作品情報
身体の境界が、世界の境界と重なっていく。
河出書房新社刊。移植医療とウクライナ情勢を重ねながら、身体と領土の境界を鋭く問い直す。
書籍情報
- 出版社
- 河出書房新社
- 発売日
- 2023-06-19
- ページ数
- 208ページ
- 言語
- 日本語
- サイズ
- 13.6 x 1.9 x 19.4 cm
- ISBN-13
- 9784309031125
- ISBN-10
- 4309031129
- 価格
- 1760 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論/文芸作品
第51回泉鏡花文学賞、第45回野間文芸新人賞ダブル受賞作! 麻酔から覚めると、見知らぬ他人の手になっていた。 ハンガリーの病院で、手の移植手術を受けたアサト。しかし、麻酔から覚めると、繋がっていたのは見知らぬ白人の手で――。 自らの身体を、そして国を奪われることの意味を問う、傑作中篇! 凄い! 肉体の無意味な分断と不自然な結合が、現実の世界に重なる。 入念な構成の冒頭から最後まで、1㎜の緩みもない。凄い! ――皆川博子氏(作家) 切断され、奪われ、接ぎ合わされるのは、体なのか、国なのか、心なのか。 これは「境界」をめぐる、今まさに読まれるべき物語。 ――岸本佐知子氏(翻訳家) 喪って初めて大事さが判る。身体、そして故郷。自分とは何かを問う小説だ。 ――杉江松恋氏(書評家)
朝比奈 秋(あさひな・あき) 1981年京都府生まれ。2021年、「塩の道」で第七回林芙美子文学賞を受賞。22年、同作を収録した『私の盲端』でデビュー。23年、『植物少女』で第36回三島由紀夫賞を受賞。現役の医師でもある。
レビュー
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様々な『分断』
"目の前に左手を持ってきた。ふさふさと生えた金髪の指毛。その先にある台形をした不格好な爪。この左手の前の持ち主は、この手で何を触って、何を掴んできたのだろうか。"2023年発刊の本書は分断は肉体、心、国境なのか。有機的に問いかけてくる傑作中編。第51回泉鏡花文学賞、第45回野間文芸新人賞作。 個人的に帯に惹かれて、著者作は初めて手に取りました。 さて、本書は小説『植物少女』で2023年の三島由紀夫賞を受賞、現役の医師でもある著者が、ロシアによるウクライナ侵略戦争前、クリミア併合から2、3年ほど経った時期に『今まで他国だった領土が突然、自分の国の一部となる』ことが『手の移植手術と似ているかもしれない』と思って書いた作品で。 ハンガリーの病院で事務員として働く日本人のアサトが、誤診により切断された左手の移植手術を受けることになるが、麻酔から醒めると、繋がっていたのは見知らぬ白人の手で。そこからウクライナの紛争地に赴くジャーナリストである妻・ハンナ、そして執刀医のナショナリストのゾルタン医師などとの会話を通じて、腕の移植手術の話だったのに、いつしか文化や民族の受容の変容とは何かという話へと移っていくわけですが。 まず、主人公のアサトにはウクライナ語が関西弁に翻訳されて聴こえてくるらしく、妻のハンナとの会話『おもろいわぁ。今まで、自分の手つないだ人ばっかりで。はじめて、違うもんつないだん見たわぁ』といったやりとりが、全体的に静かなトーンの本作にアクセントになっていて面白かった。 また、他人の腕を移植する話が、心、国家、様々な『分断』を問いかけられ、考えさせられる内容になっていく展開は初めての体験で、驚かされます。 医学的に腕の移植手術に興味がある方、また、様々な意味での『分断』を憂う全ての人にオススメ。
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引き込まれてゆく作品
ウクライナも一つの舞台となっている作品。戦争以降、ウクライナを舞台に描くことにまず驚き。左手移植のリアルさと、本人の変化から、自分とは何か?と思わせる。一気に読ませる筆の力がすごいです。
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面白い
広告でみて購入しました。 細かい表現に引き込まれて一気読みしてしまいました。
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ラジオで聞いて面白そうだったので購入
購入したがまだ読んでいません。積ん読です。
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傑作
タイトルに惹かれてなんとなく購入しただけでしたが、これまでの人生で最上位に食い込む良い選択だったと思います。すばらしい作品でした。このような作品を読むことができて嬉しかったです。
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着想はおもしろい。力作なのでしょう。
作者の背景をwikipedia程度しか知りえないので、何とも言えないが、 今この作品を、日本人が描くことに違和感を感じざるを得ない。
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久々に、小説に酔う
文句なく面白い。 他人の手を移植された主人公の、時の経過とともにいろいろな様態をみせる苦しみと、 失った妻への思慕・懊悩。 現実の死を受け入れることと、他人の手を身体が拒絶反応を経て受け入れるのとが リンクする。 そこにヨーロッパの複雑な国境問題、時事問題、人種、そいうしたことを巧妙にからめ物語は進んでいく。 最初は一気読み、そして二度目は初読よりもずっと深く味わえた。 すごい才能が現れたと思う。 作者はどこか不思議な佇まいをしている。 こんな小説をモノにするのだから、不思議ちゃんには違いない。 年より異様に若く見えるし、 授賞式のピンクのネクタイも不思議な似合い方をしていて(笑)、思わず微笑んでしまった。
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冒頭からの引き込まれ感が凄い!
どうしたらこのような構成の物語が紡げるのかと感嘆し著者を確認したところお医者様の経歴をお持ちでした。かといっても、この内容が描けるかと言えばそのような事もなく著者の力量に圧倒されました。小説ならではの魅力に溢れる、現実にも迫る作品。
関連する文学賞
- 野間文芸新人賞 第45回(2023年) ・受賞