文化的な違いについても大変興味深く、すばらしい良書でした。
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よかった
とってもよかったです
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リアルに、でも暗くないリアルな乳がんの体験記
没入して1日で読み切ってしまいました! 乳がんという重めの題材ですが暗くなりすぎず読み進める事が出来ます。 登場する人物やその時々に西さんを取り囲む環境が厳しい時もどこか愉快に描かれているのがとても魅力的で親近感があり、まるで友人の話を聞いている感覚になりました。 読み終えた後、彼らに会いに西さんの住むバンクーバーの街へ行きたくなっちゃいます。
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