作品情報
四万十川を舞台に、内気な少年がたくましく成長していく。
笹山久三の文藝賞受賞作を収めた河出文庫版。第1部「あつよしの夏」として刊行され、四万十川流域に暮らす家族と少年の姿を通して、自然の中で育つ日々の手触りをじっくり描く。
書籍情報
- 出版社
- 河出書房新社
- 発売日
- 2010-08-03
- ページ数
- 204ページ
- 言語
- 日本語
- サイズ
- 10.8 x 0.9 x 15 cm
- ISBN-13
- 9784309402956
- ISBN-10
- 430940295X
- 価格
- 83 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論/文芸作品/日本文学
第4回(1988年) 坪田譲治文学賞受賞
1950年高知県生まれ'87年『四万十川 あつよしの夏』で文藝賞、89年坪田賞受賞。96年『四万十川、第六部』をもってシリーズを完結させる。他に『ゆたかは鳥になりたかった』『母の四万十川』など。
レビュー
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必読図書でした
昔の田舎の話だけど気持ちのありようは今も昔も変わらないし、気持ちの移り変わりに同感し、あっという間に読み終わりました。
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おもしろかった。
作品の時代背景が自分と重なり、楽しく読めた。文章も読みやすかった。
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孫のために買いました
孫がほしいといったので 探して買いました。孫が喜んで読んでいました。
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家族とは?
私は以前から「四万十川」に嫉妬を感じていた。それは日本で唯一の清流。 そして、天然うなぎの宝庫なのだ。ただ、その嫉妬からこの本を注文し、ぺ‐ジを捲った。そこには、想像以上の四万十の自然と、その自然から生まれる清らかな心を強く感じる。家族とは?純粋に家族!改めて「四万十川に嫉妬」を持つことになった、素晴らしい感動の一冊です。
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たまにはこういう本も
周りはビジネス文書ばかり読んでる満員の通勤電車(山手線)で、この本を読んだ3日間はがすがしい時間だった。 こういう幼少期の話をその時のまんまの感性、だけど、構成だけは大人の筆でかけるのは貴重だなと思った。 娘が小学生にあがったら読ませたいなとおもったけど、ちょっと口語に方言が入りすぎていて難しい気がする。 あつよし、猫、兄弟、お父さんお母さん、学校の素敵な先生等々、 子供らにはこういった環境の中で子育てを出来るように努力をしたいなと思った。
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大蛇と闘う勇気
『四万十川―あつよしの夏』です。 文藝賞受賞作で、続編も出ています。 シリーズ第一巻は第一部と第二部の構成ですが、本は割と薄いし、文字分量もさほど多くはありません。 四万十川の大自然を背景に描く少年の成長の物語。 といってしまえば、ありがちっぽいですが、そこをきっちりと描いていて、普通に面白く、普通に感動できて、普通にきれいな名作です。 最初は、四万十川に関する説明が多くて、詳細でリアルである反面やや退屈気味でもあったのですが、その四万十川が大蛇へとつながり、その大蛇が第二部における教室の大蛇に繋がっていて、無駄な説明ではなかったのだと分かります。 文章はかなり平易で、小学生でも高学年なら十分に読めます。わかりやすい文章でありながら、随所にきれいな情景描写が入っていて良いです。 物語の内容は、弱虫の小学生主人公が、第一部では子猫の命を守るために闘い、第二部では同級生の女の子をいじめから守る、というもの。それを見守る周囲の人々も含めて鮮やかに描かれています。 自分と同じで弱い立場の子猫の命を守りたいという主人公の気持ちは勿論間違っているものではなく、普通に共感できます。 それを見守る両親が素晴らしいです。特に父親が、主人公を甘やかすでもなくそれでいて主人公の犯行を成長の証としてしっかり尊重している。 最近ではモンスターペアレントとかそうでなくても昔から子供に対して傲慢で自己中心的な大蛇のような親もいて、親がそれじゃ子供だって育たないだろうと思うのですが、作中に出てくるこの両親は素晴らしい鑑です。 そして第二部。 元々弱虫なためいじめられっ子っぽかった主人公だったけど、転校生の女の子にいじめの対象が移り、最初はほっとしたのかもしれないけど、これじゃいけないと思い、立ち上がります。 転校生の女の子を悪者に仕立て上げる集団心理もリアルでした。 主人公は決して勇者ではないので、大蛇と闘う過程で間違いもおかしてしまうのですが、その辺の反省も含めて、成長へのステップとなります。 本作品の内容は、第一部の子猫も第二部のいじめも、きれいごとと言ってしまえばそうですし、ご都合主義と言ってしまえばそうかもしれません。 だが、大蛇はどこにだっています。もしかしたら自分が大蛇の尻尾の先端かもしれません。世の大部分の人は主人公と同じで、勇者などではなく普通の弱い人間でしょう。 でも勇気は、勇者でなくても誰でも持てるものなのだと、この作品は教えてくれているようにも思います。
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家族の愛と、道徳が詰まっている。現代人におすすめ
四万十川の中流域に暮らす一家の物語。美しい自然を背景に、内気でおとなしい小学生、篤義(あつよし)が成長していくさまが描かれる。 1日で読める分量だが、無意識的な差別、集団感情の中での善といった、心の葛藤がみごとに表現されている。 「命の大切さ」と「いじめ問題」が二大テーマ。それぞれを飼い猫の出産と、幼い頃に出会った大蛇のトラウマになぞらえて解決していく。 この物語には父、母、兄弟姉妹、先生の愛があふれている。斜に構えるなら出来すぎているとも言えようが、生身の人間を感じさせるドラマで素直に感動できる。 登場人物の台詞は、高知県西部地方の方言でそのまま書かれている。時に理解が難しいかもしれないが、多くは文脈から憶測できるように思われる。 子どもも大人も、大切なものを得られる作品。多くの人におすすめしたい。
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シリーズ最高傑作でしょうね
この作品はは主人公あつよしが大人になるまでシリーズとして続くのですが、この第1作がずば抜けて感動的です。ページ数も少なく、字も大きめなので分量という点では物足りない部分もあるですが、印象的なシーンがいっぱいありました。 特に父親との関係、兄弟・姉妹との関係が実に生き生きと描かれていて、買ってでも読む価値はありますよ。 2部構成になっているんですが、以下、印象的な場面と感想を簡単に。 前半では、初めて主人公に反抗された際の、父と母の布団の中での会話が素敵です。 後半では、千代子について夕御飯を食べながら、家族で語りあう場面と、やはり最後の作文ですね。 今、日本の家屋そのものがこの時代とは大きく変わってしまったため、ちゃぶ台そのものが失われてしまいました。同時に、家族そろって夕ご飯を食べることのできる環境にある家庭が、今の日本にどのくらいあるのでしょうか? 時代の変化とともに、大きな教育力を失ってしまったのだということを作者は言いたかったようにも感じます。 最語に、水のきれいな川(エメラルドグリーンで淵の底まで見える位にきれいなという意味です)で泳いだ経験があると、この小説の文章がいかに自然を的確に描写しているかが理解できます。今から20年近く昔、最初に読んだ時より、田舎に転勤し澄み切った川の流れとともに生活するようになった今の方が感動が増している貴重な本です。
関連する文学賞
- 文藝賞 第24回(1987年) ・受賞
- 坪田譲治文学賞 第4回(1988年) ・受賞